見出し画像

「責任を取る」ことの意味

 「責任が取れんのか!」と聞くと、給料を減らされたり、別の役職や事業所へ左遷させられたり、挙句の果てには辞職させられたりするのではないか、とちぢこまってしまう人もいるだろう。「何があっても私が責任を取るよ」と上司が言っていたとして、「じゃあ何をやってもいいんだ」と楽観的に捉える人もいれば、「結局そう言いながら部下に責任を押し付けるんじゃないか」と斜に構える人だっている。

 「責任を取る」ことが具体的に何を意味するのか、冷静になって疑問に思う。社会の中で明確な意味を共有できていないから、人によって大きく感じ方も変わってしまうのだと思う。とりあえず便利な言葉だと思って使っていないだろうか。

3種類の責任
 少し調べてみると、責任は一般的に3種類からなるらしい。

1.遂行責任(レスポンシビリティ;Responsibility)
2.説明責任(アカウンタビリティ;Accountability)
3.賠償責任(ライアビリティ;Liability)

 英語では明確に区別されている言葉たちが、日本語では一括りに「責任」と訳される。逆に言えば、「責任」に一対一対応する英語の語彙は存在しないのだ。これが、日本語の体系において「責任」が持つ曖昧さの原因だと思うのだ。一般的には、遂行責任 → 説明責任 →  賠償責任 の順で、責任の種類が移り変わっていく。それぞれの責任の内容を追ってみよう。

まずは遂行責任を果たそう
 仕事の場では、自分が取り組むべきことは明確に設定されるはずだ。プライベートの場でも「友人との遊びを計画する」「料理や洗濯に定期的に取り組む」など、共同体に属する限り自分の責任は発生する。そこで大切なことは「一度決めて公言したことは、特別な理由がない限り、遅れずに最後までやりきる」ことだろう。自分が受け持っているのだから、それを放棄せずに遂行することは、誠実な姿勢につながる。

遂行責任を補う説明責任
 しかしながら、やり切ったとしても当初目指していたことに到達できるとは限らない。その時に登場するのが「説明責任」である。なぜできなかったのか、どうしたらできるようになるか、相手を説得するために言葉を尽くす。当初想定していた仮説では不十分だったのか、他に大事なことがあって時間を取れなかったのか、単に怠けてしまったのか。ここで説得を諦めてしまったら、説明責任を放棄したことになる。

どうしようもない時の賠償責任
 相手に対して重大な損害(金銭上、健康上…)を与えてしまった場合、相手の生活を保証する、あるいは当事者本人を懲らしめることになる。どんなに説明を尽くしたとしても限度はある。その時に初めて減給や罰金、懲戒解雇が発生しうる。こうはならないように気をつけたい。

自分が抱えている責任を振り返ってみよう
 人間は社会に生きている限り、他人に対する責任が発生する。自分が負っている責任は、3種類の責任のうちどれに該当するのか、今一度考えてみよう。そうすることで、次に自分が取るべきアクションが明確になるはずだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?