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「環境エンリッチメントの提供は飼育ヘビの行動と福祉に影響を与えるか?」邦訳(概要のみ)

Does the provision of environmental enrichment affect the behaviour and welfare of captive snakes?
June 2021:Applied Animal Behaviour Science 239(3):105324
オランダの学術雑誌に掲載された原著論文「環境エンリッチメントの提供は飼育ヘビの行動と福祉に影響を与えるか?」を和訳する試みです。

公開されている概要のみ。詳細なデータは購入しないと読むことができません。いずれ買います。

前提:エンリッチメントとは
飼育動物のために、飼育環境に変化を与えること、飼育下の刺激不足の環境において、種に適切な行動と心的活動を発現させる刺激を与えることなどと定義される。(Wikipedia)
もともとは動物園などの施設で行われてきた取り組みで、
動物福祉の観点から、飼育環境に「動物が持つ野生本来の行動を発現できるような施設づくりや工夫」を加えて、環境(environmental)を豊かで充実(enrich)したものにしようという試みを指す。
一般のペットでよく行われていることとしては、
ペットの猫のためにキャットタワーを設置する、犬のために犬小屋を用意する…等も環境エンリッチメントに含まれる。

 

ハイライト

・ケージのレイアウトをより複雑にすることによって、ペットのヘビの生活はより豊かになる。
・ヘビは、通常のケージと比較して、複雑なレイアウトのケージを明らかに好むことがわかった。
・環境エンリッチメントは、飼育されるヘビにとって有益であることがわかった。
・飼育されているヘビは、環境エンリッチメントを加えられたケージで飼育することを推奨する。

概要

様々な種類の動物において、環境エンリッチメントの効果を示す根拠は豊富に存在する。
しかし、飼育下の爬虫類に対するエンリッチメントの効果に関する研究は比較的少ない。そこで本研究では、環境の複雑性がコーンスネークの行動と福祉に有益であるかどうかを確認することを目的とした。
この研究では、家庭用飼育ケージの行動観察、不安の行動テスト、嗜好性テストを組み合わせて行った。ヘビはエンリッチメントを利用できるときは利用し、エンリッチメントを受けたヘビは一般的な行動に変化が見られ、福祉が向上したことを反映した。
しかし、不安行動テストでは、エンリッチメント提供による行動への影響はほとんど見られなかった。一方、ヘビは選択肢を与えられると、エンリッチメントを施した囲いを強く好むことが示された。これらの結果から、飼育下のコーンスネークの行動と福祉には、環境に複雑さを与えることが有益であることが示唆された。したがって、飼育中のヘビを飼育する際には、エンリッチメントを用いることを推奨する。

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