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「HIPHOPとニューヨーク都市開」その1

・ブロンクスがオワコン

HIPHOPの創設期は1970年代前半アメリカのニューヨークの「ブロンクス」というのは有名な話。

その前の1960年代後半、ブロンクスが半端ない貧困地域で治安も鬼悪、ドラッグ、放火、窃盗の悪い事コンプリートボックス状態だったのも有名な話。

そこからギャングが発生し、後にHIPHOPに繋がっていく。

この記事を書くにあたって参考にしているHIPHOPジェネレーションという本にはこう書いてあった。

ブルースは過酷な労働環境から生まれたが、HIPHOPは何もないとこから生まれた

HIPHOPは全員ガチリアルニートの何も無い状態から生まれたニートの音楽なのだ。

さて、ブロンクスがどんだけオワコンだったかと言うと1973年〜1977年の間に3万件の放火があり、更には1975年の6月には3時間に40件もの放火があった程、、

この、イケメンパラダイスならぬ「放火パラダイス」になってしまったのも、アパートが悪徳大家の手に渡ったことに理由がある。

大家はその辺りのチンピラに金を渡し自分のアパートを放火させ、「建物の保険料をもらった方が人住ませるより手っ取り早く儲かるじゃ〜ん、お主も〜わるぅ〜」ってなったのだ、しまいには保険会社もグルでやってたらしい、沼。

「ネクロポリス」(死の町)とか「貧困の国」とか、可哀想すぎるあだ名を付けられ、あの、世界の貧しい者を救う事に一生を捧げた「マザーテレサ」も、真っ先にサウスブロンクスを訪れたという、エピソードもあるほど。

州の民主党議員の「モイハン」さんは

あ、これは静観すね、、、

と言って、当時のニクソン大統領も

俺もボーイケンとは同意見

とKDUBばりに賛同、ちなみに静観とは「ビナインネグレクト」

「みんな生活向上させる気ないから、もう見守ろ、、お手上げ」って感じの意味、そして「計画的な縮小」と称して低所得者居住区から医療、消防、警察、といったサービスを除いていった、もはや「見守る」というか「見捨てる」といった方がしっくりくる。

もう、サウスブロンクスは色々と詰んでたのだ、、。

そもそもなんで詰んでしまったのか?そこを今回は掘り下げていこうと思う。

かつてはブロンクスも白人、黒人、プエルトリカンなど、様々な民族がコミニュティーを形成する豊かな地域だったらしい、そんな地域が一体何故こんなオワコンの地域になってしまったのか?

それはニューヨークの都市計画が大きく関わっている。


・悪名高き高速道路

ブロンクスの衰退は、ニューヨク都市計画の一環として作られた「クロスブロンクス エクスプレスウェイ」という全長7マイルの、ニューヨークの歴史の中で初めての市中横断高速道路が主な原因の一つと言われている。


名前が長え!!!

この高速道路は1929年のニューヨーク高速道路網の基本案に盛り込まれていた計画、これはニューヨーク、ニュージャージー、コネディーカットの隣接3州をスムーズに、機動力のある車、トラックが行き来することによって、みんなの「経済成長がブチ上がってええや〜ん」という、ニューヨークの東西に7本の高速道路をぶち込む計画だ、うち5本の高速道路が市中を横断する高速道路、その中の一つがクロスブロンクスプレスウェイだった。

しかしこの基本案、あまりに金かかるし面倒いし「無理ゲーじゃん」てなって、10年間保留されていたのだが、ある「半端ないオラオラの都市開発者」により推し進められることになる。

市中横断とは、要は活気あるブロンクスの人口密集地をブチ抜いて、でっけえ高速道路バチコン通してマンハッタンと郊外を繋げて、車社会ワッシヨイってこと。

これによってブロンクスが真っ二つになることは誰の目から見ても明白、、

こんなん普通に考えて住民の反対で中止になる所を、「ヤツ」が本気出してオラついて完成させてしまったのだ、ちなみに他の高速は作れなかった、そりゃそうだ。

この道路、1948年に始まり1963年に完成したのだが、もう、「やり方が強引!」

「ジャイアンStyle」で市民の反対を暴力的に権力でねじ伏せて、1500を超える世帯が転居を余儀なくされた、当時この道路の軌道状には60,000人の区民が住んでいて、さらに道路を突っ切るため人口の河川のように溝を掘り造られた、大量の岩石が爆破され、113の街路や、数百の下水道、一本の地下鉄、3本の鉄道路線をぶち抜いていて、そのジャイアニズム溢れるやり方は「最も悪名高い高速道路」として後世に語り注がれているほど。

とんだジャイアンだなったく!!この事業を推し進めたオラついた奴は誰だよったく!

