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AW3821DW を買った②

購入から2週間ぐらいがすぎた。これまでの使用感をまとめる。

前回

AW3821DW を買った① で主にサイズ感について書いた。

前回の記事は想像より多くのビューがついており驚いています。読んでいただいた方々ありがとうございました。今回もわずかでも役立てば幸いです。

ゲームに関して

よかった点
 ・NanoIPS, HDR600 の映像の美しさ
 ・38", 3840x1600, 144Hz, G-Sync Ultimate の快適さ
 ・湾曲による没入感と見やすさの向上
悪かった点
 ・HUD が端に表示されて見づらい
 ・要求スペックが高い

良)NanoIPS, HDR600 の映像の美しさ

以前使っていた 240Hz モニタが TN パネルだったからというのが大きいが、映像の美しさの向上がゲームをする上で最もよかった。とにかくきれいで明るい。きれいに見えるのは NanoIPS のおかげで色が鮮やかに区別されて見えるのと、PPI が狭くきめ細やかな映像になっているのが原因だと思う。色に関してはこれまで同じ色だと思っていたシーンが、実際はこんなにも違った色だったのかと気づくシーンが多い。特に一色でペタッとした印象を抱いていたものが、色の濃淡が区別できるようになり陰影による奥行きを感じられるようになった。HDR600 対応の影響も大きく、とにかく映像のメリハリが効いている。感覚的には昔の液晶 iPhone から今の有機 EL を使った iPhone に買い替えた感じに近い。

正直なところ「FPS しかやらなければリフレッシュレートを最優先すべきで、正面から見れば TN でもそんな変わらないでしょ」と思っていたのだが、そんなことはもう二度と思わないだろう。映像はいいにこしたことはなく、一度美しい世界を見るともう戻れない。VALORANT や CS:GO など景色を楽しむことなど一切なさそうな FPS ならこの機能はあまりメリットはないが、それ以外の FPS であれば成績最優先であっても十分にメリットを感じる美しさだと思う。Apex でジャンプ前に上から眺める広大なマップの美しさは競技的な楽しみを優先している人でも生で味わったほうがいい。

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良)38", 3840x1600, 144Hz, G-Sync Ultimate の快適さ

大きさ的に 38" ウルトラワイドは視界に目一杯画面が広がってよい。少し大きすぎるかもしれなくもない?程度に大きいのが、余裕をもって視界全体を覆っている表れだろう。40" 以上の 4K でも似たように視界一杯に広がるが、デスクに置いて使う距離だと上下がちょっと視界からあふれる。その点 38" モニタは 30" モニタをベースに左右にだけ大きいので使い勝手がよい。上下幅がちょうどよく、左右は視界の限界を少し超えて広がる。これがデスクに置くような近い距離で大きい画面を目一杯楽しみたい、という要望に一番マッチしていると思う。

144Hz の動作駆動を助けていると思われる G-Sync Ultimate はとりあえずオンにしている。コメントでもいただいたが、G-Sync モジュール用にファンがモニタ内に内蔵され、常に回っているのを不安に感じる方も多いだろう。確認したがノイズはモニタに耳を直接つけないと聞こえないレベルだった。内部を隙間から覗くと、ファンをさらにもう一枚のプラスチックカバーで覆っており、静音性が意識されているのだと思う。もちろん物理的な故障の原因になるのは否めないが。

240Hz から 144Hz への移行だとフリック時のカクつきが目につく。しかし、G-Sync をつけているとなんとなく、ほんとうになんとなくだがそれが少ないように感じる。正直 G-Sync はよくわからない。効果があるといえばあるし、感覚の問題でしょと言われたらそうかもと言ってしまう。本来、G-Sync 対応のモニタは非対応のそれと比べて高価なので、この程度の効果しか感じなければデメリットに入れるべきだと思うが、割引価格で買えたなら搭載型を買ったほうがいいと思う。個人的には13万で AW3821DW が買えるのであれば、G-Sync はむしろついていて嬉しいものだ。

