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『ウルトラマンマックス』を観ました。(第11話〜第20話まで)

凡例のようなもの

 以下の感想は再視聴当時(2020年7月26日〜2020年6月29日、2020年9月20日〜2020年10月23日)にふせったー(指定した箇所を伏せ字にしてツイート出来るツール。追加で長文も付けることが出来る)を使用してツイートしたものです。省略した句読点の追加や、語句の統一程度の推敲はしましたが、ほぼそのまま掲載しています。

 今回は第11話から第20話までの分を扱いました。

 全体的にネタバレや、感想を読む方が視聴していることを前提とした内容です。まだ未視聴の方は、その点をご留意ください。

『ウルトラマンマックス』第11話を観ました。

 「歴史を研究するのは、未来に役立てるため」という言葉が深いです。

 『ウルトラマン』でもウルトラマンを苦しめた蟻地獄怪獣アントラーが登場しました。アントラーは『ウルトラマン』ではシルクロードのオアシスであるバラージの街に出現し、ウルトラマンを活動限界まで追い詰めた、ウルトラ怪獣屈指の強さを誇ります。今回は『ウルトラマン』での活動と同じく、武器や装備の類を使用不能にした他、自動車や飛行機はおろか、DASH基地の機能をも奪うという文明が栄えている東京ならではの被害を齎しました。また、マクシウムカノンを不発にするなど、ウルトラマンマックスを追い詰めています。そこで活躍したのは「ノアの神から齎された」というバラージの青い石です。『ウルトラマン』はアントラーに投げつけることでダメージを与えていましたが、『ウルトラマンマックス』では特殊なレンズとしてデリンジャーの中に仕込み、ビームを撃ち込んでいました。バラージの青い石の働きで、『ウルトラマン』ではアントラーを倒し、『小さな英雄』の回でハヤタ隊員に今までの科学特捜隊の活躍として「バラージでは青い石を投げつけなければ、ウルトラマンは倒されていた」と言わしめ、『ウルトラマンマックス』ではマックスの窮地を救うことが出来ました。

 『ウルトラマンマックス』でも〝ノアの神〟はウルトラマンのことらしいと言われましたが、カイト隊員によって〝ノアの神〟はウルトラマンマックスでは無いことが明言されました。〝ノアの神〟の正体は様々な説が唱えられているようですが、それが明らかになる時は来るのでしょうか。

 また終盤でのユリさんの「歴史を研究するのは、未来に役立てるため」という言葉は深いです。わたしは歴史を趣味としていた時期がありましたが、何の役に立てるというわけではなく、ただ楽しいからやっていただけでしたし、昨今の風潮としても、すぐに役立つ「実学」が優先され、文系科目である歴史科はあまり大きく扱われない傾向にあると感じています。でも今回観たように、すぐに役立たなくても未来に備えるという意味で歴史は役に立ちました。これからも歴史の目を大切にしながら学んでいきたいと思います

『ウルトラマンマックス』第12話を観ました。

 音楽は地球を救えることを確信した回でした。

 登場した怪獣は超音速で飛行する能力を持つヘイレンでした。ヘイレンは特定の周波を嫌悪し、それを出すものを無差別に攻撃します。今回の作戦は、その周波を出す音楽を流してヘイレンを誘き出すことでした。そのため、その音楽『No so bad』を演奏するグループであるバッドスキャナーズとDASHが共同作戦を敢行することになります。「音楽は地球を救う」という理想が現実になった瞬間が来たのです! ヒジカタ隊長は音楽に保守的な見方を取っており、『No so bad』を聴いた当初は否定的な立場でした。しかし話が進むにつれ、この曲に主眼が置かれるようになり、最終的にノリノリで司令室のBGMにすることになったのには笑ってしまったと共に、大衆向けなロック音楽が怪獣から人類を守ったことで受け入れたのだなと感動しました。

 また、ウルトラマンマックスの動作の一つ一つが面白かった回でもあります。登場した当初から、初代ウルトラマンのように胸を叩くなど、挑発行為が多く、人間臭さを感じました。ヘイレンを吹っ飛ばした時には「ざまあみろ」と言わんばかりに顎を突き出しています。何より見どころなのは、優位を取って怪獣を空中に誘い出したにも関わらず、逆に立場が逆転し、ヘイレンに牽制されて身動きが取れなくなった時の動きは、『No so bad』の曲のノリと相まって、エアギターをしているように見えました。観ていて楽しかったです。

