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広告を考えるハナシ

こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。
ビルドは札幌市でイラストとグラフィックデザインをメインにしている就労継続支援B型事業所です。

最近のビルドはインスタ広告を試しています。
ビルドも5年目。地域には楽しそうなB型事業所がたくさんあるのと、入れ替わりが少ない事業所なのでたまには人目に触れてきたいな?と思い......。

動画作ったりしたので、いっそTikTok始めるか???とか謎の思考になりつつありますが
自社広告はめったに考えることがないので、どんなふうに考える?の流れを記録してみたいと思います。
書いてたらめっちゃくちゃ長くなったので、結末だけ知りたい方は
5.ビフォーアフターを。
ちょっとだけデザインのことを知りたい方は
3.広告を作ってみよう(1枚目)を。
ビルドの魅力を知りたい方は
2.ビルドのウリは何だろう?
だけでもお読みください。


1.どんな切り口にしよう?

広告を考える時は、まずペルソナ設定です。

うそです。そんなに細かく考え込んでません。ごめんなさい。
もうちょっとざっくり、ターゲット層を想定します。
こっちは、日ごろから利用者さんやお問い合わせいただく層、見学→利用に至る層とデータがあるので絞り込みやすいですね。
ビルドはB型なので、年齢層は幅広く。
興味関心はイラスト・デザイン・ものづくり。

ビルドの利用者さんの大半は「いつかは働きたいと思っているけれどまだ自信が持てない」「体調に不安がある」「ちょっと働くのに疲れちゃったからゆっくり調子を取り戻したい」という方たちです。
社会経験が少ない方も多いですね。
→ビルドは就職を目指せるB型だけれど、前面に打ち出すのはやめておこう。

最近は個人活動を志向している方が多いのでビルドでも個人の制作活動のサポートが多いです。将来的にハンドメイド作家(兼業)を目指していたり、展示活動をしていたり、なんらかの手段で自力でお金を稼ごうと考えている方がたくさんいます。
また、実は企業とのやりとりがあるけれど自分でマネジメントするのが難しいという利用者さんのマネジメント(企業とのスケジュール調整など)を行っているケースもあります。
在宅就労の方も多いし…

というわけで

フリーランスを目指しているけれど、どうしよう?という人をターゲットにしてみようか?

という結論に達しました。
イラスト・デザイン・ハンドメイドどれでもいいけれど、まずはイラストを切り口にしておくことにします。

2.ビルドのウリはなんだろう?

ビルドのウリは、なんといってもグラフィックデザイナーとイラストレーターが在籍しているところです。(福祉系専門職もいまーす/小声)

多くのクリエイティブ系(と、ひとくくりにしますが)も、だいたいスタッフはプロフェッショナルだとは思うんですけどね。
体調的にビルドまで来るのが難しくて泣く泣く断念する方たちが口をそろえて言ってくれるんです。
「ビルドなら実績作れそう」「仕事が動いているイメージがある」って。
※そんな皆さんには「近くの送迎ありの事業所やデイケアで体調整えて、元気になったらまた来てね~」と送り出します。

  • イラストやデザインのお仕事をしている姿を間近に見ることができる。

  • 実際の仕事の経験をもとに助言を受けられる。

  • そして、その仕事を自分も担当できる。

うん。
魅力的だと思います。

ただし、ここ最近の見学者さんからのリアクションだと「レベル高そう」「難しそう…」と尻込みされる様子も見受けられるので、広告における情報出力度合いには調整が必要そうですね?

もうひとつの魅力は個別担当制であることです。

基本カリキュラムは用意してありますが、利用者さんのニーズやレベルに合わせてカスタマイズしつつ、スタッフそれぞれがアレンジした練習課題を個別に提供しつつ練習をしています。

例を出すと…

絵を描くのが好き
二次創作がメイン
仕事にする気持ちは今のところ無い
働きながらプライベートでイラストを描ける生活を目指したい

  1. 副業的にコンペ参加する想定で、納期とテーマを設定した二次創作のイラストを描いてみよう。

  2. 同人誌制作の時間を取りつつ、ビルドの事業に参加して仕事と趣味の両立を経験してみよう。

  3. 個人でイラストを描くためのスキルアップに必要な練習をしつつ、通所リズムを整えよう。

似たようなニーズでも、フェーズや状況が異なるので、やり方が変わります。
おもしろいですよね。

このように柔軟な対応ができるのも、「人対人」で対応できるから。
外部講師や共通カリキュラムでは難しい部分にアジャストできます。

3.広告を作ってみよう(1枚目)

ミーティングで打ち合わせしながら、ざっくりイメージを示します。

パソコンデスクの前で冊子を広げている人と、その冊子を指差している人の写真。指導しているように見える。キャッチコピーはフリーランスで働きたい方へ。イラスト・デザイン・ハンドメイドの文字。
手元にあった既存の写真に適当に文字を置いて、超テキトーラフです。

ちなみに合成?重ねてのっけているイラストは、ビルド名義で表に出せる数少ない実績SPマンのラフイラスト。(キャラクターデザインのご用命お待ちしております!!!)


