ガンに親しみを持てるか?

私はがんサバイバーになって、今年の9月で10年になります。とはいえ、実はこの正確な数字を教えてくれたのは、主治医の先生。私は、興味がないというか覚える気がないので、知りませんでした(笑)
 今、振り返ってみると、ガンになった当初は本当にふさぎ込みましたし、世界が白黒になって、何をしたいか?と考えると
・残して逝く子どもたちへの、20歳までのバースデービデオレターでもやろうかな
・面と向かって言えない、愛する妻への手紙を書こうかな
・家族に何が残せるかな
・母と妹に何ができるだろう
など、「死ぬ前提」の思いばかり巡らせていました。
 ここから「人生やり直しスイッチ」を押して気持ちが切り替わるのですが(ここはまたの機会にお話ししますね☆)、今思うと、「バートン、死にたかったのかな」と思うほど、当時は寂しい思考でした。
 さて、先に言った通り、ここから生(活)かされて、間もなく10年。あっという間でした。きっと、普段からあまり「死」を意識していない健常な方たちと同じくらいに、当たり前に明日が来ると思い、日々を過ごしてきました。
もちろん、西洋医学上は「根治不可」ながん患者な私です。いまだに診察や定期検査もあります。ただ、私の中でそれは「自分が生(活)かされていることを医学的に再認識する機会」だと捉え、再発などとは一切考えていません。むしろ、あり得ないとも考えています。
というのも、私はガンに名前を付けています。名前は「バートン」。そう、私のニックネームです。私は、学生時代に1シーズン100万円以上を費やしてスノーボードを楽しむくらいにスノーボードが大好きでした。そういった経緯から、自分のニックネームを、当時の好きだったスノーボードブランドである「BURTON(バートン)」にしました。そう、今の私は、ガンに親しみを持っています。
当時、「ガンになったら死ぬ」と捉え、「病気=病人」になり、心身ともに病んでいました。でも、手術を含めて転移4回。結果として生きています。これは本当に「キセキ」なのだそうです。(自覚なし♬)
以前に主治医から言われた話がとても気に入っているのですが「今、バートンの中でガン細胞は、まるで高速道路を走る車のように快適に走っているのね。だから、このまま快適に、好きなところを走らせてあげて。疲れてしまって、SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)に停まってしまったら、そこからガン化してしまう。それはつまり、バートンさんの体が居心地が悪くなってきた、走行したい道が悪くなってきたってこと。これはダメ。80歳、90歳くらいまで、楽しく走らせてあげて」と。
そう聞いたとき、「そうか!このガンは、私を気に入って走ってくれているのか?だったら、とことんは知り尽くしてもらおう!」と考えるようになりました。そこからです、私がガン(バートン)に親しみを持てるようになったのは。
まぁ、だからといって毎日話すほど構ってはいないのですが、検査に行くときには「おーいバートン。今日は検問(検査)だから、捕まらないように気を付けて((笑))」と、心の中で言っています。
せっかく自分を選んでくれて、10年もの間、快適に過ごしてくれているのです。このまま、私が「もういいよ〜ありがとう!」と伝えてあげるまで、快適に走行させてあげたいなと思います。そして、どうせ一緒に生きていくのなら、お互いを尊重して、それでいて意識し過ぎずに生きていけたらなと思います。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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