『線香花火』にトドメをさしたお話。
「最後に夏っぽいこと、なんかしない?」
友人の転勤を間近に控えた残暑の頃。
お気に入りの熟成肉店からの帰り道に、一人がぼそっとつぶやいた。
夜もすっかり更けていて、あと1時間半もすれば終電を迎える。おなじみのメンバーと地元で過ごせる最後の夏だっていうのに、どうも平々凡々な日常を過ごすのが得意で出不精な私達は、思い出らしい思い出を作らずにいた。
いや、一緒に遊んだその日の出来事が全部記憶に残るくらい濃いメンツだったんだけれど、世間一般でいうところの「思い出作り」が全然でき