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あのたび -マカオのカジノで入館拒否-

 赤道直下のシンガポールから真冬の香港に一気に移動してきたからか寒さにやられて体調が悪い。ペラッペラのビーチサンダルでは足元が冷えすぎるので少し底が厚いしっかりしたサンダルをこの香港で買った。10HK$(=150円)。街の食堂で麺らしきものを食う。18HK$。せっかくなので観光をしようと香港島へ行く。船で片道2.2HK$。さらにバス3HK$でビクトリアピークという丘に登る。香港が一望できる高さであるが、夜に来たらもっとキレイな夜景が見えたであろう。びびりなので暗くなると地理がわからなくなり不安で明るいうちに宿に戻った。喉も痛くなってきたので飴を買う。11.8HK$。

 ネット1時間10HK$で、台湾へ渡る方法を探る。なんとか船でいけないかと検索するが近くて遠い土地。あっても良さそうな海路はないようだった。

 翌日さらに体調が芳しく無く、コンビニのような商店でパンとヤクルトを買う。18.4HK$。夜は吉野家に行く。シンガポールにもあったが香港にもあった。牛丼並盛で12HK$(≒190円)。安い。チョンキンマンション1階の一角で100$=775.5HK$というレートで200$分両替した。

 翌日、旅行代理店へ赴き台湾行の航空券を買う。片道だけでいいのだが往復券しか売ってくれず1681HK$(片道ならば1303HK$)。

 飛行機は乗りなれていないのでよくわからないのだが、だいたい往復で販売しているらしい。海外へ行くと、帰りの航空券が無ければ入国させてくれないという国もあるからだ。片道券だけだと不法入国と疑われるためであろう。出会った旅行者もだいたい長旅をする人は一筆書きの旅路なので往復することはない。片道分は捨てているという人も多かった。なのでこの香港⇒台湾はしかたないのだろう。

 もしくは世界一周航空券のようなものを購入しており、旅の行程に合わせてそのときどきでルートを決めて飛行機に乗るということができるものもあるようだった。

 翌日のチケットなので、この日は最後にマカオに行こうと考えた。マカオは香港からフェリーで30キロほど。元ポルトガル領ではあるが中国に返還された土地。ラスベガスについでカジノが有名である。ここで残った金をいくらか賭けて最後の思い出にしようとした。

 香港島のフェリーターミナルから行きは料金135HK$。なぜかパスポートが必要。同じ中国とは思えないヨーロッパの町並み。だがそこに興味はない。一般人も入れるいちばん有名なリスボア・ホテルの前まで来る。そして入り口から入ろうとするとドアマンに止められた。誰でもウェルカムなんだろ?なぜ拒否するのだ??

 どうやら身につけている服がいけないようだ。アジアを旅しているときのまんまぼろいハーフパンツに長袖Tシャツといったラフないでたち。それがNGのようだ。一応は格調高い歴史あるホテルなのでYシャツにスラックスとかパリッとしたそれなりの身なりがふさわしいようだ。

 やる気まんまんで追い返されたのにホント心が消沈した。誰か先に言ってくれよ。とほほ。着替えてまた来るなんて気力はないし、ジュースだけ買ってとぼとぼと帰った。お釣りをマカオ通貨のパタカでくれるなよ。ここ以外のどこも使えないだろうに。

 18時を過ぎると帰りのフェリーはナイト料金になるらしく175HK$!たぶん船から見る夜景代ということもあるのだろうが腹立たしい限りだった。

 宿に戻ると、誰か旅行者はカジノで1300$勝ったとかいう話を聞いた。うらやましい。
 ボクは香港、マカオには何もよい思い出もなく立ち去ることになった。

マカオルート

(つづく)


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