 いつか世界中の人々が国境を越えて音楽で繋がれる日が来ると良いなと思います。その時は人間も怪獣も一緒に曲のリズムに乗れれば良いですね

『ウルトラマンマックス』第13話を観ました。

 ゼットン星人とゼットンが登場、昭和の香りが漂う独特な空気の回でした。

 ゼットン星人が登場しました! ゼットン星人は『ウルトラマン』最終回に登場して以来、大好きな星人です。『ウルトラマン』ではイワモト博士を誘拐して成りすまし、科学特捜隊を内側から瓦解させた他、ゼットンを送り込んでウルトラマンを倒してしまうなど、高い知性と攻撃性、そしてミステリアスな面が大好きです。またゼットンも大好きで、常に「ピポポポポ」と鳴く声が可愛らしいのに反し、「ゼットーーーーン」というとても低い声を時折放つのがギャップがあり好きです。『ウルトラ怪獣シリーズ』のソフビも可動しないT字のポーズが独特で素晴らしいと思います。

 今回はそんな敵が登場した、昭和の香り漂う回でした。風景もDASH基地周辺の他は、木造住宅や銭湯、長屋が並ぶ、古い住宅街で、今まで近代的な背景の中で話が進んできた中で、今回は空気感が独特だったと思います。夏美さんも浴衣を着て登場し、近所の人々と交流し、家事手伝いすらするという、古き良き時代の人間のような雰囲気の女性でした。DASHを襲撃しに現れた時すら忍者装束だったのが特徴的でした。

 彼女は1万年前から仕込まれていたゼットンナノ遺伝子を直系で受け継いでおり、そのためにゼットン星人に利用されていました。少女の頃は超能力が使えたというのも、ゼットンナノ遺伝子の影響なのでしょう。DASHを襲撃した夏美さんはナノ遺伝子によって操られた結果、身体を乗っ取られ、治癒能力も飛躍的に向上したのか、ゼットン星人の成りすましだと考えます。どちらにしろ、夏美さん本人には悪意など全く無く、利用されているだけなので、早くゼットン星人の呪縛から解放されることを願うばかりです。

 また、今回はウルトラマンゼノンが登場して地球上で活動した、唯一無二の回でもあります。ウルトラマンマックスのピンチに宇宙から駆けつけ、素晴らしいアクションとギャラクシーの力でゼットンに負けない力を発揮しましたが、ギャラクシー召喚中に負けるわけにはいかないゼットンに邪魔され、肝心のギャラクシーはマックスの腕に止まってしまいました。結局ゼットンはマックスの手によって倒され、ゼノンはマックスにさらなる地球の危機を伝えて帰ってしまいました。ウルトラマンゼノンはゼノニウムカノンという独自の構えもある必殺技がちゃんとあり、ギャラクシーを召喚することも出来たし、他にもウルトラマンの一人としてのきちんとした設定もあったのに、出番はこれと最終回だけなので、残念でなりません。いつかゼノンの独壇場を用意して頂きたいと思います。

 そして次回の敵はウルトラマンゼノンが予告した宇宙戦闘機4機です。本来、ウルトラマンマックスやウルトラマンゼノンは文明監視員という、初代ウルトラマンらが所属する宇宙警備隊とは別の組織の人員です。業務内容も「文明同士が穏やかに交流を結ぶのを見守る」もののはず。ウルトラマンマックスが地球を守りに来ていることも例外ですが、そのマックスにゼノンが「地球を頼む」と言いに来たことも例外中の例外でしょう。ウルトラマンマックスがやっていることは兎も角、地球に居るマックスに文明を見守る使命を帯びたゼノンが宇宙戦闘機に備えるよう警告しに来たと言うことは、文明監視員としても宇宙戦闘機の脅威を重く見ているということなんでしょうか。ゼットン星人も当初は「ウルトラマンマックスを殺す」と予告していましたし、他の星では文明監視中のM78星雲人がゼットン星人に攻撃されたり、ゼットン星人の攻撃を受けて文明が滅亡した事象が数多くあったりするのでしょうか。これらの謎が追々明らかになることを願うばかりです。

