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帰り道

帰り道 君は空を見て「きれい」とつぶやいた
そこにまるで天の神殿があるような
そんな響きが僕の耳に届いた

僕はいつも君と歩く時に思う
君の見ている樹や鳥と
僕が見ているそれはまったく違うんじゃないかと

君のその瞳には
色とりどりの翼をもった小人たちの住まう豊かな世界や

もう忘れられてしまった古い物語が
今まさにキラキラと青く輝く泉で洗われ
ピカピカに勇ましくそこにあるのが見えているのではないかと

そんな時 僕の心には言葉による表現を許さない
複雑にまじりあう世界の幻影が泡立っては消えていく

僕は今君が見ている真なる世界を
多分知らない

そして確かにこの世界には世界の神秘を
直接感じ取れる人がいることを
僕は知っている

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