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おかえりなさい

ありがとうももちろん好きだけど、私が一番好きな言葉は「おかえりなさい」だ。

ただいまではなくて、お帰りなさい。

私のとってはこの言葉が最も人の温かみを感じさせてくれる言葉だ。言うのも聞くのも好きだ。この言葉に、いつもほっとして、心が温まる。たった一言の、すごくシンプルな言葉なのに。

不思議なことにそれと対になるただいまにはこの感覚がない。それは人とのかかわりが必要かどうかなのだと思う。極論、ただいまは相手がいなくても、一人でも使おうと思えば使うことができる。「ただいま帰りました」の意味通り私は今帰宅しましたよと発信しているだけだと感じる。実際、防犯上、家に家族が誰もいなくてもただいまは言うように幼い頃しつけられた。

一方、おかえりなさいは、必ず2人以上の人が必要になる。帰る人とそれを待つ人。帰る人だけでも成立しないし、待つ人だけども成立しない。両方がいてやっと使われる言葉。

何気なく、毎日使うようなおかえりなさいの一言にいつも人と人とのつながりを感じているのだと思う。だからそのつながりを感じられるこの言葉が一番好きだ。

留学生活、一人暮らしでただいま、おかえりを言うことはなくなったし、英語にはただいま、おかえりという文化がない。

日本にいる頃から大好きな言葉だったけど、それがない今となってはもはや愛おしい言葉に思える。そして、他の国にも同じような言葉があるのかもしれないけれど、「おかえりなさい」がある日本の文化って素敵だなと感じる。