はい!正解は「ロバートモーゼス」という人、ニューヨークの「マスタービルダー」と言われていて、まあ都市開発界のポケモンマスターみたいなもんか、「権力絶対手に入れるマン」でもある、とにかく権力が大好き、お金にはあまり執着せず、働きに働きまくって、手段を選ばずニューヨークにいくつもの高速や団地、公園、娯楽施設を作りまくった人。

代表的な建築としてリンカーンセンターや国連本部、トライボローブリッジなど上げたらキリがない、、なんせマスタービルダーだから。

オックスフォード大学出身、英国大好きっ子で元水泳部だから肩幅の圧凄い、金持ちの家に生まれ「生涯車に乗る時は後部座席派」メンタルの強さはお婆ちゃん譲りで、権力への執着は、学生時代、水泳部の予算を上げようと頑張ったのに部長と揉めて「そんなんなら辞めますよ!」って言ったら「じゃあ辞めれば」って言われたトラウマから来てると言われている、ここは何か可愛い。

まあ、ゆうても私もマスタービルダーとして名を馳せた時期はありましたよ、、レゴブロックで、、

はい、しかしながら彼の最も注目すべき点は、そのやり方、「ジャイアンStyle」

スラムの土地を物凄い速さで収容して強引に住民を立ち退かせて速攻ブルドウザーぶっこんで舗装しちゃう、抵抗する奴や政治家はアル中や不倫などのスキャンダルで脅し黙らせる、極め付けはメディアを巧みに操り世論を味方につける頭の良さ、

モーゼス曰く、、

最初の杭を打ち込んでしまえば、だれもそれを抜けとは言わないのだよ

鬼ぃ!!!!更になんとモーゼス権力ありよりのありすぎての全盛期は、市長はもちろん州知事や大統領でさえ口を挟めなかったほど、、

もはや「頭がキレッキレのジャイアン」(映画版ジャイアンではない)例えるならワンピースの「ドフラミンゴ」

HIPHOPジェネレーションには

ブロンクスのギャングはロバートモーゼスの壮大な実験から生み出された子供達

と書いてあった。

そんな彼のジャイアンStyleにより、立ち退きを余儀なくされた市民はどこへ行ったのか?そこがブロンクス衰退の肝の部分になってくる。

まず上流、中流階級の車持ってる白人はクロス ブロンクス エクスプレスウェイを通り、同じくモウゼスが建設した15000戸の新居や、高速沿いの郊外へ進出、よく映画で出てくる広い芝生と素敵な家、大っきい車が車道に路駐してある感じだ、普通にに考えて、デカイ高速道路の側なんかでは生活したくない。

結果、モーゼスからモーゼスに移り住んだ形になる、、圧が鬼だな、、

自分に当てはめて考えると住み馴れた、仲間も沢山いる地域から用意された地域に引っ越すのなんて地獄だし、都市に住んでいたら郊外なんてつまらなそうだ、生まれてこの方郊外にしか住んだことない田舎の農夫の私でもそう思う。

それでは低所得者、主に黒人やプエルトリカンの有色人種たちはどこに行ったのか?

彼らは「プロジェクト」と呼ばれる低所得者向けの高層アパートにぶち込まれることになる。

プロジェクトとは洋楽のPVとかでよく出てくる、おっかない人がいる茶色い団地だ

そしてこのプロジェクトもブロンクスの衰退に大きく関わっているのだが

続きはその2で。

#hiphop #ヒップホップ #都市開発 #ロバートモーゼス