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『ウルトラマンA』を観ました。(1話〜10話まで)

凡例のようなもの

 以下の感想は視聴当時(2020年8月30日〜2020年10月13日)にふせったー(指定した箇所を伏せ字にしてツイート出来るツール。追加で長文も付けることが出来る)を使用してツイートしたものです。省略した句読点の追加や、語句の統一程度の推敲はしましたが、ほぼそのまま掲載しています。

 今回は第1話から第10話までの分を扱いました。

 全体的にネタバレや、感想を読む方が視聴していることを前提とした内容です。まだ未視聴の方は、その点をご留意ください。

『ウルトラマンA』第1話を観ました。

 突然超獣に特攻していく北斗星司、ウルトラマンエースの力を得たとは言え、突然TACに選抜された星司と南夕子と、突然に起こる出来事が多かったですね。

 『ウルトラ』シリーズを観始めて、昭和期・平成期合わせて、これで10作目くらいになります。ほぼ毎日『ウルトラ』シリーズを観続けていたせいか、観ていないと精神的に虚無になる感覚がするので、昭和シリーズを続けて観ることにしました。

 今作『ウルトラマンA』のウルトラマン、ウルトラマンエースは、ゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、新ウルトラマン(ウルトラマンジャック)らに続くウルトラ兄弟の一員であることが、最初から明確に示されているのが特徴的ですね。兄達の引率の元、北斗星司と南夕子の前に姿を現したのは、面倒を見られている弟らしい登場の仕方だと思いました。一方で言葉遣いは、今までのウルトラ兄弟の中でもいちばん砕けている印象です。北斗と南に「お前たち」と呼びかけていたのが、自分の変身者に向けて「きみ」と呼びかけていた兄達と違うところだと思いました。

 そのウルトラマンエースに認められたのが、北斗星司と南夕子です。彼らの職業は、元々は地球防衛軍とは程遠い、パン屋の運転手と看護師でした。『ウルトラマン』のハヤタ隊員は現職の科学特捜隊隊員、『ウルトラセブン』のモロボシ・ダンは風来坊、『帰ってきたウルトラマン』の郷秀樹は自動車屋に務めながらカーレーサーを目指していた人なので、ハヤタ隊員は兎も角、その他の変身者達はその当時の子供達に人気があった職業なのかなと推測します。とは言え、パン屋さんが地球防衛軍の後身にあたるTACに転身するのは、意外です。それも路上放置されていた燃料輸送車に乗り込んでの特攻を行っています。無茶苦茶が過ぎるのではないかと思ってしまう程です。

 しかし、そんな北斗星司と南夕子がウルトラマンエースに認められ、変身するのは、その後繰り広げられた超獣ベロクロンとウルトラマンエースの戦いで納得してしまいました。何しろ、ベロクロンの放つミサイル攻撃を、防御態勢も取らずに受け流しているのです。以前『ウルトラマン』でウルトラマンが怪獣ネロンガの電撃を、仁王立ちで受け流していたことがありましたが、それを彷彿とさせました。無茶苦茶ではありますが、変身者の性格からしてやっても可笑しくない気はしました。

 これからそんなウルトラマンエースと北斗星司、南夕子の戦いが繰り広げられるのですね。楽しみです。

『ウルトラマンA』第2話を観ました。

 「ライダータッチ」格好良かったですね!

 スタッフロールは分からないなりに観るようにしているのですが、『ウルトラマンA』のスタッフロールは驚くべき点が多いですね。特撮の助監督に、平成ゴジラシリーズで有名な川北紘一さんの名前があるのに気付けて良かったです。また、前作『帰ってきたウルトラマン』に登場していた岸田森さんがナレーションを務めていらっしゃるのも興味深いです。『帰マン』で突然退場された時は寂しかったのですが、こうして登場してくださるのはありがたいですね。

 今回は北斗星司の新人隊員らしさが垣間見えましたね。未だ一般人感覚が抜けず、帰投後のパーティーのことを気にかけていたり、目的地の場所を訊くのを忘れそうになったりしていました。その一方で怪獣を倒そうと躍起になるあまり、謹慎命令を無視して出動し、カメレキングの卵を攻撃したり、退避命令を無視するところがありました。