そして、デザイナーのスナオさんにレイアウトしていただきました。

広告用の画像。メインビジュアルはパソコンの前でタブレットを開き、画面にSPマンのラフイラストが表示されている。指導している風の手元の写真。フリーランスで働き多い方へというコピーが上下に分かれている。そのほか付せん風のデザインで「デザイン・イラスト・ハンドメイド作家」と表記。周囲にオレンジ~黄色のグラデーションの太めの枠がデザインされている。
1稿目

はじめて出す広告なのと、インスタ広告の方向性が見えていないので、試行錯誤……。

出たフィードバックは

画像のトリミング、もうちょっとダイナミックに
画像そのものを大きくしては?
「フリーランスで働きたい方へ。」の「へ。」いらなくない?(なんか、ごめん…話した勢いでそのまま書いちゃったからラフの文言推敲してなかったっす)
キャッチコピーとデザイン・イラスト・ハンドメイドが混在しているかな…

など。

その場でしゅしゅっと修正していただき‥‥

手元の写真のトリミングが拡大されて、全体の余白を狭くして写真自体が大きくなっている。デザイン・イラスト・ハンドメイド作家の文言が上部の余白にまとめられ、写真の上にフリーランスで働きたい方!と2行に分けて記載。
第2稿

→インスタ広告=インスタ投稿と考えると、もっと写真メインでいいかも?

縁に少しオレンジ~黄色のグラデーションの枠が残りつつ、ほぼ写真前面。上部に付せん風デザインでデザイン・イラスト・ハンドメイド作家と記載。画像を挟むようにフリーランスで働きたい方!と記載
3稿目

悪くない…悪くないけど…「フリーランスで働きたい方!」が上下に分かれているのが気になるかなあ。
なんか、インスタ投稿ってこんな感じじゃない?と、急遽Canvaで作成してイメージを伝えてみたり。

画面全体が写真。細い白い線で四角く枠が書かれている。上部に太字で「フリーランスで」細字で「働きたい方!」とジャンプ率を変えて記載。下部に、イラスト・デザイン・ハンドメイド作家と記載。
イメージ画像

…と、試行錯誤を経て完成したのがこちらです。

写真全面・上部にジャンプ率を変えて白文字でフリーランスで働きたい方!と表記。下部に黄色帯でデザイン・イラスト・ハンドメイド作家と記載。
決定稿

・・・・・・
難産でしたね……。

はじめてのことなので、しょうがないです。全員「どうしよう?」と手探りだったのもので。
あの、ここまですでに2000文字超えているのですが、実はこれでまだ画像1枚目のやり取りなんです。
もしお時間ありましたが、画像2枚目のやり取りまでお付き合いくださいませ。

4.広告を作ってみよう(2枚目)

ここまで読んで皆さんお疲れでしょう。ミーティングも過酷でした。
しかし2枚目もあるのです。
今回のインスタ広告はカルーセル投稿を想定しています。
1枚目でキャッチーに、2枚目で詳細を説明という想定です。

というわけで2枚目のデザインを練っていきます。

上部に付箋で「工賃がもらえてスキルアップもできる」その下にチェックリスト風にイラストレーター・デザイナーが在籍。未経験でも大丈夫。リモートワークも可能。就労継続支援ビルド。
1稿目

画像2枚目、かわいいしわかりやすいんですけど
すでに1枚目のデザインの方向性が異なってしまったので、まずは1枚目とトンマナを合わせていただく必要があります。
グリッドと使用しているフォントが相性悪いという指摘もあり、合わせてその点も修正。
「!」も多すぎるので整理。


全体に黄色を基調にデザインチェンジ。文言は同じ。
2稿目

2枚目画像については、原稿が特に無かったのでミーティングで出た言葉の中からスナオさんのほうで整理していただいた形です。
その上で…「工賃がもらえてスキルアップもできる」は、確かにそうなんだけれども、1枚目の「フリーランスで働きたい」に訴求したときの整合性がとれてないかもね?となりました。

ん~、じゃあコピーを変えたほうがいいね、ということで「スキルアップしてフリーランスを目指そう!」に変更してもらいました。


上部の文言を工賃がもらえてスキルアップもできる、に変更
3稿目

よ~し、完成!と思いきや…

イラストレーター・
デザイナーが在籍
未経験でも大丈夫
完全個別で丁寧に指導
リモートワークも可能

の、右上の余白、気持ち悪くない???
という指摘。

お読みの皆様、そろそろ「こまっけぇなあ!」とイラついてきた頃でしょうか。
余白もデザインのひとつなのです。
意図せず生まれた余白は美しくありません。調整が必要です。
もう1枚お付き合いください。

デザイナー→グラフィックデザイナーに変更して文字数のバランスを取ってもらいました。
(あとついでに文字間行間も)


イラストレーターやデザイナーが直接指導を、グラフィックデザイナーやイラストレーターが直接指導に変更
決定稿

5.ビフォーアフター

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

1案目も悪くはないんですけどね。最初の広告出稿だったので、ちょっと気合入りすぎましたね。

1稿目の1・2枚目を並べた画像
before


最終稿の2枚を並べた画像
after

自社広告考えるの珍しいので、普段は表に出せない「デザインするときに考えていること」を公開させていただきました。
もちろん、これはすべてスタッフ間でのやりとりです。
実際の作業訓練の時はもうちょっとマイルドにわかりやすく段階を踏んでいきますし、そもそも自分でゼロから広告をプランニングするところまでやることはないのでご安心くださいね。
デザイナーとプランナー、別の仕事です笑。

普段の作業ではクライアントワークが中心なので、原稿はお客様提供ですからレイアウトメインになります。
実際はレイアウトのラフももうちょっと丁寧にお示しして、指示通りに並べるというところからスタートです。
作業練習の中では、自分でゼロから広告を作成する練習も行い、ゆくゆくはクラウドソーシングなど含めてフリーランスで活動することを目指すことも可能です。

今日の長いnoteを読んで気になるなあ?と思った方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせくださいね。


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