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あの青春の.2

 このシリーズ、ひとつずつ挙げて言ったらキリがないので自分が気になった部分を中心に挙げていくことにする。今回は3つほど。
「5/3 今日は○○先生がバイクできました。とてもびっくりしました。今日は自分のポジションがぐらつきました。こわかったです。こわいぐらい、自分がそのポジションから放れたくないのか…自分よ…笑」
 離れたくない、を放れたくないに誤字してるのがまず1点。漢字が苦手だった覚えはないがどうやら記憶違いだったらしい。当時、バレーボール部に所属しており、小学校からやっていたセッターから、アタッカーに変えられそうになったことを書いているのだろう、なんだか薄ら覚えている。今振り返ると、中学の3年間、私の悩みの90%を占めていたのがバレーボールだった。2年次の後半か3年次、どちらか忘れたがその辺の時期にキャプテンになり(こんなポンコツに担わせるあたり、当時の指導者の目を疑う。)プレッシャーに押しつぶされていたことをよく覚えている。今だからこそ言えることでもあるが、当時の自分の悩みなどほんっっっっっっとうに些細で小さなことなのだ。地区大会で優勝しなければとか、勝利の伝統を、だとか。プロを目指していたわけでもなく、ましてや全国大会で優勝していた歴史を持つ学校でもない。それなのに私は小さな小さな、小豆1粒より小さな地区大会で優勝しないことが大罪だと思っていたのだ。そしてそんな些細なことに3年間、馬鹿らしいが本当に苦しめられた。
 そんなことは本当にどうでもいい事だったと今なら理解できる。そしてもっと気楽に、バレーボールが好きだと思える気持ちを大切にするべきだった。卒業する頃にはもうバレーボールを続ける気力も意思もなかった。せっかく頂いた推薦も蹴ることになった。バレーボールへの熱意も愛情も取り戻せなかったのだ。好きだったものが嫌いになる、これほど切ないものはない。
「5/4 今日は部活がなかったので休めました!ウキウキランラン。宿題がんばりたいです。カメムシをみつけました。きたない話でスミマセンが今日足にゴキブリがのぼってきました。失神するところでした。
 やはり当時から部活が苦痛だったのだろう、だがいくらなんでも露骨に喜びすぎである。小中学生がやたらに使うワンフレーズ「宿題をがんばりたいです。」の次に、いきなりカメムシを見つけた旨が書かれているが意味が分からない。恐らく、日記を書いている時に不意に視界に入ったのだろう。なんというか、単純な思考回路をしていたのが手に取るように分かる。ゴキブリが足を這ったのは今でも覚えている。当時の我が家はかなり古く、虫が頻出する台所の近くで爆睡していた時に足に違和感があり、目を覚ましたら足の指の間にいた、というオチだった。人間、本当に驚いた時は声が出ないことを体感した時であった。
「5/12 今日は遠足があり楽しかったです。おやつは、ほとんどグミで、とうぶん食べたくないです。姉が修学旅行から帰ってきました。自分の好きなマンガのグッズを買ってきてくれたので、(少し)今日1日やさしくしてあげました。」
 これを読んだ時、中学生で遠足!?と驚いたが、恐らく社会科見学のようなものだった気がする。故に遠足ではないが当時の自分の認識では遠足だったのだろう。なぜ殆どグミを買ったのか、これに関しては理解出来る。今でも癖なのだが、私は1つ好きな食べ物ができるとひたすらにそればかり食べまくる時期がある。いわゆるマイブームというやつだが、当時の私はグミにハマっていたのだろう。だからと言っておやつを全てグミにするとは、さすがというかなんというかやはりポンコツである。
 後半部からは、わざわざ旅行先で金を使って鼻たれな妹にお土産を買ってくる姉の優しさが窺える。今でもそうだが、なんだかんだ私の姉は優しいのだ。その背中を見て生きてきたのなら多少なりとも私自身慈悲深い人間になっても何らおかしくないのだが、そういったもの全てを欠落したまま成長してしまったので何とも不思議なものである。

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