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退院してやりたいこと

右の乳房を全摘出の手術を終えて、
大変ありがたいことに何も問題は起きず

乳がん手術クリニカルパスのスケジュール通り
1週間の入院(術後4日目の朝に退院)を経て
わたしは退院してきた。

退院して1週間は術側の右腕を上の方まで上げると
引き攣って痛かったり、右側を下にして寝ると必要以上に痺れたり
ただ他の部分は元気なので食事を楽しんだり歩いたりは普通にできた。

夫は手術から介護休暇を取得してくれていて
重い荷物や子供の送り迎え、お風呂掃除など率先してやってくれた。
1ヶ月後の診察で抗がん剤をやるかもしれないので
それまではこのまま過ごそうということになった。

退院して3日目、美容院へ向かった。
職場の20代の子達がやってたインナーカラーをしたくなったから。

「30代、インナーカラー、イタイ」

検索の刃の切れ味のいいこと、いいこと。
この文字のせいで30代はやっちゃいけないのか、と尻込んだ。
クリニックで働く身としてあんまり派手なのは自分が嫌だった。
でも1ヶ月は休むから全てどうでもいっか、となった。

職場には1ヶ月診察まで(働くこともできたけど)
気持ち的にゆっくり休ませてほしいと伝えた。

この一年、黒髪地毛計画と自分の中で決めて、
最後に暗いグラデーションカラーをしてから
ずっとカラーをしていなかった。

インナーカラーはブリーチしない1番明るい色でとお願いして
美容師さんを少し困らせてしまった。

ブリーチをしないとしっかり上の髪との差がわかりにくいかも、
しっかりじゃなくていいだけど写真のようにいくかぎりだなあ、と。

実際に見せた写真(わたしじゃないよ)

「髪質よかったからめっちゃ上手くいきましたね!」

黒髪地毛計画が始まってから、
美容院で購入したCOTAの髪の化粧水みたいなのを
毎日欠かさずつけてからドライヤーをしていた甲斐があった。

仕上がりも大満足でやる気がみなぎってきた!

シャンプー台で寝転んでいる時にふと
丁度、一週間前オペ室で同じように寝転んで
麻酔の人に数を数えるように言われた事を思い出していた。

夫も休みだし、「じゃあ明日は何する?」という会話が
しあわせだった。

インナーカラーをした次の日は映画を見に行った。
小さい映画館で古いやつがやっていた『怪物』を観た。

週末は子供と3人で土曜日に水族館、日曜日に動物園に行った。

その次の週は母親の誕生日だったので買い物へ出かけた。

入院中連絡先を交換した乳がん友達Aさんとモーニングをした。
わたしよりも腕が上がっていて焦った。
聞くとAさんの退院指導はスパルタ指導だったらしい。

そのまた次の週は旅行へ出かけた。パンダを観に和歌山県へ行った。
お絵描きイベントに参加した。
画家の家原さんと息子とでおうちで絵を描いた。

わたしが住む県の外に結婚で行ってしまった友人2人が
子供達を連れてお家に遊びにきてくれた。
次の日その友達と動物園に行った。

お金は入ってこないけど、時間がある!
なんて幸福な時間なんだろう。

今でも写真を何度も見返す。
さりげなくインナーカラーが見えていい感じ。

この間、髪がある自分の写真を見て急に泣けてきた。

あのときがしあわせすぎていまの自分と違いすぎて
(絶賛、抗がん剤治療、頑張り中!)

また楽しめる日が来る、大丈夫!

この期間、自分でも体力あるなあって感心するくらい
やりたいことやっていたと思う。

まさか抗がん剤やるとは思ってなかったから、
たくさん遊んでよかったと今でも思う。

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