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省エネ基準の計算方法:基準をクリアしない場合

4月1日から省エネ性能の説明義務制度が始まり、建築士が建築主に省エネ基準の適合性を説明することになりました。

今後は省エネ基準をクリアする住宅が増えると思われますが、現時点では基準をクリアすることは義務ではありません。
そのため、省エネ基準がクリアしていなくても問題はないのですが、どのような措置をしたら基準をクリアできるかは提示しなければなりません。
そのため、基準をクリアしない場合でも基準をクリアするための計算は必要になります。

省エネ基準をクリアしない場合はどうしたらいいのでしょうか。

外皮平均熱貫流率(UA値)

外皮平均熱貫流率の基準をクリアしないということは、住宅の断熱性能が低いということです。
そのため、基準をクリアしない場合は、基本的には断熱性能を高くします。
たとえば、断熱材を厚くする、断熱性能が高い(熱伝導率が小さい)断熱材に変更する、断熱性能が高い窓やドアに変更するなどです。
また、玄関や浴室、階間などの断熱されていない部分がある場合は、断熱材を入れることを検討します。

断熱仕様の他に影響が大きいのが面積です。
特に影響が大きいのは窓です。

そのため、窓は断熱性能(熱貫流率(U値)だけでなく、面積についても検討してください。
無駄に窓面積が大きくなりすぎていないかをチェックすることは重要です。
高性能な窓を採用するにはコストがかかりますが、窓面積を小さくすることにコストはかかりません。

窓の面積がどのくらいが適当かは、窓の断熱性能よります。
窓の面積を検討する上で参考になるのが開口部比率です。
開口部比率とは窓全体の面積の合計を住宅の外皮面積で割った値です。

外皮平均熱貫流率を計算するたびに開口部比率を計算しておきましょう。
そうすることで、窓の性能がこのくらいであれば、開口部比率はこのくらいが適当という判断ができるようになります。

冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)

冷房期の平均日射熱取得率をクリアしないということは、住宅の日射遮蔽性能が低いということです。
(つまり住宅内にたくさん日射が入るということです)
平均日射熱取得率に大きな影響があるのは窓なので、窓の日射遮蔽性能を検討するのが基本です。

まず外皮平均熱貫流率同様に、無駄に窓面積が大きくなりすぎていないかをチェックします。
窓面積が大きいとそれだけ日射が入ってきます。
また、可能であれば南面の窓に日除けを設置することを検討してください。
庇などの日除けは日射を遮るのに非常に有効です。
西・東面の窓は日除けは効果がないため、外付けブラインドや日射遮蔽型のLow-Eガラスが有効です。

繰り返し計算する

省エネ基準の基準をクリアするためには、条件を変えて何回か計算しなければならないことがあります。
そのため、断熱仕様ごとに熱貫流率を計算した一覧表を作成しておくなどの工夫しておくことをお勧めします。



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