その目に、目眩!ギタリスト MIYAVIさん

 ある美容メーカーが美容師さんとのコミュニケーションツールとして贅沢なフリーマガジンを出していた。残念ながら、廃刊になったけれど。私はそこでさまざまなアーティストやアスリートへのインタビューを担当していた。

 私が携わった最初の取材は、あの超絶スラップ奏法のイケメンギタリストMIYAVIさんだった。もう11年前だ。メイクした写真しか見ていなかった私は、素顔のMIYAVIさんの「初めまして、よろしく」の目と声と立ち姿に思わず目眩! 

 気を取り直してインタビューを始めようとすると「あれ、録音は?」と。「はい、しない主義なんです。メモ派なので」なんて、私。バカだな、録音しておけばよかった。

 音楽をかけてポージングしたり、ギターを弾きながらの撮影はもうカッコいいったらなかった。

 雑誌のその号のテーマは「手は脳である」。私が書いたキャッチは「手と脳が炸裂して、世界のどこにもない音が生まれて行く」唯一無二を生み出す全身音楽細胞ギタリスト

ギターを弾く手のアップの写真横には「怒りやせつなさを手の表情筋で弾く」とコピーをつけた。

 プロを目指していたサッカー少年の挫折とギターやスラップ奏法との出会いなどについてインタビュー。記事の小見出しには「伝わらなければ、音はただの記号にすぎない

自分に強く立ち向かう人をリスペクトする」とある。懐かしいな、この記事。彼の胸に刻まれたタトゥーは「不退転」の3文字だった。

 数年後、あるコンサートの終演後に、関係者だけのパーティーにちょっとご縁があって潜入。MIYAVIさんに、雑誌の表紙(MIYAVIさん)を見せながら、ご挨拶。もちろん私のことは全然覚えていなかった。でも、いいの。

「みなさん、お元気ですか」と礼儀正しくて、スマートな受け答えは相変わらずで、幸せな気分になったから。以来、ずっとずっと応援しています。まるで親戚のおばちゃんのように。


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