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新々竹取物語『かぐやのの姫』 最終章 野々(のの)に生きる

原作 : 竹取物語断簡 
原案 : mixi 診断市場『マイミク総出演! 劇の配役を発表します』 
キャスト: 
◎かぐや姫/ののさん 
光輝く竹から生まれた輝くように美しい姫 

◎KENICHI/KENICHIさん 
かぐや姫と同じ光り輝く竹から生まれた男の子。その役割は…? 
◎ケンイチ/KENICHI さん(2役) 
身分の低い公家。しかし都一の歌詠みの才能を持つ 

◎ぬか爺さん/ぬかさん 
かぐやとKENICHIを見つけた育ての父親 

◎ガル婆さん/ガル・ヴァンさん 
かぐやとKENICHIの育ての母親 

◎村人/のり!さん 
商いを営む村人 

◎破壊神暴走兵器左馬之介@無敵卿/破壊神暴走兵器@無敵さん 
内裏警護の責任者。長い名前なので以後 、左馬之介@無敵卿と呼ぶw 

◎ムササビの齋藤卿/ムササビの齋藤さん 
多才な才能を持つ若き公家官僚 


◉物語のあらすじ◉ 
輝く竹から生まれたかぐやとKENICHIは、ぬか爺さんとガル婆さんに育てられ、かぐやは美しく成長しました。 
かぐやの美しさは都で大層評判となり、調査にきた左馬之介@無敵卿とムササビの齊藤卿の求婚を受けます。 
そこで争いになりかけた二人。そして、その時にもう一人の若き公家が… 


「北山の 空に出でたる 月よりも すすき抱いた 輝なる乙女」 

皆の視線がその若い公家に注がれます。 
「何用だ、ケンイチ。身分の低いお前の出る幕ではなかろう。」 
左馬之介@無敵卿が睨みます。 
「いや、身分が低かろうとケンイチは、今や都で一、二を争う歌詠人。宮中での評判も高いものとなっておりますぞ。」 
そう言うとムササビの齊藤卿はケンイチの方に向きを変え、尋ねます。 
「先ほどの歌だとケンイチ、その方はかぐや姫に目通ったことがあるのだな?」 
「はい、先日東国よりの帰りの道すがら、お月見をしているかぐや姫にお会いしました。」 
ケンイチはその時のことを、刻々と語って聞かせました。そして… 
「その時のかぐや姫のお姿が目に焼き付いて離れません。私も姫を妻に娶りたいと考えています。」 
ケンイチの言葉に驚く一同。 
その瞬間に一瞬頬染めたかぐや姫が、直後に表情をを曇らせてしまったのに気づいたのは、KENICHIだけでした。 
「かぐや、まさか…だが、思い出してるのか…?」 

「ケンイチぃ、お前ごときがぁ…!!💢」 
ゆっくりと刀を抜く左馬之介@無敵卿。 
しかし、それをかぐや姫の言葉が遮ります。 
「皆様のお気持ち、しかと承りました!」 
皆の視線が集まる中、かぐや姫は言葉を続けます。 
「しかし、私の身は一つ。どなたかお一人としか添うことは叶いませぬ。」 
「おぉ、ならば其れがしと…」 
はやる左馬之介@無敵卿の言葉に構わず、かぐや姫は続けます。 
「これから皆様にお願いしたき事がございます。その願いをいち早く叶えて下さった方に、私は添いとうございます。」 
「姫の願いとは…?」 
かぐや姫の言葉に、ただならぬものを感じたムササビの齋藤卿。 
しかし、事、ここにおいて引くことなどできません。 
「姫の願い、このムササビが命に変えても叶えてご覧にいれます。」 
かぐや姫の前にひざまずくムササビの齋藤卿に、 
「わ、ワシも…。」 
「私も…。」 
刀を納めた左馬之介@無敵卿とケンイチも倣うのでした。 

かぐや姫の申し出は、 
「仏の御石の鉢」、「蓬莱の玉の枝」、「火鼠の裘」、「龍の首の珠」、「燕の産んだ子安貝」 
この中のどれか一つを探し当てること、そしてその期限は次の満月の夜。 
それだけを告げるとかぐや姫は踵を返し、屋敷の中に戻って行くのでした。 

三人はそれぞれに宝を求めて、あてのない旅へと旅立って行きました。 
しかしこれらの宝は、話の中でしか聞くことのできない珍品中の珍品。 
命の危険もかえりみない努力の甲斐もなく時は過ぎ、期限の満月の日がやって来たのでした。 

以前同様にぬか爺さんの家を公家たちの一団が取り囲むようにしています。 
空は刻々と暗さを増し、間も無く満月が山より顔を覗かせようとしています。 
しかし、ぬか爺さんの屋敷の庭先に倒れこむようにしている三人にかぐや姫は会おうともせず、ひたすら屋敷に籠っています。 