『ウルトラマンマックス』第14話を観ました。

 淡いひと夏の恋物語でしたね。

 キングジョーが登場しましたね! 『ウルトラセブン』の『ウルトラ警備隊、西へ』前後編に初登場する、ウルトラセブンが自力で倒せなかった、最強格のロボット怪獣です。ウルトラセブンのエメリウム光線やアイスラッガーを跳ね返す強靭なボディの持ち主で、肉弾戦に持ち込みますが、セブンのスタミナ切れにまで追い込み、2度目に神戸港で決着が着くまで優勢でした。最後に人間の作り出した兵器で倒された点は、『ウルトラマン』のゼットンに似ています。最初にキングジョーを知った時は最終回に登場する怪獣だと思っていました。そのくらい強い、ウルトラセブンのライバルです。そしてわたしの大好きな怪獣の一体でもあります。

 キングジョーはペダン星の兵器だったはずですが、今回はゼットン星人の手先になっています。何かの拍子にゼットン星人がペダン星からキングジョーの仕組みなどの秘密を盗んだのでしょうか。初登場時のキングジョーとはドッキングの仕方に差異がありますし、今回登場した個体はゼットン星人が改良した型ということでしょう。

 今回は前回に引き続き、ゼットン星人が黒幕を務める回でした。夏美さんがゼットンナノ遺伝子の持ち主であることを良いことに、夏美さんを脅したり、乗っ取ったりして、カイト隊員の命を狙います。

 夏美さんとカイト隊員の交流は恋物語の様相を見せました。夏美さんがゼットン星人との因縁を厭いつつも諦めを見せた時のカイト隊員の言葉は格好良かったですね。今まで「貧乏神に付き纏われて」いた夏美さんは、カイト隊員の「俺が守ります」の一言にメロメロでしたね。

 一方で、カイト隊員の「相棒」であるミズキ隊員も、仲の良さそうなカイト隊員と夏美さんの様子を見てやきもきしていました。ヨシナガ教授にカイト隊員の任務のことを聴かされた後はそれが軽減されましたが、コバ隊員のショーン隊員が二人の仲を冷やかすような発言をした時は「彼は重要な任務をしているのよ!」と怒ったりもしていました。まるで自分に言い聞かすような口ぶりにも感じました。ミズキ隊員と夏美さんが出会った時、すぐに仲良くなれて良かったですね。

 キングジョーとゼットン星人、ウルラマンマックスの戦いは手に汗握りました。何しろウルトラセブンすら自力で倒せなかったキングジョーが相手です。肉弾戦ですら決着が着かないのは目に見えてました。その上、キングジョーの回避性能が抜群に向上しています。戦闘中に各部と切り離すことが出来るのは、合体ロボットであるキングジョーの強みを生かしていたと思います。前回初登場したギャラクシーを使うことが出来たのは大きかったです。

 夏美さんも無事に利用してくるだけの「父親」であるゼットン星人と決別することが出来、本当に良かったと思います。ゼットン星人は結局、「娘」に干渉し、支配するだけの毒親だっとということでしょう。夏美さんには、これからは普通の人間として生きていって欲しいと思います。

『ウルトラマンマックス』第15話を観ました。

 公式YouTube配信でも話題になりました、『第三惑星の奇跡』でした。いつ観ても素晴らしい回です。

 『ウルトラマンマックス』を観始めたきっかけになった怪獣、完全生命体イフが登場しました。自発的な攻撃はせず、ただ白い塊としてそこに居るだけの存在だった怪獣が、自らを排除する行動を受けたことで、強力かつ攻撃的に変化していくという話です。

 この話の第二の主人公はミズキ隊員だと思います。ミズキ隊員がアッコという少女のため、アッコが出演する音楽会の会場を守ろうとして、光線銃を使うところから、終盤への繋ぎが完璧でした。

 ミズキ隊員は守るために光線銃でイフを撃ち、出現したウルトラマンマックスに音楽会の会場である公会堂を守るように依頼します。暴力で子供と子供の夢を守ろうとしたのですね。

 一旦はイフがマクシウムカノンを受けて爆裂したため、脅威は去ったように思われましたが、マクシウムカノンを学習した状態でイフが復活、さらにマクシウムソード発射の能力をも得たため、ウルトラマンマックスが敗退することになりました。ウルトラマンマックスは世界平和のために活動するウルトラマンですが、強力な暴力手段を持っており、それを行使したわけです。

