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あのたび -ピースボートの彼ら-

 ピースボートで『世界一周船の旅』というものがある。ブルネイに滞在しているときに偶然にも、その船で旅をしている彼らと会った。

 最近はあまり見かけなくなったが、20年前は都内のあちこちで、この『世界一周船の旅』というポスターが貼られているのを見た。ある者は仕事を辞め、ある者は休学し出発するのだろう。約100万円という費用で世界一周させてくれる。それはとても魅力的だ。

 しかしボクはこれに懐疑的である。
 費用を払って船に乗ってさえいれば、勝手に船がどこかの港にたどりついて何も考えなくても、それこそ寝ていても世界を一周してしまうのだ。食事もビュッフェ形式なので心配がない。それは旅と言えるのだろうか。
 さらに言うならば、100日の多くが船の上で、陸上の港に降りるのはほんの数十日だ。それで世界一周したと言えるのだろうか。ビザもチケットも宿のことも何も考えなくていい。冒険とか挑戦とかいうものとの対極でほぼ日常と変わらない。

 だが、ブルネイであった彼ら(20代の若者たち)はホントに心の底から楽しそうだった。船の中では自分たちで何かを企画してイベントなどを開催したり発表したりするという。

 ボクは、彼らにインタビューを受けた。動画や写真を撮られたと思う。これまでどこをどう旅行してきたのか。どうして旅に出たのか。などなど色々と聞かれた。自慢できるほどのものではなかったが。
 彼らはそれを編集してパワーポイントか動画にして船の上でプレゼンしたのかもしれない。どういう結果になったのかはわからない。

 彼らは自由時間に何をやるのも自由だ。ただの観光で終わるか、能動的に動いて出会いと発見に満ちた船の旅にするか、それは自分次第だろう。その後の彼らはいったい何をしているのだろうか。

 さてブルネイは小さい国で1日2日あればだいたい見どころは周れてしまう。高さ50メートル超の黄金のドームが象徴的な巨大なモスク、そしてロイヤルレガリア博物館。どちらも相当金がかかって作られたことが伺える。石油マネーで裕福な国なのだ。

 両替100$≒169.1B$。だいたい1B$≒71円といったところ。安い食堂があり、昼はナシチャンプル1B$。水も飲めそうだ。暑くて歩きまわっていたら夏バテ気味。スーパーで日本の缶ジュースはちみつレモンが売っていた。1B$。

 夜はピースボートの彼らと語り合って時間を過ごす。日本語を話すこと自体が久しぶりすぎて楽しかった。

 翌日彼らはさっさといなくなってしまう。またどこかの国へ船で旅立ったのだろう。ボクは朝パン2個1B$。床屋で坊主にしてもらう。4B$。髪が長いと洗うのがめんどくさくて旅行中はずっと坊主頭だった。女子一人旅は尊敬するよ。ドライヤーとか必要だしね。その分荷物が多くなる。

 ブルネイは超お金持ち国家なのだが、水上集落で暮らす人々もいるという。そのギャップが不思議で面白い。見に行こうと思ったのだが水上タクシーの料金交渉というのがめんどくさくてやめてしまった。かわりに滝にいったが濁っていてしょぼかった。

 夜は大雨が降って出歩けず、腹をすかして寝た。

ブルネイルート

(つづく)


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