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【前編】電子書籍ストアの書店員ってどんなひと? vol.1  auブックパス

~前編:編成担当が語る、キャンペーン企画の妙味と手ごたえ篇~

電子書店のページを開くと、目に飛びこんでくる数々のバナー。多くの書店で共通して展開されているキャンペーンもありますが、書店による「独自キャンペーン」が毎月実施されているのをご存じでしょうか? 書店のユーザーに合わせて企画されるキャンペーンには、趣向を凝らしたユニークなものがたくさんあります。
品切れ、絶版がない電子書籍。新刊から昔の作品まで、たくさんの配信作品をどんなふうにユーザーに届けているのでしょうか? 
「電子書籍ストアの書店員ってどんなひと?」と題し、auブックパスさんから3名の書店員さんをお招きして、企画立案から選書、ユーザーの反応までをおうかがいしました!
 
auブックパスとは?
100万冊以上のコミック、雑誌、実用書、小説などを取りそろえる総合電子書籍ストア。
「おもしろい本にここで出会える、気軽に本に触れられる」がコンセプトで、お客さんとコミュニケーションをはかれるストアを目指しているそう。
実はauのスマホ・携帯を使ってなくても大丈夫なんです(意外と知られていませんよね)。
 
auブックパスのなかの人たちはこんなひと
実際にキャンペーンの編成に携わっている3名の方をご紹介します。


編成担当の皆さんにお話をうかがいました!

Oさん(写真中央)【担当ジャンル:男性コミック・BL・グラビア】
雑誌編集、WEB制作を経て電子書籍業界へ。この道10年のベテラン。BLや相撲の沼に浸かるなど、さまざまなジャンルに造詣が深い。最近は、自宅でらっきょうを漬けるなど、料理好きな一面も。
 
Cさん(写真左)【担当:女性コミック・女性アダルト】
前職では実用系雑誌の編集を担当。オリジナルコンテンツの作成を経て、編成担当に。歌謡曲とスナックが好き。最近は、K-POPにもハマっており、推し活のためには海外に足を延ばすこともいとわない。
 
Iさん(写真右)【担当:趣味・実用書】
WEB制作会社、通信サービスなどの営業事務を経て現職に。業種、職種ともに未経験ながら、新しい視点で企画を立案する期待の新星。昨年「THE MATCH」を観て以来、格闘技全般に興味を持つようになり、関連するキャンペーンもさっそく企画している。

――たくさんのキャンペーンを実施されていますが、キャンペーンの企画から実施までの流れを教えてください。
 
Oさん:毎月、編成の企画会議があって、担当者ごとに簡単なメモで企画を持ち寄ります。会議ではみんなの企画をざっくばらんに話し合い、実施する企画を決定したのち、キャンペーンにふさわしい書籍を選書します。売り上げの試算をしたうえで、各出版社に確認をとって実施するというのが大まかな流れです。
 
――キャンペーンの企画を立てるためにどんなことをしていますか?
 
Oさん:新刊に合わせたキャンペーンはマストなので、情報収集は欠かせません。Twitterやエンタメ系のWEBサイト、出版社や他ストアさんのHPなどをマメに見つつ、社内で協力して情報を集めています。
 
――100万冊以上配信していて、毎月の新刊もあると思います。たくさんの本の中からどうやって選書するんですか?
 
Cさん:キーワードやタグで地道に作品をピックアップします。また、社員はみんな本好きなので、社内でキャンペーンに合う作品を募ったりして決めていきます。
 
――出版社から見ても、「こんな作品があったんだ!」と気づかされることも多いです。
 
Cさん:テーマにあった作品を漏らしたくない! という気持ちがあって、締め切りぎりぎりまで画面をにらんで考えていますね。
 
Oさん:選書リストが完成したら、表紙を見て、テーマから逸れたものがないか、雑多な感じになっていないかを最終確認します。選書をしていくうちにテーマからズレてしまうことも起こりうるので、バラツキがないかを確認します。
 
――キャンペーンの作成で気を付けていることはありますか?
 
Cさん:作品の読者対象に男女の区分けは必要なのか? ということを考えますね。コミックはレーベルによって少年マンガ、少女マンガ、青年マンガ、女性マンガと、だいたいみなさん想像する男女の区分けみたいなものがあると思うのですが、性別に関係なく面白く読める作品が多いキャンペーンのときは、そういう区分けは外して考えるようにしています。
 
――ジャンルのイメージによって、間口が狭まるということはありますよね。
 
Oさん:一方で、区分けがハッキリしたほうが、わかりやすくて選びやすいというお客さまもいらっしゃるので、「今回は30代男性にしよう」「次は40代女性にしよう」などと、細かく読者層を設定することもあります。
 
――最近企画した印象に残っているキャンペーンを教えてください。
 
Oさん:2023年5月に3回目を実施したBLのキャンペーンで「推し作家PUSH」という企画があります。BL好きの読者に向け、新しい「推し」の作家を見つけてもらおうという趣旨のキャンペーンです。10冊以上描いていらっしゃる中堅作家さんをピックアップして紹介しています。第1回はひとりの作家さんを推しましたが、2回目以降は4人の作家さんを取り上げています。
 
BL作品には、熱心なファンの方が多いので、バナーのビジュアルに力を入れたり、どんなタッチの絵かわかるようなコマを挟んだり、丁寧な特集ページを作ることを心掛けています。この企画は、まだまだ紹介したい作家さんがたくさんいるので、今後も続けていきたいです!
 
その他にも、『絶愛/BRONZE 完全版』という、90年代に流行ったBLの全巻読み放題や、『北斗の拳 究極版』の全巻読み放題キャンペーンも実施しました。いずれも、SNSがざわついて手ごたえを感じたキャンペーンです。
 
Cさん:auブックパスには読み放題プランに加入してくださっているお客様も多いのですが、今年のはじめに、ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」のNetflixでの配信がはじまって話題になっていたので、原作の『池袋ウエストゲートパーク』シリーズ1~3巻の読み放題を実施しました。
また、コミック担当としてはタイトルに「〇〇くん」と付く講談社さんの作品を20冊ほど冒頭巻の無料と全巻クーポンを実施しました。キャンペーンタイトルは「『〇〇くん』に恋する春」です(笑)。
 
Iさん:私は編成をはじめて日が浅いので、「これ」とお話しできるわけではないのですが、最近は「心遣いができる人になろう」キャンペーンを実施しました。大学で心理学を勉強していたので、ホスピタリティから、会社での人間関係などで役立つ本を取りそろえたキャンペーンです。
そのほか、「LOVE!韓国!」キャンペーンや「今アツい!格闘技のこと」キャンペーンなど、苦労して選書したキャンペーンが控えているので、楽しみにしています。

――自分の好きなものをキャンペーンにすると、選書にも力が入ってユーザーにも熱が伝わりますね!
 
さて、続きは後編へ。好評だったキャンペーンや、編成の苦悩やこだわりと、今後の展望についてうかがいます!
 


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