 イフが攻撃を受けるたびにそれを学習し、それを上回る攻撃能力を以って反撃してくるのは納得だと思います。攻撃を受けないためには、相手を上回る能力を持ち、相手を威嚇し恐怖させ、それで屈服させるのが分かりやすいと考えるからです。攻撃力を持つ相手に手出しをして、手痛い反撃を受けてボロボロになるより、大人しくしていたほうが被害を受けずに済みます。その恐怖を克服するためには、更に上の能力で相手を威嚇し返すしかないのです。それが今回行われ、イフを排除したい人類の手ではどうしようもない状態になってしまったと考えます。

 最後にアッコの演奏するピッコロを聴いてイフが変化した時、イフは最早音楽を奏でる存在になっていました。イフは平和を守りたい大人達の排除の手を脱し、自分を受け入れてくれた子供と音楽を楽しむのです。ミズキ隊員が自分が相手を攻撃するための光線銃を持っていたのを自覚して愕然とした時の表情は、筆舌に尽くし難いものがあります。

 以前、音楽で世界が救われた回がありましたが、今回はそれに類する、しかし真逆の話だと考えます。今回は音楽は攻撃に参加せず、相手と融和する手段として使われたのです。いつか、世界中で融和の動きが広がり、武器を全廃出来る美しい日が来ると良いですね。

『ウルトラマンマックス』第16話を観ました。

 前回との落差を感じる、何も考え無くて良い回でした。

 前回に引き続き、『ウルトラマンマックス』を観るきっかけになった怪獣、宇宙化猫タマ・ミケ・クロが登場しました。これらの怪獣も、自発的な攻撃はせずに正当防衛に徹していましたが、厄介なのは怪獣の発する周波で、周辺の有機生命体の脳に影響が齎され、一時的に健忘の症状が現れるのが特徴でした。そのせいで、前回とは比較にならないギャグ回となりました。

 プロローグでは団地の主婦達が直近で感じた異変を語り合います。簡単な物忘れから、ペットが芸を忘れたことなど、内容は様々でしたが、子供の名前を忘れたり、おもちゃの赤ちゃんと実子の赤ちゃんを間違えている描写までありました。主婦達の立ち位置やカメラアングルまでもが様々に切り替わり、不安を煽っていましたが、本番はここからでした。

 怪獣がベース・タイタンのすぐそばに出現したことで、DASHのメンバーにまで影響が現れ始めたのです。中でもカイト隊員がウルトラマンマックスへの変身方法を忘れたことは、視聴者の不安を高めたと思います。今回の敵はマックスの光線を浴びせれば、一発で沈む相手だからです。

 そして怪獣の周波の影響は、地球に住む有機生命体に留まらず、マックスにまで現れました。ウルトラマンの一人であろうマックスが、マクシウムカノンを発射するためにあれこれ試行錯誤し、「イノッ!」を始め様々なポーズを取る様子には笑いました。

 ただマクシウムソードをぶん投げてしまったのは大丈夫だったのでしょうか。マクシウムソードは無限に生成されるらしい、という話を聞いたことがありますが、それは良いとして、東京湾内に被害は出なかったのでしょうか。人間にしてみればマクシウムソードはそれなりに良い大きさだと思います。海底のインフラが破壊されていないことを願います。

 また、周囲の人間が次々にトラブルを起こすので、エリーが怒ってしまったのは心配です。エリーがだんだんと感情豊かになっていくのは微笑ましいですが、ヨシナガ教授に向かって怒鳴り散らしたのは頂けません。あれはただの理不尽です。記憶している限り、エリーが他人に対して怒りを抱いたのはあれきりなのが救いです。

 色々なことが起きましたが、無事に怪獣が倒されて良かったです。ウルトラマン達は回転することによって途轍もないパワーを生み出しますね。

 ところで、宇宙化猫のぬいぐるみは販売されていないのでしょうか。あの容姿、あの仕草、あの声、とても愛らしかったと思います。グッズ化の機会があれば、是非手に入れたいです。

『ウルトラマンマックス』第17話を観ました。

 ニーナに魅入られたコバ隊員が印象的でした。

 ニーナは高度な文明を持ち、人類を創り出しさえした、人類の祖先にあたる宇宙人なのですね。10万年前に南極の氷の中へ眠りに就き、地震が起きた際にニーナが眠っている箇所にクレバスが表出し、再び地上へ現れることになったのでしょう。でも現代の地上は、与えた文明の力を、互いを傷つけ合う道具を作り出すために使う人類で溢れていた。ニーナはそれを感じて、人類を「失敗作」だと断定し、怪獣を呼び出して人類を滅亡させようと企みました。

