「デトロイト」人種差別の先にあるもの

黒人たちの不満が爆発して起こった1967年のデトロイト暴動と、その暴動の最中に殺人にまで発展した白人警官による黒人たちへの不当な尋問の様子をリアリティを追求して描いた社会派実録ドラマ。67年、夏のミシガン州デトロイト。権力や社会に対する黒人たちの不満が噴出し、暴動が発生。3日目の夜、若い黒人客たちでにぎわうアルジェ・モーテルの一室から銃声が響く。デトロイト市警やミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元の警備隊たちが、ピストルの捜索、押収のためモーテルに押しかけ、数人の白人警官が捜査手順を無視し、宿泊客たちを脅迫。誰彼構わずに自白を強要する不当な強制尋問を展開していく。ー映画.comより

人種差別の先にあるものは何もない。
この作品を見てそう感じた。
何もないと一件レイシストにも見える。
そういうことではない、無というとこだ。
怒りにも近い無というか、これほどふざけるなと感じた作品はない。

何もないというのは、レイシスト側にとっても差別をすることは意味のないことだし差別される側の怒りも暴力で示すことは何にもならないということだと思う。

ちょうどこの作品を見ている時に感じたのは差別主義者への反感ではなく白人への怒りを感じたがそれも全く見当はずれということを気づかされる。
白人の黒人に対する偏見、またその逆黒人の白人に対する偏見。
この対比をところどころ見せてくる所は人種差別というものを説いているようにも感じた。

この作品の舞台は1967年だが、この問題に関しては2018年現在もなお続く問題だということを改めて確認してから見るべきだと思う。

https://matome.naver.jp/odai/2141951746314279301

映画としてのこの作品は非常に良かったと思う。
特に手持ち特融のブレ、登場人物たちの精神的不安や心情を表しているように感じた。
そして出演者たちの演技にも圧巻させられた40分もの尋問、拷問シーンでは黒人側の手の震え、表情など観ている観客に訴えるような動き。
あれはもう演技とは言えないほどだったと思う。
それと白人警官たちの動きにも注目すると、あれほどまでの非人道的行為を演技するということは演者自身の精神を蝕んだに違いない。

人種差別という根深い問題
また日本人だから人種差別という問題はないと無関心でいるべきことではないし現在もなお続く問題だと痛烈に胸に打ち付けるような作品でした。
息が詰まるほどの40分、胸が張り裂けそうになるラスト。
人生に残る1本でした。

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