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【今日コレ受けvol.092】主人公より俗物が推し

7時に更新、24時間で消えてしまうショートエッセイ「CORECOLOR編集長 さとゆみの今日もコレカラ」。これを読んで、「朝ドラ受け」のようにそれぞれが自由に書くマガジン【今日コレ受け】に参加しています。

息子が昨日からずっと「又八が! 又八が!」と騒いでいる。
夫の『バガボンド』を読みだしたのだ。

『バガボンド』は言わずと知れた井上雄彦さんによる人気漫画で、試行錯誤をしながらも、剣の道を登りつめる宮本武蔵が主人公。

けれど息子は武蔵より、浮気したり、嘘をついたり、人を裏切る又八が気になり、「あいつ変態だ」「これからも浮気するな絶対」などと声高に申し立てる。
 
気づいているだろうか。
自分がずっと又八の話をしていることを。又八の話しかしていないことを。
 

異能の主人公に対比して描かれる、俗物的な人物。『ONE PEACE』のウソップのような、『SPY×FAMILY』のフランキーのような。
読者はそこに自分を投影し、安心したり、身近に感じたりする。

いわば、現実と空想の世界に架かる、橋のような存在。読者のアバター? 
読み手は彼・彼女の成長や変化に喜び、物語がより魅力的になる。気がする。(個人の見解です)
 

私はそんなキャラクターが大好きだ。
ウソップもフランキーも、もちろん又八も。

『バガボンド』を最後に読んだのは数年前で、物語の詳細は覚えていないのだけれど、又八(とそのお母さん)については、強烈に覚えている。 

「又八らしい」ハッタリやトンズラが出てくるたびに「やっぱり!」と膝を打ったり、たまに見せてくれる優しいふるまいに、「おお! 成長したな~」と感心したりしたことを。
 
息子もこのぶんでは数年後、武蔵より、又八のことをよく覚えているんじゃないか。成長した彼が、又八をどう評するのか聞いてみたい。
人生になんらかの決断が迫られたとき、又八が頭に浮かんだりするかもしれない。案外。

それにしても、さっき息子が「ここ、この又八が!」と見せてくれた6巻のページには、がっつりベッドシーンが…。

「お、おおぉ」と思ったけれど、何気ない顔でスルーしてしまった。もしや今? 今のが性教育をするタイミングだったのかしら。。

いや、又八ならしないな。

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