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嫉妬するくらい「モバイルハウス計画in上通り」に感じる可能性。

8/1-31の1ヶ月間、上通りのオモキビル跡地で、作家/建築家の坂口恭平さんによる「モバイルハウス計画in上通り 建てずに都市を変える」が開催されるので、これについていろいろ書いておく。

イベントの詳細は、↓のフライヤーや坂口恭平さんのTwitterで。


まずは、今回の会場であるオモキビル跡地についてご紹介。

オモキビルは、「跡地」になる前、上通アーケード沿いにある2階建てのビルで、飲食店やビルオーナーのオモキさんが運営するGallery Atticが入っていたのだが、熊本地震による被害で解体を余儀なくされた。

※↓は、現在のオモキビル跡地(55坪)。


元々はオモキさんのご実家だった建物で、家業だった漆塗りの作業場(現在は廃業されている)もあったらしく、以前作業場として使われていた空き部屋に入ったとき、なんだか作り手の菌のようなとのがあるのか、その空間に急激に惹きこまれたのを覚えている。

...というか、急激に惹き込まれすぎて、2013年5月の1ヶ月間、私はその空き部屋を借りて、三角エコビレッジサイハテの発起人でありマルチアクセスアーティスト工藤真工を中心としたグループ展「#お好きにどうぞ展」を開催した。

※↓の2枚の写真は、#お好きにどうぞ展に参加した、台湾人のクリエイターMikey Panによる壁画。

今回の「モバイルハウス計画」で、その跡地に
・クスノキ、スギ、マツ、モクレンなど
・ハーブ、シロツメ
・モバイルガーデン
などの草木や、
・チムチムバーガー(ハンバーガー、ドリンクなど)
・2Fモバイルハウス
といったモバイルハウスを1ヶ月間常設することで、街のど真ん中に森をつくるというものらしい。


今回の企画を、都市のど真ん中の空き地に移動型の店舗や建物、テントや草木を設置して、人が集まる場所を作る...という話と解釈するなら、メジャーな事例は東京の南青山にあるCOMMUNE 2nd(元COMMUNE 246)じゃないかと思う。

COMMUNE 2ndは、東京の未来の空き地の在り方をテーマに、空地の暫定利用プロジェクトで、どんな場所かざっくり言うと「オシャレ屋台村」とか「オシャレ屋外フードコート」という感じ。

レトロなワゴンで出来たフードカートや屋台風のお店で、ハンバーガーなどの食事類、世界のビールやコーヒー、メガネ専門店やサンダル専門店、変わった野菜しか置いてない八百屋なんてものをあり、ホント色々なものが売られている。

ここが面白いのは、ただそれだけじゃなく、仕事をするためのシェアオフィスや自由な学びを提供する自由大学が併設されてたり、イベントであればDJイベントから暮らしや社会に関するトークイベントまで企画に振れ幅があるせいか、そこに多様性が受け入れる1つのコミュニティーが形成されてたりするところ。

私も仕事で東京へ行っていた頃はよく寄っていたのだけど、初めて行ったとき、1つの店舗でフードを買っていたら、別の店舗のドリンクもオススメされて結構驚いたりもした。

今回のモバイルハウス計画in上通りと、東京のCOMMUNE 2ndでは場所も規模感も全然違うのだけど、共通点はあると思っていて、それは「待合せ場所」や「休憩所」や「溜まり場」になりえることじゃないかと思う。

空き地として時間が止まった場所も、人が集まる場所になれば、風も流れて土地も起きるし、人が集まってしまえば、坂口恭平さんも同じようなことをすでに書かれているが、そこに集まる人を起点にいくらでも新しいことがやれるはず。

そして、あの跡地の面白さは、背面側にマンションがあることで生まれる可能性がある縛りと、メインアーケードの横にはあるけれどオーナーのオモキさんの私有地なわけで法律や条例の縛りをスルー出来る可能性のバランスじゃないかと思う。
(ただ、屋外なので天気は心配)

「なんでも出来る」というのは面白くなくて、何か制限や縛りがあるから生まれる企画や楽しさというのもある。

例えば、ほとんど音が出せないとかであれば、”世界一静かなフェス”とも言われるサイレントフェス(※1)のシステムを持ってきて、アーケードの真横で小さな音楽フェスを開催したら面白いかもね!なんて話になるかもしれない。

※1…「サイレントフェス」とは、”世界一静かなフェス”とも言われる、専用のワイヤレスヘッドホンを使い参加者全員で1つの音楽を共有する新しい音楽体験のカタチ。周りから見ると無音に見えるので、どんな場所でも誰にも迷惑をかけずライブを楽しむことができる。



話は変わるが、最近、日本の各地で、地域活性の目的もあって「Art Week」や「芸術祭」のようなものが開催されているということを聞く。

それが良い悪いの話は置いといて、熊本も誰かなんかやらないのかなー?と思いつつ、同じようなことをやったってつまらないので、「自分が熊本でやるなら何やるか?」なんて妄想を最近していた。

少し話は変わるが、地方への移住促進の流れを見てて、都心と地方で人材を取り合ってるようで、実は、「移住したい」と思っている人達の小さなパイを地方同士で取り合ってるのが現実のように感じる。

どんどんテクノロジーが進歩していく世の中で、隣県では、インターネットやデジタルクリエイティブの話で盛り上がって、どんどん新しいことを仕掛けている。

そんなのを見ていると、隣の芝生は青く見える現象で羨ましさもありつつ、他所とは違う方向で熊本の色を出せるものを尖らせて、得意分野の違うもの同士で連携する...みたいなことを地域間でやれたら良いのではないかと思ったりする。

で、「その得意分野って何さ?」と言われると、これだー!と言えるものが何かというは今は明確に答えれないのだけど、自分にとっては今回の「モバイルハウス計画in上通り 建てずに都市を変える」がそれを見つけるキッカケになりそうな気がする。

嫉妬したくなる楽しみな企画だったので、最後にオモキさんからいただいたコメントを。

僕がなんとなく抱いてた「ただビル建てても、返済に追われるだけで、自分の好きな上通でワクワクすることできない」というモヤモヤした思いを、建築家の坂口恭平くんがクリアにして、そのヴィジョンを形にまでしてくれました。
まず8月は彼自身がプロデュースしますが、それから先は特定の一人あるいはグループをフィーチャーして、その人達のスタイルをみんなで感じるようなスペースにするってのが面白いかと思っています。

ご興味ある方はぜひー!

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