見出し画像

一周回った話

お正月のこと。1月2日に急にぽっかり時間が出来た私は映画館か美術館へ行こうと情報を集めてみれどなかなかちょうどよく行けるものがありません。だけどたまたま湯島にある旧岩崎邸は1/2から開館してるし、生け花も飾ってありますよ~!という情報をネットで見つけました。天気もいいし、ついでにその近辺をぶらり散歩しよう!と思い立って出掛けました。

その本当の本当に思いつきで行ってみた旧岩崎邸が思いのほか楽しかった…!(写真が旧岩崎邸。ただし屋内は一切撮影禁止のため、"映え"が目的の人には向かないかも?)まさに昔の立派な洋館、という感じで(和館もあります)素晴らしい建物だったのです。さらに現場に行ってみて気付いたことがありました。それは案内所の感じや係の人の対応がまさに観光地のそれだったこと。そこで私はそうか、そういえば東京っていうのは有数の観光地だったんだ、と気付きました。

何言ってんだ、当たり前じゃないかと思われるかもですか、隣接する県に住んでる身としては東京は働きに行く場所であり、ライブや美術展を観に行く場所であり、友達が住んでる場所であり、ちょっとした買い物に行くところであり…といった感じで観光地という意識は希薄だったのです。なので今回のことで東京を観光地として見る目線を持てたことは収穫でした。

ところで話はさかのぼりますが昨年の12月、SNSのタイムラインでは建築家・磯崎新さんの訃報について取り上げる投稿が多く見受けられました。しかし私は磯崎新さんという名前も、またその人がどんな建物を建てていたのかもそれまでよく知らなかったのです。そんな折、先週だったかな?テレビで茨城県は水戸の景色が映った際、やたらと目立つタワーのような建物が目につき、あの建物はなんだろう?と思いました。

その時はその建物のことをそのまま忘れてしまったのですが、そのあとに旧岩崎邸のように都内で見られる名建築は他に無いだろうか?とネットでいろいろ検索していた時にその建物が出て来てハッとしました。それは水戸芸術館という建物(写真がそれ)。そして設計者の名前を見てさらに驚きました。その建物は磯崎新さんが設計したものだったのです。

写真は"いばナビ"のHPから拝借

偶然はそれだけで終わりませんでした。続いて私は図書館で東京の建築をめぐる旅ガイドを借りて読み始めました。そこで"谷根千"という言葉が目に止まります。数年前に谷根千とは谷中・根津・千駄木辺りを総称した呼び名だと知りましたが、正直どの辺の地域かピンと来ていませんでした(極度の方向音痴)。しかしガイドブックを見ると谷根千辺りは何やら面白そう!根津神社とか、谷中銀座とか。次に都内をぶらり散歩するなら谷根千にしようかな?と思いました。

そんな風に思った翌日かその次の日か、月刊誌『新潮』が発売になり、例によって坂本龍一さんの連載を読みました(今月で最終回)。するとそこに坂本龍一さんが谷中のギャラリーを訪れたことが書かれているじゃありませんか!どうやら谷中の"SCAI THE BATHHOUSE"なるところらしい。そこで私はガイドブックにこのギャラリーは載ってたっけ?と確認してみたら、載ってた!昔の銭湯をギャラリーとして使ってる場所で、ここも面白そうだなあ~と思って見ていた建物だったのです!

写真はSCAI THE BATHHOUSE公式HPから拝借

ここまで重なればもう絶対谷根千に行くっきゃない!と思いますよね(笑)それでどうせならそのSCAI THE BATHHOUSEが展覧会を開催してる時に行こう、とさらに調べてみることに。すると次回の展覧会は赤瀬川原平写真展「日常に散らばった芸術の微粒子」という展覧会らしい(1月26日~3月25日まで。Selected byに蓮沼執太さんの名前も)←※この展示はBATHHOUSEでなくSCAI PIRAMIDEの方でした!2/10追記

赤瀬川原平さん…。はて、私は勉強不足でこの人のこと知らないなあ、とWikipediaで調べてみると、赤瀬川さんは前衛美術家であり、随筆家であり、作家でもあったらしい。そしてそこにはライカ同盟についても書いてありました。ライカ同盟のことはちょこっとだけ知っていた私、そうか、赤瀬川さんのことを全く知らなかった訳ではないんだな、と気付きました。

しかし何に一番驚いたかというと赤瀬川原平さんのお兄さんは磯崎新さんと旧制中学での同級生だった、という記載があったこと…!えーっ?!一周回ってまた磯崎新さんにたどり着いたことになります。本当にビックリしました。こりゃもう建築についてもっと深掘りせねばならないってことではないの?と思い始めているところです(しかし出来ればご存命のうちに出会いたかった…)。

…というわけで最後にここ2週間に起きた一連の出来事についてまとめてみますと、いろんな偶然が起きたけど、とにかく旧岩崎邸に足を運ばなければここまで建築には興味を持たなかっただろうな、と思います。一年の計は元旦にありと申しますが、元旦にたまたま思いついたことがこんなにも広がるとは(笑)てことで今年も勘と思いつきで乗りきっていこうと思います!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?