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M42レンズ&フルサイズ機のディープな遊び。&爆安ズーム700円ですぅ!

フルサイズのデジカメボディに、旧型レンズをとっかえひっかえくっつけては遊んでいます。レンズのバリエーションを考えると、フィルム時代の一眼レフに使われていた各種のレンズが一番楽しめるようです。人類史的に見て、レンズの資産的な蓄積が一番充実しているのがこの時代でしょう。私が選んでいるレンズはいずれもM42のスクリューマウントのもの。世界的に見ても、一番汎用性の高いものです。まあ、人によってはニコンFマウント、キヤノンFDマウント、さらに他のマウントを選ぶ方もいらっしゃいますが、それは個人個人のお好みということで。

レンズ選びのとりあえずの基準は、あまりレンズがくもっていないもの、カビが生えていないものを選んでいます。後は軽いことでしょうか。中古カメラ屋を何軒かまわって、ぶらぶら探します。自分の立ち回り先に、中古カメラ屋があるといいものです。仕事帰りとか、打ち合わせ帰りとかで、ぶらっと行くわけです。ちょうど、その時に入荷したレンズや機材との一期一会を仏教的に楽しむのであります。

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買っちゃいましたよー。焼き芋を包むようなチープな茶紙がいいんですねー。これはズームレンズなんです。Fキャップ、Rキャップも付いていないのですが、なにせ安かったもので・・・。

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700円でした。7000円の間違いではないですよー。段ボールのジャンク箱に入っていましたが、レンズはほぼクリアー。ピント、絞り、ズームともにスムーズに動くのでありました。(こういうチェックを一瞬でやらないと掘出物探しは難しいです)700円なら間違って買ってしまっても、さほど後悔しません。当時の新品価格は2万7千円とのことです。

今はなきレンズメーカー、サン光機製のサン・オート・テレズーム85-210mmであります。サン光機は戦前からあったメーカーとのことですが、1984年(昭和59)に倒産しました。このズームは、私の記憶では約50年ほど前の製品。スチールカメラ用のズームレンズとしては、最初期に出た製品だったと思います。当時は単玉が主体でしたから。ズームレンズはシネ用のレンズで、スチール写真には邪道だと思われていた時代です。

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上は85mm時、下は210mm時です。長さが全く変わりません。これはインナーズームという設計で、鏡筒内部でレンズが動いて、焦点距離を変えていくというもの。レンズの長さが変わらないので、外部からのチリやホコリの侵入も少なかったようです。

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それにF4.8という明るさです。F4.8の暗さといってもいいですが、これもレンズをコンパクトにする大事な条件。当時はISO感度(昔はASAという表記でした)が、コダクロームでISO25、普通に使っていたフィルムでISO100というのが普通でしたから、とにかく明るいレンズが必要だったのです。しかし今の時代のデジカメテクノロジーの急激な進化はISO感度32500くらいまでは楽々です。ですから、暗いレンズでもいい、全然OKです。それに歴史的な銘玉テッサー50mmはF2.8のまま。明るさを無理に求めると、非球面レンズや特殊ガラスの採用となり、レンズ自体の価格が上昇します。このサン光機のレンズは従来型のガラス、オーソドックスな球面レンズという昔々の技術で出来ていますから、F4.8という明るさ。でも今のフルサイズデジカメの性能があれば、これで十分なのです。

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フォーカスリング、ズームリング、絞りリングのそれぞれもそこそこ大きくて、私の無骨な手にはなじみやすい、というのも気に入っているところです。

今のデジカメ用フルサイズのレンズは、いろんな機能を詰め込み過ぎてどんどん肥満しています。でっぷり脂をため込んで、泳ぎまくるクロマグロみたいです。それにフードまで付けたら、時代遅れの大鑑巨砲主義もいいところです。値段もどんどん上昇しています。これ見よがしにカメラを持ち歩くのは、やはりちょっと恥ずかしい行為です。

値段が高ければいい、というのは成金趣味=精神の貧しさです。純正品ならいい、というのは自分の審美眼を鍛えていない、やみくもなブランド崇拝です。OEM生産で自社のレンズを作っているメーカーも多いです。デカければいい、長ければいい、太ければいい、という考え方は、その人の隠れた嗜好もそうなのかなー?とあらぬことまで妄想してしまう。ああ、恥ずかしい・・・・・。

価格的に考えても中古ズームレンズは安い。中古カメラ屋で冷や飯を食わされていて、ハッキリ言って邪魔者扱い、ジャンク箱の中でホコリをかぶっています。安いです。バリバリ安いです。しかしクモリやカビに侵されたレンズも多いです。そういった可否を見極めるのも人間の眼なのです。

そんな可哀想なズームレンズたちを救済するのは、フルサイズデジカメであり、ズボラをしないで自分の手と目を使ってピント合わせをする、写真術的に真っ当なヒトなのです。

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