 ニーナの種族は、平和を愛好する傍ら、それに反する思想を持った者を粛清する非情さをも持っていたのだと考えます。きっと、現代の人類がニーナの種族と同様に穏やかに暮らしていたら、今回のような事件にはなっていなかったんじゃないかと思います。

 ニーナは現代にも通じる美貌でDASH隊員達を魅了しましたが、中でもコバ隊員の様子は尋常ではありませんでした。いつも軽いテンションでお調子者なコバ隊員が、あんなに深刻な表情で見入っているのには、ただならぬ気配を感じました。ニーナの顔さえ見ることが出来るなら、身体が保存されているケースだろうが、パソコンの壁紙だろうが、瞬きもせずにずっと凝視しています。軽々しくニーナのことを口に出して表現することもしないあたりに、ただ一目惚れした、とも言い難いものを覚えます。

 結局、以上の事情と、ニーナが怪獣を操作して人類を滅亡させようとしたこともあり、コバ隊員は自らの手でニーナを射殺することになってしまいました。コバ隊員の「俺達は、失敗作なのかな……」という言葉には、そう言われてショックだったということが、まざまざと現れています。少なくとも、コバ隊員にとってニーナは意中の人であったことは間違い無さそうです。

『ウルトラマンマックス』第18話を観ました。

 『アカルイセカイ』がサブタイトルでしたが、それはシャマー星人の世界を暗示しているのではと思いました。

 この回のサブタイトルを初めて観た時、皆の気持ちが上向きになった、何も怖いことも悲しいことも無い、負の感情を感じないという意味の「明るい世界」ということなのかと思いました。実際は内容の通り、シャマー星人の画策によって巨大反射板によって夜を奪われた、ずっと昼間が続く「明るい世界」でした。

 シャマー星人は「自分達は地球を粗末に扱ったりしない。クリーンな光エネルギーを使い、地球を支配する」と言っていました。しかし実際には地球上には夜を必要とするものは沢山あります。睡眠やそれによる休息などの生物的な活動のために使われる他、人間社会にとっては夜にしか行われないこともあります。民間人がDASH隊員達に詰め寄っていた時には花火職人やネオン広告業者が台詞を言っていましたが、後ろのほうには「特攻」の文字を額に掲げた暴走族も居ました。ここには出て来ない職業の方や、人目を憚って行動する人々も居るでしょう。また、夜に行動する夜行性動物も存在します。そういうものにとっては、夜は自分達を守ってくれる時間なのです。シャマー星人はそういう意味では、人間の都合だけを考えて行動していたと言っても良いでしょう。

 シャマー星人は、今回ともう1回登場しますが、決まって「明るくて、図々しい性格」でした。両方同じ人物なのかも知れませんが、もし違う個体と考えると、シャマー星人の社会はとても「明るい世界」なのかも知れません。皆が明るいことを言っていて、ジョークが飛び交う。それは真面目な人や深い考えの人が居なくて、そういう深刻なことを考え出すと嘲笑されてしまう社会なのかな、などと考えてしまいました。

『ウルトラマンマックス』第19話を観ました。

 ウルトラマンマックスが以前地球に来た時のことが明らかになりました。

 ウルトラマンマックスは本当に地球に来たことがあるのでしょうか?

 無学で良く知らないのですが、マックス自身は7,800歳だと聞きました。古代だと平安時代前後までをそう呼ぶらしいので、マックスの年齢だと文明監視員の任務で訪れるにはぎりぎりの感じがします。それにターラ星人の回想に出てきた人々は狩猟と採集の生活をしていた印象があるので、日本で言えば縄文時代でしょう。縄文時代は紀元前のことになるので、その頃のマックスの年齢では人間換算では未だ未成年だと思います。ウルトラマンマックスが地球に来るには辛くはないでしょうか。

 それに三日月山で発掘された石版を見て「ウルトラマンマックス」だと言ったのはヨシナガ教授であって、カイト隊員は過去の記憶を夢に見た時は「あれは戦士の遠い日の記憶」だとして、ウルトラマンマックスの名前を出していないのですよね。ターラ星人本人にしても、「M78星雲の邪魔者」としか呼称していません。映像でもウルトラマンマックスのシルエットでカラータイマーもマックスの形状ですが、もしかしたらマックスのそっくりさん……という可能性も無きにしもあらず、だと思います。

