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あのたび -上海豫園-

 上海から近く、水の都と言われている周庄へ行ってみようと思った。日帰りの入場料付きバスチケットで110元(≒1650円・2003年時点)。天気はあいにくの曇り雨。現在はだいぶ整備されほんとにキレイな観光地になったのだろうが、このときは川に泥水が流れ古い建物がポツポツと並ぶ、とりたててなんということのない田舎町だった。人力車のオヤジが3元で案内してやるぞといっていた(?)が断った。ただ寒かった。

 2月の中国はまだ寒く、スポーツサンダルで出発したボクは上海の市場らしき所で靴を買った。『金意』という漢字のロゴが入っているのがカッコよかった(12元)。

 別の日アンティーク街ともいわれる豫園(よえん)に行く。こちらはボク達が昔の中国に抱くイメージそっくりの光景があった。つんつんと尖る瓦屋根に赤っぽい煉瓦色の壁のお城のような構え。上海市街からも地下鉄何駅かで行ける距離なのでおすすめだ。が人気の観光&おみやげスポットなのであれを買えこれを買えという客引きが多い。
 なんとか振り切って休んでいると、日本語の巧いオヤジにお茶をもらい、「うまいだろ」とお茶っ葉を買わされてしまった。断る勇気や気力がなかった。
 さらにオヤジはてのひらサイズの小さな胡弓(?)を取り出し日本の曲を演奏し始めた。木と紙とタコ糸で作った小さなギターのようなものに、爪楊枝で作った弓のようなものを組み合わせて見事な音色を出すのだ。ボクもやらせてもらったがうまく音は出ない。「ただで演奏してやっただろ、みやげにどうだ」とこのミニ胡弓も無理やり買わされてしまった。

 買い物が下手で交渉が下手で断るのも苦手。旅の先行きが思いやられる失態だ。
 逆にここで学んだのはまず、日本語で話しかけてくる現地人はまず信用できないし話を聞かないほうがよいということだ。あの手この手で儲けようとしているからだ。言葉が通じない国で日本語が通じると安心して頼ってしまいたくなる。そこを狙われてしまうのだ。それと興味があったとしても、話だけ聞いてあっさりバイバイとその場を立ち去るスキルも身につけたほうがよい。

 よく聞く話が、娘が日本に留学しててとか出稼ぎに行っていてとか嘘の話を持ちかけて仲良くなる。それでうちでごちそうするよという話になりよくわからないところに連れて行かれて身ぐるみ剥がされる。など旅人の間の噂だとしても冗談ではない。

 次は電車で北京へ行く予定だ。

中国ルート

(つづく)


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