 しかし竜隊長は、他の隊員達のようにただ北斗隊員に怒って謹慎処分にしたわけではありません。南夕子隊員は「隊長は星司さんを信頼して、他の隊員達の出撃を止めた」と言っています。その後、旅客機が卵との衝突事故を起こしたのもあって、自身も責任を感じていたのだと思います。それに加え、北斗星司隊員が怪獣を倒そうと躍起になる性格を見抜いていて、それを抑えようと謹慎を言い渡したのでしょう。「猪突猛進するのは勇気ではない」「親から譲り受けた命だ、もっと大切にしろ」という言葉は、それを象徴しています。

 そんな竜隊長は、早くもウルトラマンエースの秘密を見抜いたような発言をしましたね。「私が死境を彷徨って居た時の厳格だと思うんだが、助けてくれたのは北斗、君だった」という内容なので、厳密に言えば秘密の〝半分〟ですが、大変興味深いと思います。ウルトラマンエースは北斗星司と南夕子のふたりでひとりなので、夢に登場するなら北斗星司と南夕子のふたりだと思います。しかし「助けてくれたのは北斗星司だった」というのは、南夕子の存在が欠落していると思うのです。あの時話していたのは、竜隊長と北斗星司のふたりだけですし、半ば秘密の会話だったので、まさか「あの時、南夕子もいた」と言えなかっただけかも知れません。もし、あの場に南夕子が居たなら「助けてくれたのは北斗、それに南、君達だった」と発言したのかな、と考えてしまいます。

 ところでわたしは『ウルトラマンA』をレンタルDVDで視聴しているのですが、毎回次回予告が付いているのが良いですね。更にワクワクして次回を楽しみにできます。

『ウルトラマンA』第3話を観ました。

 「子供の心が純真だと思うのは、人間だけだ」というバキシムの言葉が刺さります。

 今回登場した超獣バキシムは、登場の仕方から正体まで、とても印象に残りました。

 まず、青空をガラスのように割って登場するという、異次元人ヤプールに関連のある怪獣らしい演出です。今までに類を見ない怪獣の登場の仕方で驚きました。

 従来の怪獣は古代からの生き残りか、宇宙から飛来するものの印象が強く、それに由来する登場の仕方として、大地の割れ目、煙の中、海中などから登場したり、隕石のように飛来するのが常でした。空を割って登場するのは、異次元空間から登場する超獣にしか出来ないやり方だと思います。これは『ウルトラマンA』でしか観れない怪獣登場演出です。

 そしてその正体も子供を利用したものという、恐ろしいものでした。

 以前『ウルトラセブン』でチブル星人が子供達を利用して地球侵略を企んだことがありましたが、その時に利用された子供達は催眠状態でした。それもおもちゃだと思って持たされた兵器を持たされた状態でした。

 また、『帰ってきたウルトラマン』では少年に化けて隊長の娘と友人になり、それを利用して新ウルトラマンを倒そうとしたゼラン星人も現れました。

 ですが今回際立っていたのは、後述する台詞を言い放ったことだと思います。

 事前に親共々事故によって殺されており、バキシムによって姿が借りられていた状態だったとは言え、子供自身が怪獣でした。ついに祖父母の前に正体を現した時、衝撃的な台詞を言い放ちます。

「子供の心が純真だと思うのは、人間だけだ」

『ウルトラ』シリーズは殆どが子供向けに作られていると思いますが、この台詞は『ウルトラマンA』を観せている大人にこそ刺さるものだと考えます。大多数の大人は子供のことを、まだ世間知らずの、知識も思想も持ち得ない、まっさらな白紙の心を持つ者だと思っていると考えますが、子供もそれなりに周囲の情報を吸収する中で様々なことを学び取っているのです。その中で様々な色に染まっていくのです。この台詞は、大人に子供に目を向けさせるきっかけになるのではないでしょうか。

 また、南夕子隊員の活躍も目覚ましかったですね。まさか彼女が謹慎処分になるとは思いませんでしたが、南隊員の行動や証言を鑑みれば混乱していると取られても可笑しくないのかもしれません。

 次回は美川隊員がメインなのですね。楽しみです。

『ウルトラマンA』第4話を観ました。

 久里虫太郎と彼の描く劇画、それらと連動する超獣ガランの行動が凄まじかったです。

 久里虫太郎は美川隊員に対して恋愛感情を拗らせ、ヤプールによって与えられた能力で以て超獣を操っているあたり、最近の『ウルトラ』シリーズに登場するヴィランに通じる性格を持っている印象があります。全体的に影のある表情やひとつの物事に対する執着、そして目的達成のために手段を選ばず、全てを破壊し尽くさんとするところに、その傾向があると思います。

