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平塚市博物館でものすごい気合いの入った特別展を無料で見てしまい申し訳なさのあまりレポ書いてる

「良い博物館」と聞いて、どんなところを思い浮かべるだろうか。

今回、僕は平塚駅から歩いて10分程度のところにある「平塚市博物館」に向かった。
連日のクソ猛暑が少しだけ和らいだ、最高気温32℃の7月23日。
朝9時の開館直後に入館したこともあり、来館者はまばらだった。10人程度だったと思う。
平塚市博物館は常設展・企画展どちらも無料で観られるが、プラネタリウムのみ鑑賞料が必要とのことだった。

僕自身がそうであるように、何も知らないまま博物館に行く楽しみを味わって欲しい気持ちがあるので、具体的に展示内容には極力触れないが、「平塚市」という場所が古代から現代に至るまでにどのような変化をしてきたかが体感的に学べる博物館だ。小学生、中学生、大学生、大人と成長するにつれて展示物から受け取る情報量が増えるため、周辺地域に住む子供にはぜひ遊びに行ってもらいたい。


さて、特別企画展「カラフルな考古資料たち」は、学芸員(と思われるが違ったらごめんなさい。企画担当の方)の全力が発揮されていた。

まず、展示エリア手前の廊下から企画が始まる。
「これはある研究者の私物です」という、優しく丁寧なキャプションのついたショーケースが並んでおり、「あか」「きいろ」「あお」といった、特定の色をテーマにして日常で見かける物品を並べ、我々の生活の中の常識をまずこちらにきちんと認識させてくる。
「あか」のショーケースに赤い冊子、「黄色」のショーケースに黄色いおもちゃ。「しろ」のショーケースに白いシャツなど、意識していないが我々は色に囲まれて生きている。
「くろ」のコーナーにダースベイダーのヘルメットがあり、ダークサイドの信奉者が展示企画したことは確定的に明らかだったが、同時に「あか」のコーナーに広島カープの新井貴浩選手のユニフォームも展示してあり、鯉党であることが確定的に明らかだった。


我々の生活は、ありとあらゆる色に満ちた、色彩豊かな生活をしている。


でも、古代の生活の中に「色」という概念、あまりなくない?
発掘されるものの茶色率、異常じゃない?
そんな問いかけから、特別展示「カラフルな考古資料たち」が始まる。


看板のテイストからもわかるように、この展示は小学生が見て楽しめるような配慮があり、優しくも詳しい企画になっている。それでも、大人が見ても「なるほど」と唸らせる部分もあった。
廊下で見せた「あか」「きいろ」「あお」と同じキャプションを掲げたショーケースに、今度は古代~近現代までの考古資料を色味で分類して並べて展示してある。それぞれの品物がどういう意図で使われたものなのか、わかりやすい解説を添えてあった。
そう、それはまるで「大人がガチになって夏休みの自由研究をやった」かのように。

少しだけネタバレをご容赦願いたい。

「きいろ」をまとめたコーナーがあった。
しかし、そこに黄色のものは並んでいない。
説明書きには、「黄色いものを集めるのはとても難しかったです。かわりに、近い色のものを集めました。金色です!」という、一種開き直りのようなことが書いてあった。金色に輝く古代のアクセサリーなどが並べられていた。とても小さな、かわいらしい品々だった。
他のコーナーとくらべて文字通り異彩を放っている。
しかし、これは「大人のガチ自由研究」。
それでもいいのだ。

良い博物館とは、展示を並べる人が楽しんでいることが伝わってくる場所だと思う。
古いものを並べただけの博物館だってときたま見かける。
課せられたノルマをこなすかのような場所も見受けられる。
それはそれで必要なことだと思う。必要な人が見て、必要な情報が観られるだけで、僕らは幸福だとさえ思っている。

だが、この平塚市博物館の特別展「カラフルな考古資料」は、展示を企画した方の尋常ならざる熱量が展示の端々からあふれていた。
そんな熱量あふれる展示が、博物館に行くだけで無料で見られるというのに、僕の滞在していた時間で3人しか観に来ていなかったのがとても寂しい。
レポを書いて、微力でもいい。
この企画、本当に素晴らしかった」ということを、書き残さねばと思ったのだ。
平塚市博物館でものすごい気合いの入った特別展を無料で見てしまい申し訳なさのあまりレポ書いてる。

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