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驚異と怪異(好きな人を展示したい)

今年の6月。いってきた福岡旅。後輩であり友人である旅人Yちゃんと。彼女が以前から激推ししてた展示「驚異と怪異」in福岡市博物館(もともとは大阪のみんぱくでやってた。それの巡回展です)がこの旅のメインだった。

思った何倍もよかった!まずは博物館がGoogleマップの写真でみたより10倍でかくて、早々にテンションが上がった。大きいというだけでわくわくしてしまう。

おもった10倍でかい福岡市博物館

真っ暗な展示室のなかに、大小いろいろな空想上の生き物の像とか彫刻とかお面とか仮装とか、諸々の立体物が並んでいたけれど、とにかく思ったことは昔の人は驚異も怪異も、あまりにも普通のことで生活に根付いていたんだなということで。そこに「あった」のだろうなと、人々の感情の奥底に確実に住んでいた生き物がそのまま具現化されただけだよ、みたいな生命力を感じて、ウワアアアってなったのです。自分も今、自分の中にある感情をみつめていたいと強く思ってて。それの一環で恋愛小説をかいたりしているけれど、それはなかなかに難しいというか。「既婚者なのに恋愛してどうする?」みたいな言説を度々投げかけられるけれど「そこにある」ものを見つめることをやりたい、みたいなことが今の私にとって大事だから、恋愛だって「怪異」なんだなきっと。と思っている。現実を見なさいともよくいわれるけれど、私にとっての現実は「感情」の方なんだと思っている。だけどそれは目に見えないものだから他人からしたら「一時的な気の迷い」「暇やから考えてまうだけ、働け」みたいな感じに扱われてるけど「ある」からね。みたいな感情。だからこの展示を見て私が思ったことは、自分が主催者になったら自分の恋愛対象者を模した物体を真っ暗闇の展示室に設置しほどよい光を浴びせて展示するんだ!ということです。

絶対おったやん、と思える躍動感



それからもう一つ、印象的だったことは、「驚異と怪異」の存在は変容していくということ。時代の移り変わりによってね。この展示は、そのあたりもちゃんと表現されてて。順路をすすむごとにそれがわかる仕様になってる。最初は人々の生活のなかにリアルに「ある」ものだった怪異が、徐々に「コレクション」されたり「図鑑」になったりと客観的に観察される対象になる。あとは実在とは関係なく「あやかりたい」とかいうフェーズもあって。そのパワーを授かりたい人のために骨が宝物にされるとかそういうの。そうしてグラデーションを描くようにして怪異の存在はリアルから遠ざかっていく。最終的には「観光資源」になる。(ネス湖のネッシーとか)でも、観光資源もひとつのパワーなので。完全に力を失ったわけじゃない。でもありようが確実に変化してて。

ほーーーん。ってめっちゃ思いましたよね。人との関係性とか、自分の価値観が、仕事をやめてからいろいろ変わって。ガムシャラに働いたり、自分をよく見せたいとか、そういう価値観に重きを置いてた時代が多くて、その時期に憧れてたものとか世界と、仕事やめて週3アルバイターになった自分とは明らかに価値観も変わったりしてて、昔の恋愛を思い出して、高校の時に付き合ってた人と、なぜ現在、当時と同じ関係性になれないのか?と100人の人に「当たり前やん」って言われることを本気で疑問に思ってる自分がいるのだけれど、時間もそうだけど、何を信じるか、とか。怪異の場合は多分、科学の発展とか文化の成熟とかなんかそういうので。そうやって物事は変容してく・・・。というのを展示とともに体感させられたなぁ・・。みたいな気持ちになりました。私はとても自分自身や人間関係が変わってしまうことを多分人一倍悲しく思ってしまうタイプだけれど、「変容していくこと」は本当に自然なことなんだ、と自然の摂理てきなものを突きつけられた感じで「おお・・・」という感覚になりました。

今自分が感じている、自分の中の「怪異」みたいな。うごめいているものが、毎日にかきけされていって、観光資源みたいなものになったらどうしよう、みたいなこわさもあって。観光資源が悪いわけじゃないけども。それも一つの存在価値だけど。だけど、自分の中にはずっとリアルな怪異があってほしいな・・・って切実に思ったのでした。

それから!この博物館は大きいだけじゃなくて、池みたいなのがあって、それを注意深くのぞきこむと、博多の人形焼のミニチュアみたいなのがいっぱいあって、それの存在に意表を突かれてめちゃくちゃ最高の気分になりました。池の中になんかおる!!!!っていう楽しすぎる感情でした。そして、金ない自分にとってはだいぶ悩ましかったけれど図録も買いました!!!買わないことができませんでした。こういうのみたあと、映画とかしかり、絶対買ってしまう。しょうがないよね〜!

池にゾウがおる
ちっこい人形みたいなのが池におる

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