 それだけに、ヤプールから得た能力と行ったことに対して支払う代償は大きかったのでしょう。彼が超獣ガランを介してウルトラマンエースから受けた攻撃のダメージを受け、じわじわ発火して火だるまになっていく様は凄まじかったです。最後に自宅ごと大爆発したのは本当に衝撃的でした。

 竜隊長は「ヤプールは人間の心の中にあった超獣を引っ張り出した」と言っていますが、今回の話を象徴する言葉だっただけではなく、『ウルトラ』シリーズにおいて、「何故怪獣が出現するのか」という問いの解になっていすらいると思います。『ウルトラマンマックス』では、まさにそれが問題となった回がありますが、その回では「〝人間が望むから〟怪獣が現れる」という仮説が提唱されます。竜隊長の言葉は、この説を補強するに十分でしょう。

 また、ガランと相対するウルトラマンエースの技の多彩さが垣間見えた回でもありました。わたしは予め、「技が多彩である」「その中でも光線技が多い」という情報を聞いていました。これまでもメタリウム光線やウルトラスラッシュが登場しています。しかし今回は、1回の戦闘で3種類の光線を使い、ガランを倒しました。しかも額のビームランプらしきところから光線が出るのは兎も角、胸のカラータイマーから発射された時はびっくりしました。少なくとも、視聴済みの『ウルトラ』シリーズでは誰もカラータイマーからビームを出したりしなかったのです。こうした意外性はウルトラマンエース独自の持ち味なのかもしれません。

『ウルトラマンA』第5話を観ました。

 ウルトラマンエースの弟ポジションらしさを感じた回でした。

 TACは既に4体もの超獣を相手にし、空が割れたり、亡くなった子供の姿を借りたりと、科学では有り得ない、そもそも怪獣が出現するという非常識な現象を経験しておきながら、未だに「夢でも見たんだろう」「見間違いだろう」と言って、被害者達の主張を否定するところから入っていますね。TACは今までの防衛隊組織と同じように、怪獣や宇宙人が引き起こす怪奇現象を相手にすることも職務のひとつだと考えていますが、TACの隊員達はそれを否定する言動すら拒みません。怪獣を超越した存在である超獣を相手するのに、この姿勢のままでは不安でしかないんですが、大丈夫なのでしょうか。

 今回は大蟻超獣アリブンタが登場し、四次元蟻地獄を用いてO型の女性を誘拐する事件が発生しました。TACは隊員のひとりである南夕子隊員が被害に遭うまで、上記のような姿勢で対応し、通常の事件を取り扱う警察に引き継ごうとすらしました。そうして対策を遅らせた末に、とうとうアリブンタが地下鉄を襲撃する事態になりました。竜隊長は責任を感じて、自ら地下へ突入しました。

 竜隊長はTACの中でも、被害者や現場の主張を尊重する傾向の強い北斗星司隊員の意見を聴き入れる姿勢が強いほうですが、しかし否定する意見も同じように聴く方です。ある程度現実的な意見で説得をしなければ、応じてもらえないのも事実なのです。でも超獣事件の場合、非現実的な現象が多く、そんな常識的な意見を固め切れないことが大多数です。そして今回のように対応が遅れて、隊長が責任を感じて自ら……ということになってしまっています。

 特に今回は、隊長どころかウルトラマンエースもヤプールの罠に嵌り、ゾフィーを呼ぶ事態に陥ってしまいました。

 登場するウルトラマンが、仲間や兄弟をサインを使って呼ぶのは初めて観ました。取り分けて『ウルトラマンA』はエースがウルトラ兄弟の末っ子として登場しており、兄貴分達の客演が前提になっている印象を受けます。従来の『ウルトラ』シリーズでは、そもそも兄など存在せず、『帰ってきたウルトラマン』でのウルトラマンとウルトラセブンの登場も突然起こった印象が強いので、尚更です。『ウルトラマンA』は、最近観る頻度が高い〝客演ウルトラマン〟が登場する作品の草分けなのかもしれませんね。

『ウルトラマンA』第6話を観ました。

 「立て、撃て、斬れ!」のサインからのウルトラギロチンは鬼気迫っていましたね!

