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あのたび -ルアンパバーンと海外傷害保険-

 ルアンパバーンはラオスの古都で世界遺産の街。日本でいうと京都に近い。独特の湾曲した屋根が天に向かって尖って伸びた金色の王宮もあり金閣寺のようだ。

 街中は古都のを朝早く橙色の袈裟を着たお坊さんたちが托鉢で歩く風景が見られる。派手すぎず地味すぎず色彩的に特徴のある街だった。

 バイクの怪我で起き上がるのも大変そうなミツオさんは、同じ街にこんなに長く滞在するのは初めてです、と言った。回復して重いバックパックを持って歩けるようになるまで宿で寝ていなければならないからだ。

 事故に遭った日に行った病院に3日後にまた通院した。縫った箇所を抜糸して消毒してもらった。ミツオさんはどうやら肋骨にひびが入っているようでこれは大病院に行かなければどうにもならなそうだ。

 掛け金にもよるが海外傷害保険というものに加入していると、電話連絡をした際に提携の病院を紹介してくれる。英語か場合によっては日本語も通じで安心だ。しかも医療費は保険で賄われるので無料だという。

 当時保険は価格が高く、旅行の期間も不明だったので加入していなかった。
 ある旅人はタイで熱中症のような症状になり保険会社に連絡すると、まるでホテルのスイートのような病院を紹介され点滴しながらぐっすり気持ちよく眠れたという。治療も宿泊も無料だ。病院側も、保険会社が払ってくれるということで一番高いVIPルームに案内して儲けたいという意図があるらしい。

 なので加入できるものなら加入しておいたほうがいい。いざというとき安心だ。短い旅行ならさほどお金はかからないだろう。

 ボクたちは安宿で寝て、歩いて通院するという感じだった。

 楽しみは食事だけ。ミツオさんはここでも食べ放題を見つけた。15000Kip(≒200円)でベジタリアンのメニューの店だった。サラダ3種・カレー2種・揚げ春巻・スープくらいで種類が少なくて少々物足りなかったがお腹は満たせた。ここには何回も通った。
 他に屋台でみつけたラオス風オムレツが当たりだった。ひき肉や野菜がたっぷり詰め込まれたお好み焼きに近いもの。味付けは東南アジア風ナンプラーで日本人の口にもよく合う。5000Kip

 たまたま滞在していた時期はラオスの正月だったようで、パレードや美人コンテストなども街中で行われていた。屋台には日本の餅のようなものも売られていて、甘くて柔らかかった。

 バイクで転倒する怪我さえしていなければ最高の気分のいい日々になっていただろうに。

 体調が回復した一週間後に、ミツオさんは南へ、ボクは北のノンキャウを目指し別れた

ラオスルート

(つづく)


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