「かぐや、顔くらい見せてやれよ。」 
そう言うKENICHIにかぐや姫は、 
「早々にお引取り下さるようにお願いして…」 
とだけ伝えると、ひたすら何かを待っているようでした。 
そしてKENICHIが振り返りながら部屋を出ていくと、かぐや姫は観念したようにつぶやくのでした。 
「いよいよ、今宵…」 

かぐや姫からの言伝を聞いた三人ですが、うなだれたまま誰ひとりとしてその場を離れようとはしません。 
そして、運命の満月が山から顔を覗かせるのでした。 

地上の雅楽より更に雅な笛の音が流れ始めました。 
「この音色は…!」 
その音色のを聴き、硬直するKENICHI。 
やがて空の彼方より、空に浮く多くの牛車と都人より更に雅な衣装を身に付けた人々が空から舞い降りてくるのでした。 
「其方たちは何者っ!!」 
流石、並の剛の者ではない左馬之介@無敵卿。 
危険を感じ取り、すぐさま我を取り戻していました。 

「我は月の帝、月帝。今宵、月輝姫(げっきひめ、かぐやの月で名前)とKENICHIの免罪の為、月より迎えに参った。月輝姫、出でよ。」 
そう言った瞬間、屋敷の障子が全て開き、中からかぐや姫が歩み出てきました。 
「月輝姫、KENICHI。今宵、月の世界に戻ることで其方たちの罪は許される。分かっておろうな。」 
その月帝の言葉を受けて、かぐや姫はぬか爺さんとガル婆さんの方に向きを変え 
「お爺さん、お婆さん、今まで育てて頂いたご恩は決して消えるものではありません。たとえ、私の心が失われてしまっても…」 
かぐや姫の瞳からは一筋の涙が頬に伝い、後は言葉になりません。 
ぬか爺さんとガル婆さんも地に手をつき、何もかぐや姫に言葉を掛けることができませんでした。 

かぐや姫の体がふわりと中に浮いた瞬間、 
「かぐや姫、いけません!」 
ケンイチがかぐや姫に取り付き、地上に引き戻そうとしました。 
「地上人の分際で、気安く月輝姫に触るではないっ!!💢」 
怒った月帝は、ケンイチに雷を放ちました。 
雷に打たれたケンイチは、その場に倒れ込んでピクリとも動きません。 
「ケンイチ様っ!!」 
倒れたケンイチにすがるかぐや姫を見て、二人を守るべく左馬之介@無敵卿がすぐさま「皆の者、隊列を整えるのじゃあ!!」と触れて回ります。 
しかし、地上の公家より更に雅な月の者たちと月帝の常人には非る力を見た時、辺りにいる都人たちは体がすくんで動くことができません。 
「何をしているっ!急ぐのじゃあぁぁぁ!!」 
@無敵卿の大音声を発すれど、誰ひとり立ち上がる者はいません。 
「これが帝に使える剛の者たちの姿か?何と気概のない…」 
左馬之介@無敵卿は一人、月の者たちを睨みつけゆっくりと刀を抜きます。 
そして、 
「しかし、例え一人であろうと、例えこの身が引き裂かれようと、かぐや姫はこの必ず左馬之介@がお守りいたす! !」 
この言葉を聞き、我を取り戻した者がもう一人。 
「@無敵卿、見事なお覚悟っ!ならばこのムササビも及ばずながら、ご助力申し上げるっ!」 

かぐや姫と倒れているケンイチの前には、二人を守るべく、左馬之介@無敵卿とムササビの齊藤卿が刀を構えています。 
巨大な月がその姿を完全に現すまで、もう後僅か。 
「満月が大きければ大きいほど、我々の力は強くなる。僅かな地上人などアクビ程度の力で吹き飛ばしてくれよう。」 
月帝の不敵な笑いにも負けず、@無敵卿と齊藤卿は睨み返します。 
「齊藤卿、いざ行かん!」 
「おう!皆の者、@卿を見殺しにするなっ、我らに続けぇ!!」 
二人が切り込もうとしたまさにその瞬間、巨大な月が空に浮かびあがり、青白く輝き始めました。 
月の一団がこの月を見てざわつき始めます。 
「こ、この月の色と輝きは…」 
「数千年に一度と言われるあの伝説のスーパーライド…!?」 

そして、かぐや姫のすぐ脇で新たに輝きを放つ者が現れました。 
硬直していたKENICHIです。 
KENICHIが黄金の輝きをを放っているのです! 
「ラーイ…」 
月帝が目を見張り、直ぐ様KENICHIを取り押さえるように周りの者に命令しています。 
「KENICHIは、僅かに残りし古のライドオンムーン人の末裔。その力は特別な笛の音で封印したはずなのに、この青く輝くスーパーライドオンムーンの力だけは封印できなかったのか…(♯`∧´)」 

「ラーイドオーン…」 

そして、KENICHIの覚醒が完成しました。 
「伝説の戦士、スーパーライドオン推参っ!月帝、お前たちにはいろいろと世話になったな!だが、オレがこの力を取り戻したからには、お前たちの好きにはさせないっ!!…なんて言ってみたりしてw」 
スーパーライドオンKENICHIは、次々と余裕のダジャレを飛ばして、固まっていた公家たちを硬直状態から解放していきましたw 