 今回は小林昭二さんがゲスト出演されました。小林昭二さんは『ウルトラマン』で隊長をされて以来、度々出演されていますね。『ウルトラセブン』では団地に住むサラリーマン、『帰ってきたウルトラマン』では怪獣に遭遇してショックを受けた船長、今回の『ウルトラマンA』では超獣に乗り移られた宇宙飛行士と、様々な役をされています。どれもストーリーと役にハマっていて素晴らしいです。

 また、初めて超獣製作風景が描写されました。地球上に生息する生物を用い、合成して作成されているようですね。怪獣を超越したものとは言え、地球上で活動する以上、地球の生物を使用したほうが効率が良いということでしょうか。これからも地球上の生物をモチーフに、様々な形態の超獣が作成されると思うと、ワクワクしますね。今までは様々な宇宙人が、様々な怪獣を引き連れてやって来ていましたが、こうして統一された侵略者側が様々な怪獣を製作して送り込んで来るとなると、「今回は何をモチーフにしたのか」「どのような意図を持って製作されたのか」を考えるのが、楽しみになります。

 変身超獣グロッケンは、大柄な上に攻撃手段が多く、苦戦させられましたね。人間の状態でも手に付いた口からガスを吹くなど、攻撃力の高さは目を引くものがあります。蟹鋏状の手で北斗星司隊員を捕まえた時はどうなるかと思いました。

 ウルトラマンエースも苦戦させられ、カラータイマー点滅まで追い込まれましたが、まさかウルトラの星から応援のサインが飛んでくるとは思いませんでした。それも「立て、撃て、斬れ!」という鬼気迫る内容です。エースは見事にそれに応え、ウルトラギロチンで複数の光輪を飛ばして倒しました。鬼気迫るサイン、凄まじい切断技と、明るい雰囲気の音楽に比して強烈な超獣の最期は、強く印象に残りました。

『ウルトラマンA』第7話を観ました。

 嘗てウルトラセブンに登場したメトロン星人のジュニア、新ウルトラマンが倒した怪獣ムルチの再登場に興奮すると共に、それに超獣を加えた四つ巴の戦いが始まりました。

 妖星ゴラン接近時のBGMは、『ウルトラセブン』にて初めて使用された「ウルトラホーク発進」ですね。『帰ってきたウルトラマン』でも宇宙大怪獣ベムスターの初登場時などにも使われました。確か『ウルトラマンネオス』でも一度使われていますね。『ウルトラセブン』で使われて以来、危機的状況を表現する時によく用いられている印象があります。わたしはこの曲を気に入っているので何度も聴けて嬉しいです。それと共にこの曲の汎用性を感じてもいます。もしかしたら、冬木透さんが音楽を担当されている作品には、割と使われている可能性があるのかも知れませんね。

 メトロン星人ジュニアは、『ウルトラセブン』のメトロン星人とは違い、変身能力を持つ宇宙人と同じような作戦を採用してきましたね。『ウルトラセブン』のメトロン星人は変身能力を少しずつ使用しながらも、人間の風俗を巧みに利用しながら、静かに人間社会の瓦解を狙っていました。しかし〝ジュニア〟と言うだけあって、逆にメトロン星人の風習を逆に利用されて正体を暴かれる点に稚拙さを感じます。

 一方で、妖星の接近と宇宙人の侵略という危機を狙って超獣を送り込んで来たヤプール人には舌を巻きます。まさか怪獣ムルチの出現まで読んでいたかは今のところ不明ですが、この四つ巴の戦いへの発展は、『ウルトラ』史上類を見ない規模となっています。また怪獣を超越した存在である超獣と、それを操るヤプールの力を持ってすれば、メトロン星人とムルチを追い落とすことも不可能ではありません。ウルトラマンエースに危機が迫る今、ヤプールが地球を侵略する絶好のチャンスではないでしょうか。

 繰り返しますが、ウルトラマンエースは追い込まれた状態です。一回目の超獣ドラゴリーとの戦いでエースバリアーを使用し、南夕子の体力が消耗しているのです。「エースバリアーはエースの体力の半分を消耗する」「俺(北斗星司)の体力を使うか、それとも夕子の体力を使うか分からない」と北斗星司隊員は言っていますが、ここに二人合体変身の欠点が出てしまっていると思います。