良)湾曲による没入感と見やすさの向上

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ゆるくこっそりとした湾曲だが、意外とメリットが大きいと思う。湾曲していると左右から映像が来ている感覚になるので、大きいウルトラワイドは遊園地のアトラクションのように感じる。一方、大きい通常の直線モニタは言うなら映画館。没入感はウルトラワイドのほうが上だと感じる。

見やすさ向上の効果は甚だ大きい。大きい直線モニタだと画面端への視線の入射角がかなり浅いので、照明の反射などで画面端が見えないというのがけっこうあった。湾曲していると入射角がゆるくなるのでそれは起こりにくい。ちらっと一瞬の視線移動だけで十分読み取れるのは、大きめの画面でゲームする際には必須の要件だと言える。デメリットの方で書くが、ウルトラワイドでゲームをするとミニマップやキルログ、体力などの HUD が画面端になるので遠くて見にくい。おそらく照明の反射なども影響を受けるだろう。湾曲だと多少なりともそれが改善されるので、43" の直線でゲームをするよりは 38" 湾曲ウルトラワイドのほうが断然使いやすかった。


以降、ゲームをしている上で悪かった点。AW3821DW 固有の問題というより、3840x1600 の問題ばかり。

悪)HUD が端に表示されて見づらい

大体の FPS ではミニマップやキルログ、残弾数といった画面上の情報が画面端に表示される。ウルトラワイドは左右が遠いので、視界の端にそういった情報が表示されてしまい、必要な情報がやたら見にくくなるゲームがある(冒頭に見せた Apex の画像の体力バーやミニマップ)。

24インチの 16:9 モニタであれば、体力バーぐらいであればわざわざ注視しなくともよかった。周辺視野にぼんやり映るバーでまだ大丈夫、体力半分、ほぼ瀕死ぐらいの判断はつくので、ずっと視線はエイムに合わせていられた。が、AW3821DW ではそうはいかない。周辺視野には映らないので、意識して視線を移さないとわからない。これはけっこうなデメリットで、Apex をやってるときに、わちゃわちゃした状況で自分の体力を錯誤して突っ込むことが幾度かあった。

Destiny2 は考えられていて、HUD が中央寄りに表示されている。しかし、すべてのゲームがそうかというとそうではない。手持ちのゲームだとちょうど半分くらいだった。

HUD が端によるゲーム
 ・Apex Legends
 ・CoD
 ・Cyberpunk2077
HUD が中央寄りになるゲーム
 ・Destiny
 ・DOOM Eternal
 ・Halo:TMCC

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冒頭で見せた Apex のスクショと見比べると、Apex がいかに端によっていて見づらいかわかるだろう。

ウルトラワイドが普及してくれば中央寄り配置が主流になるかもしれないが、近々でそれが主流になるのは怪しいと思う。このデメリットは、競技的な楽しみ方をしている人にとってもっとも厄介なポイントのはずだ。

悪)要求スペックが高い

当然ながら 3840x1600 を 144fps で表示するにはほぼほぼ最上位の GPU が必要になる。これは当然なのだが、ウルトラワイド特有の問題としてスケーリングが効かないというのがある。4K の 16:9 モニタであれば、GPU がスペック不足というときに 1920x1080 に落として表示が可能だ。が、アスペクト比を 21:9 にすると 3840x1600 しか選択肢がない(上記手持ちゲームでは)。AW3821DW のアスペクト比でゲームをしたい!という場合は、この出力解像度に耐える GPU が最低限必要になる。3840x1600 は画素数で比較すると 4K の約 74%、FHD の約 296% だ。ごくごく単純に考えると FHD の3枚分の描写が1フレームで必要になるので、GPU も当然それなりのものが求められる。

ちなみに自分は 1080Ti を使っている。フレームレートを最優先に考え最低画質にすると、Apex で 144fps、Cyberpunk2077 で 20~80fps、Destiny2 で 60~144fps ぐらいの印象だ。

