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ヤワゲネズミはいいぞ ③繁殖、より専門的な情報

①繁殖サイクル


メスは性成熟すると周期的に発情しますが、周期に個体差があるとされています。平均値は4-7日周期ですが、同じ個体でも周期にばらつきがあり、一番長いと16日ごとにしか発情しない個体がいることがわかっています。
こういったメスの場合、オスとタイミングが合わないとペアリングから1-2ヶ月妊娠が確認されないこともよくあります。

妊娠期間は21日~25日平均出産数は10匹と言われています。
出産数にはばらつきがあり、10匹を中央値に8~20匹とされています。
出産数は親の栄養状態によって変動すると考えています。

痩せているヤワゲネズミはフルアダルトでも5匹以下しか産めません。よく太って100gに迫る体格のメスは一度に20匹の子供を生み、育て上げることができます。

出産して数時間後に発情し、妊娠可能となる(分娩後発情)ため、うまくタイミングが合えば、4~5週間ごとに続けて出産する可能性があります。
このサイクルですと、リタイアになるまでに最低4~5回出産できることになります。

ラットほど子食いはしません。することもありますが、それは適切に飼養されていないためです。飼育環境を見直してください。

リタイアになるにつれ出産数が減少し、育児放棄の頻度が上昇する印象があります。その場合は、母親を単体で隔離することによってある程度は予防できるようです(海外掲示板より)。

雌雄の判別は他のげっ歯類同様、生殖器と肛門の間隔で簡単に判別できます。
乳首の数が多く、ピンクの段階でも大変わかりやすいので、生後5日目には尻を見なくても乳首の有無で雌雄判別できます。

離乳は最短で3週齢、理想は4週齢です。
体重の目安は15g程度、余裕があれば18gまで様子をみてやったほうが安定します。

親メスが連続で妊娠している場合、先に生まれた子供が3週齢になるとそろそろ次の子供を出産します。先に生まれた子供がいると、あとから生まれた子供が乳にありつけず死んでしまうことがあります。

その場合は、先に生まれた子供を3週間で離乳させます。
ただし、この時点ではまだ十分に発達しきっていないため、普段与えている餌のほかに高カロリーで食べやすい餌を与えて成長を促す必要があります。

②親個体の栄養状態

脊椎動物の中でも、特に哺乳類は、種を問わず繁殖において親の栄養状態が重要になってきます。
産仔数が多く繁殖ペースの早いげっ歯類であれば、なおさら親個体の栄養管理は避けて通れない問題となってきます。

②繁殖で必要な体型でも述べた通り、まず親が生存のために余裕がなければ子供を産んでも育ててくれません(育児放棄)。
また、親個体に育てる気があっても、母乳の分泌量が足りず、せっかく産まれた子供のほとんどが死んでしまう…といった残念な結果になることも度々見受けられます。
死んだ子供に外傷が見受けられない場合、死亡原因はほぼ母乳不足と考えて間違いありません。
親個体が生存・成長していくには十分な栄養が与えられていても、繁殖を進めていくと、段々と足りなくなっていきます。

母乳は血液から作られます。これは哺乳類全般に共通することですね。
母乳の量を増やすためには、まず循環血流量を増やすことが必要となってきます。そのために、下記の様な対策を講じています。
・水分の多く含まれた餌、ゼリーを用意する
・高たんぱくな餌を与える
・鉄分、カルシウムなどのミネラルの補給
・保温
・親個体が運動できる環境を用意する
・親個体の消耗を減らすために十分な隠れ家を用意する
・親個体にカロリーの高いおやつを与える


③より専門的な情報、FAQ


 現在、日本語のWEBサイトで、根拠に基づいた正しいヤワゲネズミの情報がまとめられたところはほとんどない状況です。

前述の誤訳と思われる誤情報が広く認知され、不適切な飼育環境におかれているヤワゲネズミが高額で取引されています。

しかし、不健康なヤワゲネズミは繁殖に適さず、ほとんど産まないか、産んでも子供を育てることができません。

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