 正直、男女合体変身という仕組みではありますが、北斗星司隊員に主人公としての比重が偏りすぎている感じが否めないと考えます。南夕子隊員が前に出て主張する場面が、バキシムの事件での目撃証言くらいしか印象に残っていないのです。宇宙人や超獣の化身かもしれない容疑者に探りを入れるシーンは、ずっと北斗隊員の持ち場で、南隊員は北斗隊員にフォローを入れる程度の役割しか持っていない感じがあります。これから話が広がっていく最中ではありますが、どうか南夕子隊員が変身者のひとりとして活躍する機会が与えられれば良いなと思います。

『ウルトラマンA』第8話を観ました。

 『ウルトラ』史上屈指の危機、それに単独で立ち向かうウルトラマンエースの凄まじい戦いが見どころでした。

 前回と今回で迎えた危機は、わたしの思う限り『ウルトラ』史上最大の危機だったと思います。メトロン星人ジュニアの襲来、超獣ドラゴリー登場、そして予期せぬ怪獣ムルチの出現。更には上空に妖星ゴランが迫る中、四つ巴の戦いが繰り広げられました。

 ドラゴリーをエースバリアーに封じ込めた第1幕に引き続き、メトロン星人ジュニアとムルチを迎えての第2幕が開始されたのもつかの間、予想もしない展開が待っていました。誰が超獣ドラゴリーが怪獣ムルチの口を引き裂くと思ったでしょうか! 

 確かに前回の感想では『怪獣を超越した存在である超獣と、それを操るヤプールの力を持ってすれば、メトロン星人とムルチを追い落とすことも不可能ではありません』と書きました。しかし、ドラゴリーは親分であるヤプールの知恵を借りるまでもなく、ムルチを押し倒し、下顎と上顎を順番に引き裂いて殺してしまいました。展開と言い、描写と言い、驚きの結末でした。

 このような圧倒的な実力を持つ超獣と、メトロン星人ジュニアを前にして、エースは2度もエースバリアーを使わされる羽目になりました。結果、南夕子隊員の生命が脅かされることになりました。

エースバリアーの使用で体力を半減させられるのは、前回見た通りですが、それも片方の変身者というだけでなく、ランダム持ち回りですらないのでした。

 南隊員は一時危篤状態に陥りますが、しかし南隊員もウルトラマンエースの変身者としての使命に燃え、這い蹲りながらウルトラタッチを行います。シリーズ屈指の壮絶な状況下での変身ではないでしょうか。

 しかしそこはウルトラマン、太陽光をエネルギーとしているだけあって、妖星の脅威が去って太陽の活動が正常化した瞬間に見事に復帰出来ました。エースのカラータイマーが青になった瞬間に胸を撫で下ろしたのは、わたしだけではないと思います。

 また、ムルチ死亡に引き続き、ウルトラマンエースの必殺技の描写も凄まじかったと思います。切断技で内臓が飛び散り、パンチで腹に風穴が空き、刀の一閃で首が落下。これらの技には言語に尽くせぬ激しさがある一方で、いっそ清々しいまでの爽快感がありました。

 しかし、このような危機に見舞われながらも、兄達の助力に頼らず、単独で敵を撃破したのは素晴らしいです。このような活躍を引き続き観られることを祈っています。

『ウルトラマンA』第9話を観ました。

 『超獣が出現の手段に写真を用いている場合、人命保護の名目で写真の出版を差し止めることが出来るのか』という問題が発生しましたね。

 とは言え、今回の事件は北斗星司隊員の鮫島女史を嫌ってしまっていること、鮫島女史が嘘を吐いて取材を敢行したこと、今野隊員がTACの戦略研究のための写真を撮り損なっていること、鮫島女史が報道の自由を振り翳していることなどが絡み合っているので、事情がややこしくなっている問題があります。しかし、今回は「超獣が出現の手段に写真を用いていること」「写真を撮影した当人が〝報道の自由〟を主張し、焼き増し、印刷を敢行しようとしたこと」に、主に焦点が当たっていると考えます。