悪)応答速度 1ms は期待できない

本記事末尾の追記参照。

ゲームに関する総評

AW3821DW の38" 湾曲ウルトラワイドというサイズは、大画面で PC ゲームをしたいという人にとって、使いやすさを兼ねた最大の大きさのモニタだと思う。また、それに加えて映像の美しさが抜群にすばらしく、大画面でやるゲームをさらに楽しくさせてくれる。値段は張るが、買って後悔は一切ない。もしかしたらゲームによってはフレームレートが出ないとかでこれまで使っていたモニタのほうがいいこともあるかもなと思っていたが、そんなことは一切思わずこれまで使っていたモニタは迷いなく売った。

一方で、その大きさゆえ、見にくい情報があること、要求されるスペックが高いことが悪い点としてある。特に前者は自分の努力で解決不可能なので、競技的なゲーマーには向かないと思う。


仕事などに関して

よかった点
 ・38", 3840x1600 のちょうどよさ
 ・湾曲による見やすさ向上
 ・映画最高
 ・ハードウエアボタンのショートカットキー割り当て
悪かった点
 ・3840x1600 の画面共有
 ・湾曲によるわずかな歪み

良)38", 3840x1600 のちょうどよさ

とにかく大きさがいい。逆に大きさ以外で仕事特有のメリットはあまりないかも。

38", 3840x1600 は使いやすく十分な大きさを持っている。使ったことはないが 34", 3440x1440 は仕事としては小さいと思われるので 38" 一択だと思う。実際の所、仕事で使うことを前提に AW3821DW の一回り小さいものを使うなんて絶対考えられない。

まず、具体的な大きさについて、30" を左右に拡張した程度の大きさだが、これがとにかく使い勝手がいい。よく比較対象となる 34" ウルトラワイドは 27" を横に伸ばしたような大きさだが、30" と 27" が全然別物のように、34" と 38" も別物のはず。そして、仕事における縦幅は何より重要と考えているので、38" ウルトラワイド一択。

解像度に関しては、横幅が FullHD 2枚分ちょうどであり扱いやすい。よくある 1920x1080 を原寸で横に2枚並べられるか並べられないかは、業務用途では大きな差がある。

正直なところ以前使っていた 40"4K モニタとの優劣はつけがたい。でかすぎるという点が許容できるなら 40"4K のほうがいいかもしれない。個人的には40" レベルの横幅を持ちながら、首を上下させず視線の移動だけで全体が見渡せる点で AW3821DW のほうが好きだった。40"4K のときは画面端の見えにくさからほとんど使っていなかったフルスクリーン表示も、AW3821DW は問題なく使える。

また、31.5"4K という比較的主流なモニタからの移行がしやすい点で 38" ウルトラワイドは優秀だと思う。PPI が下がって横に広がっただけという程度の差しか感じないだろう。縦が小さくなる 34" ウルトラワイドは横の広がりより縦が小さくなる印象のほうが強いはずなのでまずない。ウルトラワイドで仕事をするなら、38", 3840x1600。

良)湾曲による見やすさ向上

ゲームで語った部分と一緒。大きいモニタにありがちな、反射と四隅が遠すぎて字が小さく見づらい点が、湾曲によってわずかながら改善される。ゲームと比べてツールバー・タスクバーなど小さい文字を画面端で見る機会が多いため、ゲームよりは湾曲のありがたみを感じる。

良)映画最高

仕事ではないが、映画を見るのが楽しい。上下黒帯がないとなぜこんなにも映像体験が上がるかはわからないが。画面いっぱいに広がる映画は満足感がある(左右に 1,2cm くらい黒帯が出るものもある)。この点でもやはり 34" より 38" のほうが広くてよい。

基本的にシネスコサイズの動画はフルスクリーンにすると黒帯がほとんど出ない。Amazon Prime の一部の映画や YouTube のシネスコサイズの動画はフルスクリーンにしても上下黒帯が出たり、縮小表示される場合があったが、ブラウザのプラグイン UltraWideo を使えばブラウザで見られるシネスコサイズの動画はちゃんと下の画像のようなあますことのない表示ができる。50" 以上の 16:9 モニタの迫力にはかなわないが、40" 程度のモニタなら 38" ウルトラワイドのほうが気持ちよい。