「さぁ月帝、どうする?手っ取り早くサシ(じゃんけん)で勝負するかい?オレは絶対負けないよ。後出しってワザを持ってるからねw」 
月の世界でごく少数のスーパーライドオン人に、手痛い敗北を受けたことのある月帝は、 
「月の世界にいないお前一人など、放っておいても問題なかろう。月輝姫が地上にいるのも流罪のままにしておくのと同じこと。忘れるなっ!お前たちを見逃しておいてやるのだと。皆、引き上げじゃ!!」 
負け惜しみなのかどうだかを言って、兎に角、月帝たちは静々と空に舞い上がり月の世界に帰っていきます。 

月人たちが空の中、豆粒ほどに小さくなった時、KENICHIが大きな声で月人たちに向かって叫びます。 
「あ~~っ!もう、忘れたぁ~~~!!!」w 


一方、全く反応をみせないケンイチの頭を膝に乗せ、放心状態で涙を流すかぐや姫。 
そんなかぐや姫に輝くKENICHIが近づきます。 
横たわるケンイチの傍に片膝をついたKENICHIが、ケンイチを覗き込みながらかぐや姫に話しかけます。 
「コイツ、すごく勇敢だったよな。かぐや、ケンイチのことが好きだったんだろ?」 
かぐや姫はケンイチの顔をじっと見つめたまま、何も答えません。 
「しかし、驚きだよな。コイツと今のオレ、瓜二つじゃねえか。力を取り戻した今のオレなら、そっくりなケンイチのことをなんとかしてやれるかもしれないな。」 
そう言ってKENICHIは、ケンイチの額に指を当てます。 
「KENICHI、何を…?」 
かぐや姫は驚いてKENICHIの顔を見ました。 
「今のオレなら、きっとそっくりなケンイチと同化できる。そしたらコイツも生き返る。」 
笑いながらそう言うKENICHIに、かぐやは驚いて言います。 
「ダメだよ!そんなことしたらKENICHIが消えちゃう。ずっと今まで一緒にだったのに…」 
「オレなら大丈夫さ。消えるんじゃない、ずっとコイツの中にいるから…そうだ!ケンイチが目覚めてライドオン丼を食べたがったら、それはきっとオレが食べたがっているから、いっぱい食べさせてやってくれよなw」 
「KENICHI…」 
「それじゃ、かぐや。ケンイチと仲良くなw」 
笑ってかぐや姫にそう言うと、KENICHIはケンイチの方を向いて目を閉じ念を込めます。 
そしてKENICHIは細い一筋の光になって、ケンイチの額に吸い込まれていきました。 
「ありがとう、KENICHI。あなたのことはずっと忘れない…」 

「うぅ…」 
一呼吸ののち、ケンイチが小さく呻いてゆっくりと目を開けます。 
「ケンイチ様っ…!」 
「かぐや姫、私は一体…」 
かぐや姫の瞳からは大粒の涙がこぼれます。でも、今は最高の笑顔で… 
二人は再会を喜び合うように、静かに抱き(いだき)合います。 
そして周りにいた者はそれを祝福するかのように微笑み合い、静かに見守っているのでした。 



何日か後、傷の癒えたケンイチとかぐや姫は、二人して旅立つことになりました。 
旅支度を整え屋敷の前に立つ二人を、ぬか爺さんとガル婆さん、お鶴、のり!さんが見送ろうとしてます。 

突然、嗎(いななき)と共に二頭の馬が走り込んで来ました。 
破壊神暴走兵器左馬之介@無敵卿とムササビの齋藤卿です。 
「左馬之介@無敵卿、慌てて如何なされました?」 
ケンイチが尋ねると、左馬之介@無敵卿は 
「二人が今日旅立つと聞いて、ぜひにも見送らねば、と思い立ってのぅw」 
かぐや姫も、ムササビの齋藤卿に 
「齋藤様も馬に乗るお許しを頂いたのですね。」 
「左馬之介@無敵卿にご推挙頂き、末席ながら官位も頂きました。」 
和やかに会話が続きます。 

ぬか爺さんが突然話し始めました。 
「月の人であったかぐやが、月には帰らずこの大地で生きていくことになったのじゃ。何か新しき名を授けないとのぅ…?」 
ガル婆さんも続けます。 
「月の人がこの野にしっかりと根付いて生きていく…野々…、そう!『のの』という名前はどうじゃ!?」 
「かぐやのの姫か、うむ、良い名じゃ!!」 
みんなが感心して頷き合っています。 

「はいっ、かぐやは…いえ、ののは嬉しゅうございます!」 
とびっきりの笑顔で、のの姫は答えるのでした。…


こうして、ケンイチとのの姫は旅立って行きました。 
二人は、いずこかで末長く幸せに暮していることでしょう。 

新々竹取物語かぐやのの姫 〜完〜


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