 取材のための嘘に名前を使われた北斗星司隊員と、取材を敢行した鮫島女史の言い分は以下の通りです(間違えて聞き取っている可能性があります)。

鮫島「超獣が出るってことを、なんでTACだけの秘密にしておく必要があるの?」
北斗星司(以下、北斗)「それは、皆の安全を守るために必要な措置だったからだ!」
鮫島「カッコ良いこと言わないでよ! 報道の自由を束縛したくせに!」
北斗「そんなつもりはない! 口から出任せの嘘を吐いておいて、問題を摩り替えないでくれ!」
鮫島「摩り替えてなんかいないわ! わたしは根本のことを言っているのよ!」
北斗「黙れ、嘘つき女! だいたい君はねえーー」(北斗星司、鮫島の部屋へ踏み込む)
鮫島「人の部屋に入らないでよ! 家宅侵入罪で訴えるわよ!」
北斗「しかし君が俺の名前を騙って、写真を撮ろうとしたのがーー」
鮫島「撮ろうとしてどうして悪いの? 皆に観て貰ったほうがTACのためにも良いじゃないの!」
北斗「もしそのせいで超獣が現れて、君が殺されたらーー」
鮫島「ええ、わたしはこの通りピンピンしてますよ〜」
北斗「黙れ! このじゃじゃ馬!」
鮫島「何よ、このガリガリ頭、とっつぁん坊や!」
北斗「何ィ?!」(北斗星司、鮫島を殴る)

 わたしは法律の専門家でも無ければ、法学を学んだことも無い外野、門外漢なので、ここでは結論が出ない問題ではあります。しかし、取材をすることは兎も角、写真の印刷や焼き増しによって、生命の危険が齎される可能性が否めない中で、それでも写真の掲載された雑誌の印刷停止を妨害しようとした鮫島女史の姿勢には疑問があります。

 上記の議論は結局、超獣の再登場と、鮫島女史の性格の問題で暈されて終わっている印象です。また、名前を騙られるという被害に遭った北斗隊員は、鮫島女史を始終批判していましたが、彼女の性格から得た一方的な印象で女性の性格をひと括りにしようとした瞬間に、南夕子隊員の仕返しを受けています。鮫島女史と言えば、今野隊員とデートに繰り出していますが、目の前で所属している出版社を問題の超獣に破壊されているので、結果的には喧嘩両成敗になっているのでしょう。

 今回提起された問題は非常に興味深いので、またの機会に個人的に考えてみたいですね。

『ウルトラマンA』第10話を観ました。

 郷秀樹や次郎くん、ルミ子さん達『帰ってきたウルトラマン』の面々の再登場、そして北斗星司隊員と南夕子隊員との交流が嬉しかったです。

 郷秀樹を始め『帰ってきたウルトラマン』のメンバー達が、文字通り帰ってきたことはとても嬉しかったですが、サブタイトルはこれから起こる不穏な事件を告げていました。事実、再登場を果たした彼の様子は、次郎くんやルミ子さん達とも比べても、かなり違っていました。『帰ってきたウルトラマン』当時と比較しても覇気が無く、大人しく、自分の名前すらすぐに思い出せないようでした。

 わたしの思い違いかと考えましたが、すぐにそれが当たっていたことが証明されました。再登場した郷は、自分の好物であるおはぎにすぐに手を出さず、利き手とは逆の手で箸を掴むとおはぎに突き刺して食べ始めたのです。
それにすぐに気付いたのは、郷秀樹を兄とも父とも慕っていた次郎くんでした。超獣が再び現れた時、彼を病室に閉じ込めて出ていったのは、それを見越してのことだと思います。

 郷秀樹の正体がアンチラ星人だと証明された時の次郎くんの表情は、悲壮なものでした。待ちに待っていた郷の帰還は偽物によって偽装されたもので、その偽物によって北斗隊員は殺されかけました。更に偽物が倒されたことにより、間接的に郷の死を目撃させられたのです。

 そんな中でもウルトラマンエースやその変身者達によって助け出されたことは救いだったと思います。北斗星司隊員と南夕子隊員がエースに変身し、救助された時、郷秀樹の匂いを感じることが出来たのです。郷秀樹が新ウルトラマンであり、ウルトラマンエースが新ウルトラマンの弟分であることで、似た雰囲気を感じられたのだと考えます。

 結局郷秀樹の再登場は叶わなかったことになりますが、『帰ってきたウルトラマン』の次郎くんとルミ子さんが、新しいウルトラマンであるウルトラマンエースの登場を見届ける場面を観ることが出来、とても良かったです。

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