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公共料金とスマホ支払いをまとめてはいけない

スマホの抱き合わせ販売は以前から問題にされている。それこそガラケーの時代から、必要ないアプリを「すぐ解約していいので」と契約時の割引ができないとして買わせる販売方法が横行していた。スマホになってもこの販売モデルは生き続け、アプリや動画サービスの契約、在庫処分っぽいタブレットの廉価販売、なんたらPayのアカウント作成など、バリエーションも広がっている。現在は電気代といっしょにするとお得みたいなプランもある。

今回はこの電気代の請求とスマホの月々の使用料(基本料、データ通信プランの料金など)をまとめると電気代が安くなるプランについて、自分が体験したトラブルを書いてみたい。

個人的には、抱き合わせプランやわかりにくい割引プランそのものは不要だと思っているので、若干クレームめいた内容に見えるかもしれないが、今回のトラブルは、契約側(高齢の母親)にも問題がないわけでもないと思っている。

特定のキャリアや特定のまとめプランが問題というより、もっとマクロ的な視点で、こういった売り方の問題や盲点を指摘し、共有することで、同様な問題で悩んだりトラブルになったりを少しでも防げたらという記事と思って読んでほしい。

話は、まず母親がキャリア系のガラケーを紛失したことから始まる。紛失は昨年秋ごろで1年ほど前だ。端末は当時一般的な2年しばりのプランで端末代は月々の使用料の形で分割されていたが、購入2か月くらいで紛失。端末保険に入っていなかったため、継続利用するには、端末をあたらしく購入するしかなかった。年金暮らしの母親に5万も10万もする端末を新しく購入する余裕はなく、ショップでいろいろ相談した結果、端末代金を清算して解約することになった。

これは保証プランを設定しなかった母親の問題であり、紛失・解約での損失はやむを得ない類の問題だ。

トラブルになったのは、その後、やはり固定電話だけではいろいろ不便ということで、新しい端末を契約しようとなったとき。今回は紛失しても新しい端末に変えやすい格安スマホやSIMフリーを選択。また、一度解約するといままでの月々のスマホ料金は(5千円前後)負担感が大きい。千円くらいの格安スマホは年金生活にも負担は少ない。ただし、格安スマホは高齢の母親だけで契約するのはハードルが高い。ちょうど土日に自分が実家に行く用事ができたので、このタイミングを利用して量販店で契約してしまおうと考えた。

じつは、我が家はすでにキャリア系の契約から全部格安スマホに変えている。嫁も息子もUQモバイルで、近所の量販店で1時間もあれば契約できている。嫁はキャリアスマホをMNPで切り替えたため、若干時間がかったが、それでも店舗予約も必要なく、待ち時間含めても2時間あれば切り替えができる。その感覚で、土曜日に実家に行き、日曜の朝一で量販店に出向き、昼には本来の用事を済ませる算段でいた。

最初のトラブルは、本人確認書類が住基カードだったため電気やガスの支払案内通知など住所と名前が確認できる書類が必要で、一度家にとりに戻らなければならなかった。これは、店舗やキャリアやMVNOによってポリシーが異なるので、こちらの問題だ。高齢者で保健証もなく免許証を返納していると(代替証明書はもらえるが)、現在正式な本人確認書類はパスポート、マイナンバーカード、住民票となり、住基カードだけでは本人確認にならない。

メインのトラブルは、契約処理を店舗の端末で進めているときに、解約した携帯利用料の未払いが1か月分あるということで、エラーになったことから始まる。状況がつかめないが、端末の情報では携帯の月々の利用料はすべて支払い済みで解約の端末清算も終わっている。ここに問題ないのだが、おそらく「昨年、紛失した携帯を契約したときに電気代の支払をまとめており、その分の未払いがあるのでは?」とのことだ。

店のスタッフとともに各所に問い合わせして状況を確認。母親本人は電気代についてはあまり自覚がなく、契約時に「電気代の支払明細が必要で、これの支払を一緒にする必要があるといわれた」とのことだ。このあたりの経緯はいまとなっては確認しようがない(なおこの契約は正規代理店なのか街の携帯ショップなのかは不明)。電気代とまとめた契約はいちおう成立しているので、残債があるなら支払う必要がある。

電気代と携帯の利用料はまとめられるが、その月の金額はそれぞれの請求期間の日付がずれるため、解約後、携帯の請求は止まったが電気代の請求が1か月か2か月続いたようだ。これが1か月分未払いになった理由のようだ。本人は解約して携帯の請求が止まったから電気代の支払は必要ない。以前の請求に対応していればいいと考えたのだろう(なのでたぶん請求依頼を1回分放置していることになる)。

最終的には、請求番号などを調べて分かっていたので、量販店で清算。情報が更新され、エラーが解消され手続きを終了させることはできた。が、問い合わせや確認にかかった時間はおよそ3時間。

冒頭に明記したように、このトラブルは本質的にはユーザー(こちら側)のミスだ。だが、ショップ側(今回対応してくれた量販店ではない)の契約時の対応に疑問点や、そもそもスマホの契約そのものが複雑でわかりにくいという問題もある(高齢者に契約のすべての責任を負わせられるレベルかどうか?)。以下にこれらを整理したい。

紛失した携帯を契約したとき、本人確認の意味だろうが電気代の請求書類を提示させ、それを電気代と請求をまとめるプランに誘導または強制される可能性があること。

今回の問題で、ショップに悪意やノルマ達成のための強引な勧誘があったかどうかはまったく不明だが、ショップの本人確認で公共料金の支払い明細などを要求されたら、その理由と利用目的を明確にしてもらう必要がある。また、「電気代とまとめないと契約できない」ような説明には要注意だ。

個人的な意見だが、携帯電話の請求は極力、通話や通信、端末にかかわるものに限定させるべきだ。ただでさえ、キャリアの契約は割引やなんたらプランなど複雑で、最終的な金額がみえにくい。請求タームも違うので、混乱のもとだ。

総務省の指導のもと、各社、端末分離プランになってきているが、それでも端末を安く提供するためのプランや条件が残っている。

マクロな問題としては、そもそも、このような複雑なプラン、料金モデルに意味はあるのか? 店舗で余分な説明が必要で、処理も煩雑になり、店舗が混雑するのは、むしろキャリアのビジネスモデルとショップでの販売方法に無理があり無駄が多すぎるのだ。少しでも安くという企業努力なのかもしれないが、複雑なプロセスや販売ルール、慣習が、販売機会を狭めている。

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