わが青春想い出の記 30 北海道旅行4

 「札幌に着いた。札幌には佐々木君が斜里からわざわざ迎えに来てくれた。感激。3人で「少年よ大志を抱け」で有名な札幌大学、クラーク博士の像、大通り公園、定山渓などを見て回った。

北海道に来て第一に驚いたことは、北海道の広さです。見渡す限りの平原(冬の間は雪原になっている)と山ばかり。日本にもこんな広いところがあったなんて想像もしなかった。まるで映画の西部劇に出て来るような風景ばかりだ。

また、各家には、サンタクロスがいまにも大きな荷物を担いで出て来そうな大きく、立派な煙突が必ず1本か2本あることです。冬、暖房のため各家とも石炭を焚く為に、煙突は必要なものだそうです。南国育ちの僕には珍しい光景だった。

煙突のある家に住んで見たいナー、子供の頃よく考えたことがあるが、実際に見て煙突のある家は自然とも馴染んで美しい。絵を見ているような感じだ。
遠い山々、道路の両側にはまだたくさんの雪が積もったままになっている。

料理は、どこへ行ってもカニ料理ばかりで、そろそろ飽きた。東京で「カニ料理」と言えば高級料理で、庶民の食卓に上がることはまずないが、ここ北海道ではどこでも手ごろな値段で食べられる。チョッピリ羨ましい限りだ。僕はそのすばらしい料理に出会う時、美しい景色に出会う時、いつも胸のポケットに入れてあるお前の写真に手を当て「見て、見てと言ったり、食べて」と言ったりしている。なんだか一人で見たり、食べたりするのが勿体ないのです。そしてよーし、今度は必ず洋子を連れて来ようと心に誓うのです。

佐々木君は、早く札幌を引き上げて自分の住む斜里に行こうと誘います。もっとすばらしい景色、食べ物がたくさんあると言う。しかし、その斜里に行くには更にもう2日、3日を要し、寒さも一段と厳しいと聞きます。だから斜里は女房(女房と言う言葉を始めて使って胸がジーンとした。お前を女房と呼ぶのにはチョット勿体ないような、嬉しいような気がした)をつれて必ず行くからと説き伏せ、3人で札幌の夜を満喫した。やっぱり北海道は来てよかったと思う。

明日はここで2人と別れ、もう一度函館に戻ってそこから青函連絡船に乗って青森へ渡る。これからは汽車を乗るたびに、一歩、一歩南下し那覇に近づきます。
青森からは常磐線回りで岩手県の盛岡まで行き、盛岡駅で山田線に乗り替えて宮古に行きます。
宮古では楠君が待っているはずです。斉藤君もいる。宮古に着くと浄土ケ浜、リアス式海岸などを見るつもりです。

そうそう、確か小学校の地理、社会科の時間だったね。「日本のリアス式海岸で有名な地名はどこですか」、との先生の問いに、岩手県から宮城県の海岸と答えたのは洋子ただ一人だったなー。洋子の頭の良さにはいつも驚くばかりで、その都度、恥ずかしい思いをしたものです)。そのリアス式海岸を見る予定です。宮古で一泊し、それから気仙沼、女川、花巻を見物しながら宮城県の仙台へ行きます。

仙台では工藤君、南条君が首を長くして待っているようです。
仙台で一泊して3日後に東京に戻ります。東京に着くとお前と会う日の丸も七個消えていよいよ10日を切ります。いよいよ再会ですね、もうすぐですね、嬉しい。
愛する 愛する洋子へ。                   智                              
  


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