◼️「キャプテンマークと銭湯と」について

「サッカーのクラブチームに入っている中学2年の加賀谷周斗は、キャプテンの座を途中から入ってきた大地に奪われ、試合で失敗した友達にもひどいことを言ってしまい、クラブチームでうまくいかなくなってしまう。落ち込んでいた周斗がふと立ち寄った銭湯。そこで出会う人たちと、昔ながらの銭湯の湯で癒され、自分の間違いに気づき、またクラブチームのメンバーともうまくやっていけるようになる。」
という、男の子中心のお話ですが、女の子にも楽しく読め、小学生に読みやすい物語です。
銭湯で出会う世代の違う人々たちとの触れ合いも周斗を成長させるきっかけになります。
まさに銭湯に入った後のように、癒されてあったかく元気になる作品です。

詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。（ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。）

中学受験では、2020年度第２回鴎友学園中、2020年度第２回成城学園中の国語の入試問題で出題されました。

◆2020年度第２回鴎友学園中の国語の入試問題

大問１番で出題され、大問２番は論説文、大問３番が漢字の書き取りでした。

「周斗が前の公式戦でゴールを必死で守らなかった克彦を責めたことを後悔している」という説明があり、「周斗は大地にプレーだけでなくリーダーシップでもかなわないと落胆し、FCレックの練習を初めて休む。中略があり、楽々湯で比呂さんに話し、比呂さんから自分の中の最高をめざせと言われる」場面が出題されました。

この大問１番の設問形式は、問１〜４まで全て「〜を説明しなさい」という記述問題でした。

◆2020年度第２回成城学園中の国語の入試問題

大問３番で、物語序盤の、FCレックの柴山コーチからキャプテンは「大地にお願いしたい」と言われ、周斗はキャプテンマークを大地に渡す場面が出題されました。
大問１番は漢字の書き取り、大問２番は説明文で全部で大問３番まででした。

この大問３番の設問形式は、抜き出しが３題、語句の挿入が１題、語句の意味が１題、４択の記号選択問題が２題、５択の記号選択が１題、自由記述問題が２題で全部で10問でした。

■『キャプテンマークと銭湯と』あらすじ（ネタバレ）

中学２年の加賀谷周斗はサッカーのクラブチーム『FCレック』に所属している。
ある日、柴山コーチから、キャプテンを下され、新しく強豪チームから移ってきた清野大地との交替を言い渡される。
サッカーを教えてくれた亡くなったじいちゃんを思い出し、じいちゃんの家の方に行くと、近くで煙が上がっている。じいちゃんとよく来た『楽々湯』、1人で久しぶりに銭湯に入る。それから、周斗は1人で『楽々湯』に行くことになる。
春のリーグ戦が始まり、最初の試合で周斗は、小学校からの友達の克彦がキーパーとしてゴールを死ぬ気で守らなかったことを責めてしまう。大地は克彦を元気づけようとしているのに対し、責めた周斗はチームメンバーからも非難され、周斗は克彦に謝ろうと思ったがその機会も失い、FCレックの練習もついに休んでしまう。周斗は『楽々湯』へ行き、左官屋の比呂さんと出会い一緒に湯に入り、話を聞く。
『楽々湯』は休業の日が多くなり、ついに『閉店のお知らせ』を見る。スーパー銭湯にお客を取られ、薪で湯を沸かす昔ながらの銭湯は、体力的にも親父さんには辛くなってきているのだ。
『楽々湯』によく来ているコナさんという女の人とも周斗は顔見知りになるが、偶然大地がコナさんのところに来て、弟であることがわかり、一緒に湯に入りお互いの気持ちを話す。
周斗は１週間練習を休んだが、FCレックに戻り、試合に出る。勝ったら、両親と最後の『楽々湯』へ行こうと。