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本日の「読了」

國分功一郎『目的への抵抗 シリーズ哲学講話』(新潮新書 2023)
鈴木英司『中国拘束2279日 スパイにされた親中派日本人の記録』(毎日新聞出版 2023)

前著は連休前に「これから読む」を言っていた本。元が“講話”なので、読みやすかったが、理解したかと言うとなんとも……。おっさんの脳細胞は深く物事を考え抜くということにとことん向いていないようである。
 新型コロナ禍で私たちが、「すべては生きるため」にと、死者を悼む時間や移動の自由をいともたやすく手放した? ことに対する哲学的な省察で、考えてもいなかった視点もあり面白かったし、刺激も受けた。
 深く理解するには再読を重ねる必要があるが、感じたことは、たしかに「生きる」ことだけが目的となった世界の異常さは理解したが、その一方で、毎日毎日子供のころから「生きる価値」「生きる目的」「生きた証」を求められ続けていることに息苦しさ、生きづらさを感じていた人にとっては「安息の時間」だったのではないかと。
 同じように、朝目覚めることができたならば、その日一日を生きることを続けるだけのおっさんのような人間にとっても、自分以外の全ての人も「動かない」「ステイホーム」という時間は、とても居心地よく感じたのではないだろうかということ。
 脱コロナのいま、そういうかたがたが再び苦しさを感じていないことを願う。


後著はタイトル通りの内容。苦しかっただろうな。
 それにしても「スパイ取り締まり推奨月間」みたいなもののとばっちりで? 拘束されるとは……。
 筆者の拘束時に比べて格段に監視社会化が進んだ現代中国は、おいそれとは「観光」にも行けないなぁ。困ったものだ。
 この本でに書かれている「内閣調査庁にいる親中派内通者」の真偽をだれか国会で問いただす人はいないのかね? 
 
[2023.05.31. ぶんろく]

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