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辞書の生き物 #298 鉄火巻き

鉄火巻き

マグロを使った巻きずしを「鉄火巻き」と呼びます。
他にも、「ネギトロ巻き」、「納豆巻き」、「かんぴょう巻き」など、具材の名前が付いた巻物はありますが、マグロだけは「鉄火巻き」と呼ばれます。

そもそも「鉄火」とは、字を見てわかるように、焼けて熱い鉄のことで、刀や包丁などを作る鍛冶場(かじば)のことを鉄火場(てっかば)と呼んでいました。

肉や魚、野菜などを味噌に混ぜてつくる料理で「なめ味噌」があります。
私は鹿児島の「豚みそ」が好きですが、江戸時代に赤みそに唐辛子などを混ぜて作る「鉄火みそ」があったそうです。

見た目が赤く、唐辛子の辛さもあり、赤い鉄火を連想させたことから「鉄火みそ」と呼ばれたようです。

この赤さのイメージから、赤さが際立つマグロの巻物が「鉄火巻き」と飛ばれるようになったという説や、ばくちが行われる場所が、火花を散らすように殺気立っていたことから「鉄火場」と呼ばれており、そこで時間を惜しんで片手で食べられるマグロの巻きずしが人気だったことから「鉄火巻き」と呼ばれるようになったという説があります。


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