新々竹取物語『かぐやのの姫』 第二章 都人たち
原作 : 竹取物語断簡
原案 : mixi 診断市場『マイミク総出演! 劇の配役を発表します』
キャスト:
◎かぐや姫/ののさん
光輝く竹から生まれた輝くように美しい姫
◎KENICHI/KENICHIさん
かぐや姫と同じ光り輝く竹から生まれた男の子。その役割は…?
◎ケンイチ/KENICHI さん(2役)
身分の低い公家。しかし都一の歌詠みの才能を持つ
◎ぬか爺さん/ぬかさん
かぐやとKENICHIを見つけた育ての父親
◎ガル婆さん/ガル・ヴァンさん
かぐやとKENICHIの育ての母親
◎村人/のり!さん
商いを営む村人
◎破壊神暴走兵器左馬之介@無敵卿/破壊神暴走兵器@無敵さん
内裏警護の責任者。長い名前なので以後 、左馬之介@無敵卿と呼ぶ
◎ムササビの齋藤卿/ムササビの齋藤さん
多才な才能を持つ若き公家官僚
◉物語のあらすじ◉
輝く竹林の竹から生まれた、かぐやとKENICHI。
二人が老夫婦の手元で育てられ、幾らかの月日が流れました…
「おい、婆さん!飯にライドオンする煮物はもう無いのか?!」
ドンブリに釜の飯を山盛りによそいながら怒鳴るKENICHIに、ガル婆さんが応えます。
「やれやれ、ホントにKENICHIの食欲は旺盛じゃのぅ…」
隣で縄をないながら、ぬか爺さんが笑って言いました。
「食べ盛りの男の子だから仕方無い。お鶴がいてくれて米代も心配ないから、たんと食べさせておやり。」
ぬか爺さんはお鶴に目を向けました。
春先の渡りの季節、ぬか爺さんは山のふもとの田んぼで罠にかかっている鶴を助けました。
その晩、ぬか爺さんの家に若い女人がやってきて、
「お爺さん、私は助けて頂いた鶴です。仲間とはぐれ、罠の傷が思ったより深いので北へ渡ることができません。次の渡りの季節に仲間たちが帰ってくるまで、私をここに置いて下さい。一生懸命はた織りをして働きますから、どうかお願いします。」
事情を知ったぬか爺さんが裏の物置きに機織り機を用意すると、お鶴はそれはそれは素晴らしい反物を織り上げていくのでした。
「ぬか爺さんはおるかの?」
商いを営む村人の、のり!さんがやってきました。
「鶴さんの反物は、今度も高い値で引き取ってもらえた。ホレ、これは代金じゃ。」
代金を受け取りながらぬか爺さんとのり!さんは話します。
ガル婆さんも、
「お鶴がいなければKENICHIのライドオン代はまかなえぬ。かぐやとKENICHIもよくなついとるし、家事もよくしてくれる。ほんに大助かりじゃ。」
「器量も気立てもよし、鶴でなければよき殿方とめあわせてやろうのに、全く残念じゃ。」
三人は穏やかに話します。
とその時、何かを思い出したように、突然のり!さんが身を乗り出してぬか爺さんとガル婆さんに話し始めました。
「そう言えば先日都に出向いた時、この辺りにこの世のものとは思えぬ美しい娘おるという噂があるのを聞いたぞ?」
「はて?この辺りにおる若い娘とゆうたら…?」
ぬか爺さんが怪訝そうな顔をして考えていると、ガル婆さんが
「お爺さん、最近、かぐやのことを尋ねられることが増えたとか?」
「おぉ、そうじゃ!まだ童(わらべ)じゃのに、どうして根堀り葉ほり聞くのじゃろうて不思議に思うとった。」
ぬか爺さんがそう言うと、のり!さんは
「他所(よそ)の子の成長は早いと言うが、かぐやとKENICHIの成長は、ちいと早過ぎやせんか?」
三人は顔を見合わせて、かぐやとKENICHIに視線を移すのでした。
その夜、ぬか爺さんは、かぐやとKENICHIを呼びました。
「何だ爺さん?オレはライドオンするのに忙しいのに…なんて言ってみたりしてw」
静々と座ったかぐやの隣に、ドンブリを抱えたKENICHIが座ります。
ぬか爺さんは、
「かぐや、そなたが成人した暁には、よき殿方と目合わせようと思っておるのじゃが…」
「はい、お爺さん。私もいずれはよき殿方に添い、幸せに暮らしとうございます。ですが、それまでは雅楽の手習いなどして、都にてライブ活動などしたいと思うております。」
それを横で聞きながら、KENICHIは誰にも気付かれない程小さく「チッ!」と舌打ちをしました。
KENICHIは知っているのです。
かぐやの懐の奥深くには、人気雅楽演奏隊『丁ーロ』(てぃ-すくえぁ)のメンバー、和泉卿の偽絵がしまい込まれており、月の明るい夜にかぐやは一人縁側に出てそれを眺めては頬を染め、ため息をついているのでした。
