あの青春の.4

 なんだか最近一気に気温が下がって非常に肌寒い。秋とは本当に一瞬なものである。今回は三つほど。
「6/6 今日は午後、姉とテニスをやりました。ボールだけ本格的なやつでラケットはおもちゃだったのですがサーブを打ったら真っ二つに折れちゃいました。プラスチックだったからでしょうか…」
 プラスチックどうこう以前の問題である。ちなみに我が家にはテニスコートはない。ではどこでやっていたかというと、庭である。車が二台分駐車できるほどのスペースしかない庭で、私と姉はよくバレーボールやらバドミントンやらドッヂボール(ただのボールのぶつけ合いに近かったが。)をやっていたのだ。※ちなみにドッヂボールをやった際にはガスメーターに豪速球をぶつけてしまい家のガスを止めたことがある。
 お互いスポーツが好きだとかそういう訳ではなく、ただ時間と体力があり余っていた、ただそれだけである。恐らくバレーボールもバドミントンもマンネリ化して飽きてきたのだろう、家を物色していた時に偶然テニスボール(しかも硬式)を見つけ、お互い未経験なのにも関わらずテニスをやるに至ったと推測する。テニスボールはあるのになぜかラケットがなく、そこで諦めればいいものの、溢れるエナジーに抗えなかった哀れな姉妹は百均のプラスチック製のラケットに手を出したわけである。
 オモチャ同然のラケットを使い、硬式のボールで全力サーブを決めたら真っ二つに折れてしまったという、力加減が分からない野生動物のようなオチだが、まぁ怪我もしなかったので良しとする。
 先程も書いたが、この頃は体力がやたらあり余っていたことをよく覚えている。部活をやっていたのだからそこに全体力を使えば良かったものの、やはり部活に全力を注げるほどの熱意がこの時から無かったのだろう。だが、姉とこうして遊ぶことが当時の私にとってはとても貴重で心底楽しめた瞬間だったので、良しとする。
「6/12 今日はいとこのちっちゃい子がきました。私は小さい子が大の苦手なのですが遊んであげました。でもやっぱりかわいかったです。」
 従姉妹が産んだ子供のことを「ちっちゃい子」と表現しているあたり当時の私の知能指数の低さが顕著に現れている。この数年後に『大の苦手』な子どもと関わるようなバイトに就き、今や子どもは可愛いと言っているのだから人間はなんとも不思議である。
「6/17 今日、家に帰って、リュックを開けたら授業で使うプリントがぐちゃぐちゃになっていました。先生に怒られる、と思いアイロンをかけました。しかし、あまりのびませんでした。ごめんなさい」
アイロン?????????????
紙に???????????????

 当時の自分の発想が理解できず思わずGoogleで検索してしまったのだがあながち間違いではないらしい。どうやら軽く湿らせるのが重要らしいが、当時のポンコツ娘はそんなポイントなど知る由もなく、シワッシワな紙に直でアイロンを当てて嘆いていた訳である。なんとも愚かである。
 だが人間、失敗を重ねることで成長するものだ。この経験も私の血肉の一つになっているであろう。恐らく。そう、恐らく。

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