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主人公たちのモヤモヤに共感/ドラマ『今夜すきやきだよ』

蓮佛ちゃん見たさに視聴を決めたのが、1月6日(金)深夜にはじまったテレ東さんのドラマ『今夜すきやきだよ』

(以下、ドラマの内容を含みます)

主人公は、仕事はバリバリこなせるが家事が苦手な内装デザイナー・あいこと、家事は得意だがスランプ気味の絵本作家・ともこの同級生コンビ。あいこを蓮佛美沙子さん、ともこをトリンドル玲奈さんが演じている。高校時代、特別仲がよかったわけではない2人。友人の結婚式で再会した帰り道、たまたま本音トークして距離が近づく。そこへある出来事が重なって、共同生活を送ることになる。

あいこは恋愛体質で婚約者もいるが、二人の間には隙間風が吹いていた。相手にとっては、彼女の家事に対する考えも要因のひとつらしい。「みんな、家事なんて“普通”にやっている。うちの母親も働きながらやっていたのに。なぜ君は家事をやるつもりがないのか?」と主張する婚約者。彼にとって、まるで家事は他人事である。日本人の価値観はそんなに変わるものではないだろうし、これは半世紀生きた私も長年感じるモヤモヤだ。

女だから料理も掃除もしなくちゃいけない。誰が決めたんだろうか。子どもの頃からずっと疑問だった。長いこと自分が抱えるモヤモヤを、自分の娘ほどの年齢のあいこも感じている。一方、家事が得意なだけで「いいお母さんになる」「普通に結婚すればいいのに」と言われてしまうともこ。ああ、世の中って本当に生きづらい。

また絵本作家という不安定なともこの暮らしも、今の自分には共感する部分が多い。通帳残高を眺めながら、電気代の支払いにため息をつくのが妙にリアルで。「いつか、電気代も気にせずに払えるようになりたい」と嘆く。わ、わかる……。蓮佛ちゃん目当ての初回だったけれど、このドラマはともこ役のトリンドル玲奈ちゃんの存在感がなければ成立しないのではないかと、とても興味深かった。

ドラマは、谷口菜津子さんの「今夜すきやきだよ」(第26回手塚治虫文化賞新生賞受賞作品)が原作とのこと。恋愛体質のあいこに対し、ともこは恋愛感情を抱かないアロマンティック。でも、視聴にあたって「多様性が叫ばれる時代だから」という特別な意味は必要ないと、第1話を観て感じた。世間の「普通」って何だよとか、人を好きになる感情がわからないとか、人間の感覚はそれぞれ違って当たり前。多様性を特別に意識して視聴する必要はないと思う。

あいことともこが同級生の結婚式で聞いた既婚者たちの話や、2人の仕事に対するモチベーションなど、「自分の20代、30代にも数多くあったよなあ。いや待てよ、今もそのモヤモヤある」と思わず頷き、彼女らと一緒に悩み励まし合いたくなる。そんなドラマである。

一番共感するのは「ただ、自分らしく生きて、おいしいものを食べて暮らしたい」という点。「それは決してわがままじゃないんだ」と、声を大にして叫びたい。

それと、劇伴もとても好み。週末の深夜、2人の暮らしぶりとおいしそうな料理に、ちょっと励まされそう。あいことともこ、そして私も、自分らしく生きていけますように。

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