 しかしウルトラマンマックスと戦神ギルファスとの戦いは、宿命の対決に違いないでしょう。以前の戦いでは、M78星雲の戦士はギルファスに追い込まれ、戦いには負けたかも知れません。しかし戦士に協力した人類によって、ターラ星人の転送装置は地中に封印されてしまいました。ターラ星人とギルファスは、戦略的にはM78星雲の戦士と人類に負けたのです。今度の戦いはウルトラマンマックスが戦士に代わって戦いを白星に変えるための決戦、ターラ星人にとっては復讐を遂げる唯一の機会になりました。

 今度の戦いも、マックスが以前の戦いの記憶を受け継ぎ、どこで負けたのかを反省することによって、戦い方を変え、対策を講じることが出来ました。更にギャラクシーの力もあります。これによってウルトラマンマックスは見事に勝利することが出来ました。

『ウルトラマンマックス』第20話を観ました。

 怪獣の挙動に一喜一憂する人々が面白かったです。

 『ウルトラマンマックス』は第1話で最初に怪獣が姿を現してから、生活する中でも怪獣による災害が当たり前になった世界なのですよね。今まで世間一般の人々は劇中で逃げ惑う様子を中心に観ていたと思いますが、今回の話では普通の家族が、そんな世界の中でどのように休日を過ごしているかをメインに描かれました。

 いくら怪獣の存在が日常的だからといって、学校や市役所は普通に活動が行われていることがはっきり示されていたのが印象的です。ヤマグチ家が自宅から避難する時には防災帽をしっかり被り、避難する時に必要な物を持って退避していましたが、安全な地区に避難出来たら後は学校に行くなり、職場に出勤するなり自由にして良いようでしたね。中学校は結果的に怪獣の漂流コースと重なり、部活が生徒判断で中断されたりしましたが、その他の活動は通常通りのようでした。市役所は市民の安全を図るため、広報課が怪獣に対して注意を呼びかけたりしていましたが、主婦は普段通りに買い物に出かけたり、お寺でも日課が行われたり、コンビニも商品を提供するなど、他の職種も怪獣による影響が無い限りは普段通りのようでした。

 怪獣が現れることが日常になったとは言え、そのたびに経済活動を中断・自粛していては生活が成り立たないということでしょうか。街が怪獣によって破壊されるなどの被害に遭わない限り、経済を回し、生活を粛々と続けていくことが、一般市民にとっての怪獣への対抗策なのかなと思ってしまいました。

 一方でDASHに対する一般市民の信頼の厚さもはっきり示されました。DASHの人間だと分かりさえすれば、怪獣への対策のためにあらゆる活動を自粛させることが出来るようでした。崖っぷちの演歌歌手の歌唱や、暴走族のバイクでの走行まで、あらゆる人々が不満を持ちながらも「怪獣から命を守るため」と言う名目を理解し、それに従っていました。

 また、トミオカ長官やヨシナガ教授、ヒジカタ隊長らが怪獣の挙動に対して一喜一憂する様子はコメディタッチで楽しかったです。「い、いかん!」と「事態は好転した!」が繰り返させる様子には思わず微笑んでしまいました。ヨシナガ教授に指定席を横取りされて頬を膨らませていたエリーも可愛かったです。

 また怪獣クラウドスは、空から降ってきた重い怪獣という点から、『ウルトラマン』に出てきたメガトン怪獣スカイドンを彷彿とさせました。実際にはクラウドスは眠りの深さによって重くなったり、風船のように浮くほど軽くなったりもしましたが、最後にウルトラマンマックスの腕の中に落ちて来た時の様子は、あまりの重さに投げ飛ばすにも難渋するスカイドンやウルトラマンの苦戦っぷりを思い出しました。

 ウルトラマンマックスが戦いの途中で御神木を引っこ抜いてしまった時の、彼の反応が忘れられません。あの反応は、あの樹の価値を知っている反応です。M78星雲に宗教の類が存在するのかは分かりませんが、少なくとも地球には宗教があり、あの樹は自分が主に活動している日本の宗教にとって大切な存在だと知っていることは確かなようです。そしてそれを尊重し、植え直してくれた。マックスがその土地の文化を大切にしてくれているんだということが分かる、素晴らしい描写だと思います。

 苦戦しながらも、無事にクラウドスを亜空間トンネルに帰してやれて本当に良かったと思います。今回はとても面白く、色んな要素が詰まっている、わたしにとってもお気に入りの回です。

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