「そうか…。」
かぐやの気持ちを聞き、ぬか爺さんは思った以上のかぐやの成長に驚きを隠せませんでした。
それから、またしばらくの月日が流れました。
かぐやとKENICHIは、見た目の歳の頃なら十と五歳、成人とみなされる歳の子と同じくらいになりました。
この頃になると都はかぐやの噂話で持ちきり。
のりさん!が耳にした話によると、噂は帝の耳にまで達し、内裏の宴の席では太政大臣に直接、噂について問われることもあったとか…
こうして内裏では、先の中納言、水戸卿に事の真相を調査させる決定がされたというのです。
「北山の竹取の翁 ぬか爺の家はここか?」
きらびやかな衣装に身を包んだ公家貴族の一団が、ぬか爺さんの家を取り囲むようにやってきたのは、ぬか爺さんがのりさん!から都の事情を聞いた次の日のことでした。
「これはこれは、都の雅な方々の急なお越し。何の準備もしておらず、誠に申し訳ないことでございます。」
ぬか爺さんは初めて接する都の身分の高い公家衆に、どう対処してよいものかと思案しあぐねています。
「そなたが竹取のぬか翁か。」
先程の公家衆の後ろから声がして、立派な武具に身を包み威風堂々と馬に乗った剛の者が現われました。
その剛の者は馬を降りるとぬか爺さんの方を向き、右手の指を三本揃え右目の上の辺りの額に当てw
「ワシは内裏の警護を任されておる、破壊神暴走兵器左馬之介@無敵。
今日は先の中納言水戸卿の命により、内裏にて取り沙汰されている姫の調査に参った。こちらにおる、輝くように美しい姫とやらは何処か?」
ぬか爺さんは、ガル婆さんにかぐやを呼ぶように言いつけました。
お鶴に付き添われ、静々と現れたかぐや姫。
その気高い美しさに、辺りにいた者たちは息を飲みます。
「そ、そちらが噂の姫君か?」
「かぐやと申します。」
都一の武勇を誇る 左馬之介@無敵卿 も、かぐや姫の凛とした物腰にやや押され気味。
「この左馬之介@無敵、この目でしかと事の真相を確かめ申した。都に帰還次第、水戸様にご報告申し上げる。」
ぬか爺さんたちは安堵に胸を撫で下ろし、かぐや姫もやや表情を和らげました。
しかし…
「いや、しかし、かぐや殿は誠に美しい。どなたか将来を約束された方がおるのかな?」
「いえ、別に…」
少し何かを思案した左馬之介@無敵卿は、突然とんでもない提案を言い出しました。
「水戸様の申し付けについては完了し、後は報告するだけなので問題ない。ならば、これからのことはお役目とは関係なしに行いたいと思う。」
意図が飲み込めないままのかぐや姫にかまわず、左馬之介@無敵卿は続けます。
「この左馬之介@無敵卿、かぐや姫を妻に娶りたい。構わないな、ぬか翁?」
公家衆からもざわめきが起こります。
左馬之介@無敵卿は辺りに睨みを効かせます。
「待たれよ、@無敵卿。お役目でないのなら、我らは従う必要は有りませぬな。」
更に巻き起こるざわめきの中から出てくる一人の若き公家。
その公家はかぐや姫に一礼すると左馬之介@無敵卿の正面から向かい合いました。若き公家はとても賢そうな面持ちをしています。
「ムササビの齋藤卿、そなたが何用なのだ。」
睨む左馬之介@無敵卿の視線をものともせず、ムササビの齊藤卿は続けます。
「このように美しい姫なら誰もが心動かされるのは当然。お役目とは関係ないのなら、このムササビもこの場で名乗りを上げますぞ!」
「何たる事を💢!」
激怒し、刀に手を掛ける左馬之介@無敵卿!
その時、ムササビの齊藤卿の隣にいた若者が和歌をを詠み始めました。
「北山の 空に出でたる 月よりも すすき抱いた 輝なる乙女」
(北山に美しい月が出ている。しかしその月明かりに照らされ、すすきを抱く乙女は月よりも更に輝いている)
今より少し前、すすきを刈ってお月見を楽しんでいた かぐやとKENICHIに、あまり遅くなると盗賊や獣の危険があると注意してくれた若い貴族と同じ声。その声に聴き覚えのあるかぐや姫とKENICHIはその若者に目を向けました。
そして
「この方の歌は本物…!」
かぐや姫は、その歌と才能に一瞬にして引き込まれてしまうのでした。
『第ニ章 都人たち 終』
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