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良)ハードウエアボタンのショートカットキー割り当て

モニタの裏についているハードウエアボタンのうち3つに任意の機能を割り当てられる。高価なモニタなだけあり、ブラックスタビライザや用途ごとの適切なカラー設定、DPx1, HDMIx2 の複数入力など便利な機能が多い。ショートカットキーとして3つのボタンのそれぞれにほぼ全ての機能に割り当てられるので、これらの機能を存分に使いやすい。機能が豊富なモニタは何度か使ったが、ボタン操作が面倒なので全く使わないことが多かった。ショートカットキー割り当てがあると頻繁に使おうという気持ちで使えてよい。仕事とゲーム、映画など多目的で使うときに特に便利。


以降、仕事などに関して悪いと思った点。

悪)3840x1600 の画面共有

3840x1600 で画面全体の画面共有をすると、相手がウルトラワイドでないと上下黒帯表示になるため、小さく写って画面が見にくくなりがち。画面共有は画面全体をやるタイプだったのでめんどうくさい。

悪)湾曲によるわずかな歪み

感じないときのほうが多いが、湾曲しているので直線が曲がって見える。デザインなど細かく並行を取ったり、直線が直線でないと悪影響があるような仕事では 2300R でも目につくと思う。字を読む分には問題ないのだが、作図とか設計は怪しい気がする。個人的にはパワポで並行かどうかを確かめるときに、目があてにならないなと感じるときがまれにある。


まとめ

満足。ゲーム・仕事ともに足りていないと思う点がない。GPU は足りていないが。

とにかく大きさがいい。ゲームにとっては十分すぎるほど大きく、仕事にとってはちょうどよい大きさ。そして NanoIPS と HDR600 対応による美しい色合い。それでいて 144Hz 駆動。ついでに湾曲による見やすさのサポートと、没入感の向上。こんな順番で嬉しく感じる。買ってよかった。

引き続き、なにか聞きたいことなどあったらコメントいただければ回答する予定。


最後に、今回は文章にしてみようと思いますが、もしこの記事がよかったなと思ったら スキ! ボタンを押してもらえるととても嬉しいです。


2021/03/09追記

最速モード時の画像のブレについて。

コメントいただいた内容について記載します。基本的に以下の引用に示す仕様にまつわる現象だと思います。この仕様は製品マニュアルの p.9 に記載されています。以下に大事な部分のみ引用します。

製品の特徴
Alienware AW3821DWモニターにはアクティブマトリックス、薄膜トランジスター (TFT)、液晶ディスプレイ (LCD) および LED バックライトが搭載されています。モニターの機能は、以下のようになっています:
(中略)
・最速モード*のとき、グレイ対グレイを 1 ms で高速応答する NVIDIA® G-SYNC® ULTIMATE モニター
(中略)
*最速モードのとき、グレイ対グレイモードが1 ms になり動きのブレが低減され映像の反応性が高くなります。ただし、画像に欠陥が目立つようになります。システムの設定や各々のゲーマーのニーズもそれぞれ異なるため、Alienware は適切な設定を見つけるために色々なモードをお試しになることをお勧めします。

このマニュアルは AW3821DW が発売される前から公開されており、38型ウルトラワイドが欲しすぎた私は購入前にすでに読んでいました。そのため、購入初日から常に 2ms に設定し利用してきました。2ms の設定であれば、ここまでまったく悪影響は出ていません。正直なところコメントで質問いただいて「欠点に書いておけばよかった・・・」と思い出すレベルで忘れていました。完全に私見で申し訳ないのですが、個人的に応答速度 1ms も 2ms も体感で差を感じられないと信じているので、気にしていないという面もあります。

正直なところ、このマニュアルを読んだ際、カタログで「応答速度1ms」を喧伝したかったから無理に入れた機能だと思いました。これに対して嫌悪感はあったのですが、応答速度に興味がないことと 2ms 設定で全く違和感を感じず過ごしていたため、この記事を書くときには頭からそっくり抜け落ちていました。

結論として 2ms での利用をおすすめします。私は一度も 1ms で利用したことがないのですが、コメントいただいた2名の方が似たような現象を確認していることからほとんど確実に起きることだと思います。1ms に期待することはやめたほうがいいです。

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