ビー玉の入ったサイダー

小学生のケンくんは一度だけ、ビー玉の入ったサイダーを飲んだことがあった。

それは、夏におばあちゃんの家に行ったときのこと。
おばあちゃんの家は、ケンくんの家とは違って、田舎にあるためコンビニや自販機すら少なかった。

そんなとき、父に連れられて、小さなお店にきた。
そこは駄菓子屋だった。

駄菓子屋にはみたこともないお菓子がずらりと並んでおり、ケンくんはスーパーとは違う!と大はしゃぎをした。

とくに気になったのは、妖怪の絵柄が書いてある煙とビー玉の入ったサイダーだった。

ケンくんの知っているサイダーはペットボトルに入っているが、ビー玉の入ったサイダーは瓶に入っており、カラカラと音をたてていた。

ケンくんはドキドキしながら、サイダーを開け、グッと飲んだ。 

いつものサイダーより美味しい気がした。

飲んだときに鳴る、カラランという音がケンくんのテンションをあげた。

暑いこともあって、サイダーを一気に飲み干したケンくんは、満足げにビー玉をとりだした。

ビー玉は、太陽に照らされてキラキラと光っていた。これは、ケンくんの一生の宝物になった。

ただ、ケンくんの幸せな時間はそう長くは続かなかった。

おばあちゃんの家から帰ってすぐ、強盗が入り、家族全員が皆殺しされたのだ。

「あのときケンは死んだんだよな」

そう。あのときケンくんは死に、復習の鬼と化したKENが産まれたのだ。

カランと薬莢が落ち、かつての犯人が倒れる。

復習を果たしたKENは、薬莢の落ちた音がかつての思い出を彷彿させた。

ただ、ビー玉の入ったサイダーを飲む気にはなれなかった。



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夏の思い出

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