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五十嵐貴久「2005年のロケットボーイズ」(人工衛星を作る青春小説)

昔に読んだ小説を読み返しています。

奪取」を読み返していて、主人公と友人、頼りになるかわいい女子と年寄りの組み合わせで何かを作るという話の構造は、「2005年のロケットボーイズ」も同じだったようなと思い出し、読み返してみました。

五十嵐貴久の「2005年のロケットボーイズ」は2005年(18年前)に出版された小説です(18年前なので、それほど昔でもないですけど)。

工業高校に通う主人公が飲酒問題を起こし退学処分を免除する条件としてキューブサットの設計コンテストに参加することが課せられます。工業高校に通うものの理系に興味のない主人公が仲間を集めて人工衛星を打ち上げるまでの話です。キューブサットとは一辺が10cmの立方体サイズの人工衛星。

仲間は、パチスロ仲間の友人、頭は良いが性格が悪く友達が一人もいない同級生や、数学の天才的才能を持つが引きこもりの同級生、不良の留年生、秋葉原のパーツ屋で働くかわいいが変わり者の元カノ、その彼女を一方的に崇拝する大学院生、実家の工場を引退した主人公の祖父などなど、学校や世の中から浮いてしまった面々。

はじめは興味がなくいやいや始めますが、次第にみんなで力を合わせたもの作りにのめり込んでいく様子が描かれます。

ちょっと変わり者の面々を、変なヤツだと心の中で思いながらも、互いの得意な能力を引き出し合いながら力を合わせていく様子が描かれ、面白かったです。

中学生から大学生くらいの方におすすめしたい小説だと思います。

このような青春小説が好きな方には映画ですが、ロボットコンテストを目指す高専生を描いた「ロボコン」もお薦めです。

この本を読んだ当時はキューブサット自体の存在を知らなかったので、その点でも興味を持って読んでいたと記憶しています。そのため、「キューブサット物語」「上がれ!空き缶衛星」などのドキュメンタリー本を続けて買って読んでいたように思います。
最近では、「人工衛星をつくる」「#趣味で作る人工衛星」「あなたの超小型衛星を作ってみませんか?」など、衛星の具体的な作り方の指南書も手に入るようになりました。



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