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物書庵初心週記帖(39号)「異常気象を異常と感じられるままでいたい」

20日は大寒。各地で冬日を迎え、先週末は関東地方でも積雪か?と予報が出ていたが、朝起きてみるとただの雨。いつ雪が降ってもおかしくがないほど気温は低かったものの初雪観測とは至らなかった。

思い返すと、去年の夏の暑さは地球温暖化のギアが一段上がった事を知らしめるかのようだった。暑さに強いのを自負して炎天下でも日課のランニングを続けてきたが、さすがに命の危険を感じて自宅で大人しくしていたのを思い出す。高校3年間の大半を野球部員として過ごしてきた愚庵にとって、真夏の炎天下での練習など日常茶飯事だったが、暑さのレベルが全く違う。水を飲み過ぎるとスタミナがなくなると言われていた時代。一昔前は「非科学的で時代遅れ」という言葉で片付けられていたが、今となっては命取りになる。むしろ平和な時代だったのか…とも考えてしまう。

最高気温25℃以上で夏日、30℃以上で真夏日となるのはすっかり耳に馴染んでしまったが、冬になると少し毛色が変わる。冬日は最低気温が0℃を下回った日、真冬日は最高気温が0℃を下回った日を指す。東京では50年以上真冬日が観測されていないそうだが、温暖化へ突き進む宇宙船地球号に全力でブレーキをかけない限り、真冬日という言葉を聞く機会はなさそうだ。

地球温暖化、環境問題は待ったなし!と言われて久しいが、市民生活にもその足音は確実に近づいてきている。養鶏の飼料となるとうもろこしは、昨年の異常気象で生産量が落ちたところに、投機マネーが流入した事で価格が高騰しているそうだ。マネーゲームの行方に一喜一憂する投資家の影で、頭を悩まされているのは飼料製造や養鶏を生業としている生産者。飼料価格の高騰で卵の価格が上がるのは必然だが、デフレマインドが根付いたこのクニで受け入れられるのか。生産者だけが苦渋を舐める構図は長続きしない。抜群の栄養価と手頃な価格で市民の食生活に寄り添ってきた卵が、鰻と肩を並べる嗜好品になる日がきてしまうのだろうか。

今年に入り東北や北信越地方を中心とした大雪による農産物の総被害拡大額は51億とも試算されている。コロナ禍において自然環境で生き延びているウィルスと共存する難しさも、大切さも学んだはず。各国が脱炭素を叫んでいるが、お決まりの政治的パフォーマンスではなく自然との共存を本気で考えていく第一歩になると期待したい。

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