見出し画像

続けることと、続いていくことについて

「梢ちゃんは、やっぱり続ける力があって、そこが強みだと思う。」
去年まで一緒に働いていた先輩から言われた。

あまり自覚はないけれど、「継続が一番難しい」ことは一番わかっているつもり。自分から辞める、閉じる決断をした経験は、思い出しても数少なかったかもしれない。
中学のバスケ部、習い事の水泳、演劇ニッケル、ひとあそびスクールの定期開催。。。

続けていたことをやめたり、終わったする時って、たいてい卒業のような仕方のない外的要因で終わりを迎えた、または卒業したものが多い。
辞めるための仕方のない理由を探している時がある。
そこが私の持っているずるさ。

だから私にとって、

続けることより辞めることの方がずっと難しい。

ただ、色々やってきたものの中に、” 続けてこなかった ”ものもある。
やり始めて、知らないうちにやらなくなっていたもの。

「辞める/止める」と言っていない、緩やかな停止。
完全にもうやらないだろうというものもあれば、
もしかしたら、いつか、何か起きるかも?というもの。

高校演劇部時代の友人たちと作った劇団かのこもその感覚に近い。
当時は、部活が終わった後のつながりが欲しくて、演劇をやりたくて作ったけれど、そういうのがなくてもつながりが残っているから、あまり稼働していない。
でも、辞めるって宣言するほどじゃない。
終わらせるのも、案外疲れたりするものだから。

文化屋だって、きっとそうで。仕方のない理由でやめられたりしないかなんて考えていた時期も長くあったけど、なんだかんだやめられなかった。
文化屋の名前がなくても、今の方ができることが多いし、なんなら廃業届一枚出すだけでいいのだけれど。なんとなく、そのままにしている。

約束や決断は、ある種「家」のような役割を果たしている気がする。
いつでも帰ることはできるし、帰らない選択肢もできる的な。
家というとかなり大きな話のように感じるから、別の名前もありそうだけど、この忙しい日々の中で考える余裕はないからいいや。

私がいろんなことを続けてきているように見えるのは、

辞めることでかかる労力をかけたくないから。
辞める勇気がないから。

でも続いてきたことも、続いていくことも悪くないかもしれないなと思う。

自分が辞めたとしても、続けたとしても、
日々は続いていく。

========
2023.3.27 ひとあそびスクール執筆脚本
(上演の時と全く同じではないけど)


 女は働いていた。8時。

あ、お疲れ様でーす。

お疲れ様でーす。

 女は作業している。8時半。

 背伸びする

え、今日いつまで残ってく感じ?

えー、私終わらんなあ。今日。ね。
そっちも締切とか、あるの?
…あー。がんばろ。

大変だ。

あ、もしもーし。うん、ごめんそう、まだ出れなさそうでさあ。うん、先お店入っとって。
うん、明日までに用意しとかないといけなくってさあ、そう、これ、今8時の話なんだけど、
約束、8時だったんだけど、仕事、終わらなくって。
ほんとはもうちょっと早く行けるはずだったんだけど。うん。

お疲れ様でーす。

「忙しいのはいいことや」て言ってくれる大人を、大人の言葉を信じてて。
飲み屋で一緒になるおじさんが、よく言ってくれるんだけど。

<飲み屋の景色>
あ、お疲れ様です〜。(乾杯)

や、でも梢ちゃん、忙しい方が絶対いいって。どうせ暇になったら飽きるから。
あ、でもね。もしそれが、10人辞めた方がいいって言うことなら辞めた方がいい。
でも、1人でも「続けた方がいい」って言ってくれる人がいるなら続けた方がいいよ。

いつも適当に聞き流す隣のおじさんの話も、「あ、いいこと言うじゃん。」って思った。
私も直感で、続けた方がいいって思う。
「刺されたら前に出ろ」って昔、教えてもらった。
これは、17歳の時の話なんだけど。

大人は偉大だった。

まあそもそも何で忙しいのって聞かれても、実はあんまりわかってなくて。
でもまあとりあえず、忙しいんだから大丈夫って、言い聞かせるんだよね。
で、これ、今9時の話なんだけど、あ、お疲れ様でーす。

正直、終わりがないから、ずっと延長線があって。

結局、終わりは自分で見つけるしかなくて。
そう、誰かに決めてもらうとかじゃなくて、自分で終わりにするしかなくって。
で、これ、今9時半の話なんだけど。

今日のこの日を、終わりにして、終わったことにして、
明日のあの日を、明日の自分に、託そうかなーって、

で、これ今、9時半の話なんだけど、…え、ねえ、今まだ飲んでる?
うん、今から行くわ。うん。

あ、お疲れ様でーす。





この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?