『らじおと』は、30年前に抜擢されテレビで昼の帯番組の司会をまかされたが半年で打ち切りになった『素敵な気分De!』のリベンジだったんだろうか?

伊集院光のMCとしてのスキルはほんとにすごいと思う。ゲストの発言がちょっとでも行きすぎたりしたらすかさずバランスをとる頭の回転の速さとか。奇形的なくらい。それでもゴールデンタイムで冠番組を持つような、芸能界の真ん中にいる人気者にはなれなかった。そんな芸人はほんの一握りだとはいえ。芸能界で何十年も生き残れるだけでもすごいことだけど、ただ「生き残る」だけではない、もう一段上を目指そうとすると、そこには「ポップさ」の壁がある。皆を引き付けて中心になる明るさ、ポップさ。『水曜日のダウンタウン』なんか、ダウンタウンはほとんど名前を貸してるだけ、担がれる神輿であり、それでも番組の顔となり中心になり、スタッフをまとめる。以前伊集院は『伊集院光のばらえてぃー』という企画・構成・編集・出演をすべて自分自身で担当したテレビ番組があったが、たぶんすべてをコントロールしないと気が済まない、スタッフに自由に任せたりできない性質なんだろう。1万人じゃなくて100万人単位で人を惹きつける器というかポップさはないけど、一兵卒で終わるような器でもない。
『らじおと』は、30年前に抜擢されテレビで昼の帯番組の司会をまかされたが半年で打ち切りになった『素敵な気分De!』のリベンジだったんだろうか? それが6年で終わったのは彼にとってどういう意味を持つのか? 挫折なのか? 深夜のラジオ番組は60代、70代まで続ける気はないみたいだし、続けたければyoutubeで同じことやれるし、深夜のリスナーはそっくりそのまま移行するだろう。でも朝の番組は違う。ニュースがあり、自分がまったく興味のなかったゲストのブッキングやリスナー参加の企画など、ラジオ局のリソースや多くのスタッフがいることで成立するものだ。朝のワイドショー番組は、60代以降のタレント人生を見据えて進もうとしていた方向のはず。その番組が終わってこれからどうしていくのか、深夜ラジオとテレビのゲスト出演するタレントで終わっていくのか、落語に本腰を入れていくのか……まあこんなこと考えてもまったくの余計なお世話ではあるんだけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?