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エロくないのにエロい言葉


最近、職場で、面談があった。立場が上の人が質問し、立場が下の人が答える。
ちなみに、私は、立場が真ん中くらいの人なので、それを黙って記録する人をやっていた。
別に何か悪いことをしたとかで調査されるようなものではなく、わりと形式的なものなので、本当に普通に受け答えをすればよい感じのもの。
とはいえ、上の人とそうそう話す機会はないからか、取調室にでも入ってきたんか!?という神妙な面持ちで入室してくる回答者もいる。

そんな回答者に対して質問者が放った第一声。

「緊張してる?」

私の脳裏によぎる、「このセリフどこかで...?!」という感情。
緊張した面持ちのまま、こくりと頷いた回答者を見てしまったとき、もうダメだった。

これ、AVの冒頭のやつじゃん。

そのあとはもう、1人だけ勝手にツボってしまい、笑いを堪えるのが大変だった。
マスクをしていて良かったと思う。こういうことがあるから、私は、コロナ的にマスクを着用しなくて良いと言われても、しばらくはマスク生活を続けていると思う。


一連の面談が終わり、自分で淹れたドリップコーヒーを持ち、自分のデスクに座って考える。

なぜ「緊張してる?」というセリフをいかがわしく感じるのか。
客観的なデータがあるわけではないので自信はないが、私はそれなりにアダルトな映像を視聴する機会を設けてきたタイプの人間だという自負がある。
しかし、実際にそういうインタビューシーンがある映像を頻繁に目にしているわけではない。あと、あってもそういうシーンは飛ばしてしまうタイプなのではないかと思う。


だけど、テンプレとして。
いたいけな、小動物のような、女の子(もしくは男の子の場合もある)に、こなれた大人がいろいろ聞いて、いろいろ教えていくみたいな、そういうの。
一種の「AV文法」をなぜか知っている。
だから、いかがわしいと感じるのだ。


そういえば、他にも、エロい言葉じゃないのにエロく感じる言葉は世の中にたくさんある。
「エロくないのにエロい言葉」で検索したらいっぱい出てくるので、調べてみていただければ良いかと思う。

例えば、シコシコ、ちんすこう、AV機器、ノーバン始球式、ユニセックス、エロマンガ島、生乳、つゆだく。。。
まったく、枚挙にいとまがない。

これらは、なんとなく音がエロい言葉に似ていたり、見た目でエロい言葉に空目しやすかったり、たまたまエロい意味でも使われることがある言葉が含まれてしまっていたりするタイプの言葉だ。だから、いやらしさを感じてしまう(人もいる)。

もう一つ。私が提唱したい説がある。
それは、「エロい場面でよく目にする一方、日常ではあまり見かけない言葉はエロく感じる」という説である。
私は「屹立」という言葉が割と結構本気でエロいと思う。なぜなら、エッチな小説における臨戦態勢状態の男性器を表す描写で使用されている印象が非常に強い言葉だからである。BL小説なんかだと特に登場回数が多いと思う。
逆に、あまり、山とかビルとか人に対してこの言葉が使われているところに遭遇しない。辞書的にはこちらの用法が正しく、私が紹介した用法は、人によっては違和感を抱くかもしれない比喩表現なのだが、それでも、目にする頻度の違いから、少なくとも私の中では、いやらしさが醸成されてしまったのだ。

こんな例は他にもある。
「調教」という言葉はエロマンガとかAVとかでしか見かけなかったのでエロさを感じる言葉だった。しかし、ここ何年かで競馬にハマってから、この言葉をエロくない場面でよく目にするようになったら、あんまりエロさを感じなくなった。


さて、ここまで、大雑把なまとめではあるが、2つの思いつきを導いた。
ひとつは、エロいと感じる言葉や場面にはある種に文法があること。もうひとつは、エロい場面で目にする言葉はエロくなくてもエロいということ。


ここまで考えた私は、やっと飲み頃になったコーヒーを啜り、一息つく。
その時、目に入った雑誌の文言に釘付けになる。

「超早出しスイートコーンの遅霜対策」
「極上トルコギキョウ水やりの極意」

なんかエロくないか?

単語からお察しいただけると思うが、農業に関する雑誌である。
まず全体的に“私が”見慣れない単語が多い。一般的な農業用語なんだろうということは置いておいて、あくまで素人の私の目でみると、「早出し」とかなんかすごいテクでめっちゃ気持ち良くしますよ的な趣旨の動画にありそうだし、「遅霜」は字面が「遅漏」っぽいし、ここまでくると、「スイート」という単語にもなんか甘い雰囲気を読み取りたくなってしまう。

前者に比べると、トルコギキョウのほうはそうでもないけど、「水」っていうのはまぁエロ寄りではあるかなと思うし、何よりこの短い煽り文の中に「極」という字が二つもある!
なんか全然わからんけどすごそうみたいな圧を感じる。この、大袈裟な勢いでアピールしてくる感じがそういう映像や商品のタイトルにありそう。



多分、今私が「エロい!」「エロくない...。」いかがわしい!」「そうでもないかも。」っていう勢いだけで頑張って説明しているこの感覚は、(エロいエロくないの例ではないかもしれないが)ちゃんと調べれば学術的に説明がついているのではないかと思う。

農業に関する用語を知らない私がその語から勝手に別の意味を汲み取ってしまうことなんかは、ソシュールの言語学で言われているシニフィアンとシニフィエの結びつきは恣意的だということの例として、、、
うーん。それは違うか。

ここでちゃんと調べてまとめることができたら、有益な記事になり得るかもしれない。
でも、やっぱりこの手の話題は、「なんかわからんけどエロい!」みたいに、なんの生産性もなく騒いでるのが楽しいみたいなところもあるので、とりあえず、このまま置いておこうと思います。


あなたが感じるエロい言葉、よかったら私にも教えてください。



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