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物書庵初心週記帖(36号)「丑年はゆとりを忘れず着実に」

新年あけましておめでとうございます。

今年の箱根駅伝は往路で連覇を狙う青山学院大学がまさかの大失速。復路では初の往路優勝を成し遂げた創価大学の快走が続き、誰もが初優勝を確信した後の10区でまさかの大ブレーキで駒沢大学の大逆転優勝。誰も予測出来なかった2020年を懸命に過ごしてきた学生ランナー達を象徴するような驚きのレース展開に、手に汗握りながらテレビの前で声援を送っていた人も多かったのではないでしょうか。

新しい年を迎えて、一つでも明るいニュースが増える事を願っていたものの、相変わらずCOVID-19の感染拡大に右往左往している政治家達の話題が尽きない。動きの少ない三ヶ日に緊急事態宣言の要請を表明する事で、政府が動けば「自分達が政府を動かした」となり、動かず感染が拡大すれば「自分達は提言したのに政府が動かなかった」となるのを狙っていたのでは?と嫌でも考えてしまう一都三県の首長達。「経済優先」を貫いてきたかと思いきや、一転して緊急事態宣言の検討に入る事を表明した菅首相。「遅きに失したが決断は評価する」という野党第一党の党首。誰もが経験した事のない事態なので、失敗する事は仕方ない。が、今行われている事は「評価は上げたいけど責任は取りたくない」という考えから生まれているただの政治的な駆け引き、綱引きにしか見えないのが残念で仕方ない。

自分が全ての責任を取ると言い切るような、このクニの舵取りを任せる事が出来るリーダーシップを発揮する政治家はどこにいるのか?決して革新ばかりが賞賛されるべきとは思わないが、選択的夫婦別姓制度の議論すら先送りする保守系議員の声がまかり通る与党に期待するのが間違いなのか。

新年早々、暗い話題ばかり取り上げてしまったが、決して希望が無いわけではない。

小惑星リュウグウのサンプルを採取し帰還した「はやぶさ2」の偉業は多くの技術者に支えられての成果だろう。藤井聡太二冠や八村塁、久保健英など常識や慣習に囚われず、壊しながら活躍する若手の芽も確実に出てきている。

のんびりと、でも着実に歩みを進める牛さんを見習って、生産性だけを追い求めずにゆとりある時間を大事にする世の中に、他人を蹴落とすのではなく助け合う世の中に、そんな風に変わっていくといいなと考えながら、連れ合いが作ってくれたおせちと日本酒を堪能していたら、あっという間に正月休みが終わってしまったのであった。

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