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自分で決める責任範囲、その先の景色

結婚式=一生に一度、失敗が許されない

そんな大舞台の中で、
5年前の私は修行させてもらっていた。

私よりもスキルがあって経験がある人がたくさんいる中で、経験値を上げること、ひとりだちすること、お客様を幸せにすること、その全ての期待を受けて(と思ってるのは本人だけなのだけど)

お客様の人生の大舞台に役割を持って存在することは足が震えるほど怖いことなのだ。

あるパーティーでキャプテンをさせてもらった時のこと

その時のプロデューサーである先輩からもらった言葉のギフトを今でもずっと大切に思い出すので、noteに残しておこうと思う。

※キャプテン=結婚式当日の進行役


私自身、
オリジナルウェディングの経験しかないことを念頭に置いていただけると嬉しいのだけど

オリジナルウェディングとなれば
毎週会場が変わり
おふたりの控室、入場導線、ドレスの手配経路も
ふたりのファーストミートの有無
ご両親とのファーストミートの有無
人前式をする場所も、どこを正面にするかも、誰と入場するかも、何をするかも、パーティーのふたりの立ち位置、動くタイミング、コンテンツも
さらには、その一つひとつに込められた想いも全て変わるもので

・事前にその情報を全てキャッチすること
・当日ふたりとリハーサルをすること
・本番を滞りなく遂行すること

言葉にすると簡単な様で
キャプテンとはこの3つをやり遂げるだけで、お腹いっぱいな役割である。

ここまで書き出してみても思うけど、
オリジナルウェディングって、本当にいいよね(語彙力)

結婚式でジャンケン列車!全てに意味があるのがオリジナルウェディングの魅力


毎週のように、キャプテンという仕事を全うしていた頃の出来事
まだまだ手探りだった私は、週末になれば、おふたりからもらう幸せな気持ちと、反省の気持ちを両方握りしめて帰路についていた

そんな中
野外での人前式

ゲストが大盛り上がりする中、
腕を組んで退場していくふたりは
退場口で振り返らず、そして一礼をせず進んでいってしまったのだ

いつでもふたりのそばにいて指示を出す役割の私は
まずい!と思い、ダッシュでゲストをかき分け退場口に向かって、さらには「おふたり振り返ります〜!」と大きな声で伝えた

けれど、緊張して足速になっているふたりに間に合うことができなかった

そうすると私の脳内はこんな気持ちで埋まっていく

リハーサルで伝えたのに
ゲストが思った様に避けてくれなくて間に合わなかった〜
声でも伝えたけど、歓声が凄くて
ふたりが早く歩きすぎたよね

なんてこと

そこにプロデューサーの先輩がやってきて
なんでふたりは最後みんなに一礼ができなかったの?説明して?と、

私は想像の通り、言い訳をつらつら述べた。
え〜リハーサルでは伝えたんですけどね。歩くの早くって。
…声も出して伝えたんですが、歓声がすごくてふたりに届きませんでした。

そんな私をみて先輩が伝えてくれたことが、今でも私を正してくれると言える。


ぶちはふたりの結婚式で
自分の責任がどれほどあるか、考えたみた?
どこまでの責任を持つか決めた?
さっきの一礼をふたりに伝えられるのはぶちだけだったよ
ここからは自分の仕事に対して
どこまでの責任範囲で取り組むのか自分で決めて
おふたりと向き合って欲しい


自分の仕事の責任範囲…
確かにその当時、最後の責任は私にはない、と思っていた。
先輩は別にふたりの足を掴んででも一礼させろと言いたかったわけではない。私のどこか中途半端な気持ちに気づいていたんだろうと思う。

私は
この5年間、この言葉を思い出さなかった現場が存在しない。

自分の都合のいいところだけをみて”ふたりの幸せを作っている”と思っていた私にとっては、痛くて痛い言葉だったから。
これまで頑張ってきたつもりだったけど、中途半端だったと自分で認知したとき、たまらなく辛かったから。
もう二度と中途半端な気持ちで、ふたりの人生の大舞台に立たないと決めた日だった。

結婚式の仕事をしていると、常に責任範囲を問われる場面に合う。
それは小さなことも、大きなことも。

会場の端から端に用事があって急いでいるとき、ゴミが落ちていたら?
軽くレクチャーされただけの照明をやるとなったら?言われた通りにやるだけでいいの?
リハーサルの時間が5分しかない?
席次表の表記が間違っているかもしれない?
1時間も前にゲストが来てしまった?
交通機関が乱れていてゲストが来ていない?

予想外のことが常に起こり
1日にものすごい量の判断・決断を迫られるし
それを全て数秒で決め、指示を出して、数時間後の未来に意識を向けて
その上でふたりとゲストの幸せを創っていく。


その日から、どんな現場でも最高責任者として向き合ってきた私は、今、プランナーをしながら、キャプテンの仕事も両立している。

リハーサル中、たのしそうなおふたり

パーティーが始まる前の
朝の支度時間、リハーサルの時間、前撮りの時間も全て、ふたりと一緒に楽しみながら、肩の力を抜いて過ごさせてもらっている。

自分で自分の責任範囲を決めてまっとうできることは、緊張して笑顔がなくなり、ガチガチになってしまうことではない。
心の中でスッと覚悟を決め、それを自分との信頼にして、ふたりの人生を一緒に体感して泣いたり笑ったりできることなのだ。


責任範囲は他人に決めさせない。
自分で決める。
それこそが、愛おしい景色をみれる第一歩。


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