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ライブはクーラー効いた部屋で聴くもんじゃない?本当?考えてみた!

今日は!!!!!音楽記事だぞ皆の衆!!!!

本日先程、こんなツイートを見た。

ツリーにも続いているのでぜひ展開して読んでほしい。
要約すると
「小袋くんが『俺のステージはクーラーの効いた部屋で聞くもんじゃねえから配信断ったぜ』って聞いてマジショックを受けた。配信ライブは色々不自由な人に優しいからやってほしい。あとエッセンシャルワーカー(社会的に必要不可欠な職業の人々)のためにもアーカイブ残してほしい」
である。

このツイートのリアクションも、自分のTLの音楽好きたちも様々な反応があったので、これについての自分の思いも書き留めておこうと思う。

あとフジロックの配信はマジでめちゃめちゃ助かるしめっちゃ嬉しいし最高でした。Awichのステージが見れてとても嬉しい。

今回の小袋くんのライブ

今回のこの発言はそれこそ先日のフジロック2022出演時だそうだ。
小袋くんは4年ぶり、レッドマーキュリーでの出演。
発言全容はと言うと、

軽い挨拶のあとに「ひとついいですか?今日、配信断ったんですよ。」と話をしはじめる小袋。「俺の音楽は、クーラーの効いた部屋でゆったり聴くものじゃなくて、こんなクソ田舎の苗場にわざわざ来て、Super organismを蹴ってまでこのステージに来た人たちのためにあるんですよ!」という熱っついMCには会場が思い切り湧く。

フジロックライブレポート FULIROCK EXPRESS'22 http://fujirockexpress.net/22/p_1729

軽く、事前インタビューも読んでみたがだいぶアゲアゲだったようだ。
ツアーの総決算的なスケジュールでもあったし4年ぶりということもあった。あと彼の思想的に、もともと「夏フェス開催したほうがいい」というスタンスでもあったため久しぶりのフジロック出演に、今までの鬱憤をぶつけるような気持ちもあったのかもしれない。(もちろん現地で見たわけではないし予想でしかないが)
よってテンションアゲアゲで、ちょっと勢いのある発言になったのだろうという予想もある。

この発言にピンポイントに焦点を当てて考えると、ひとつ擁護意見が消えてしまう。
「配信のことを考えるとコストやステージングに影響が出るので、"ライブは配信もすべからく考えていくようにするべき" というのは違う」
という意見が散見されており、僕自身もこれは本当にそうと思うので本当にそう。
が!フジロック主催の配信に小袋くんサイドが、コストに関しては大きくリソースを割いているとも言い難いのでこの意見は通らないように思う。

今回に限っての件、僕個人の意見では、
「むしろフジロックは配信をさらっとやったりしたほうが新しい視聴者も増えるだろうし、活躍もよく見えるのでやったらよくない?」
である。
実際、いつかのフジロック配信でVaundyを初見で見てめっちゃハマったし。
言っちゃあアレだが、新しく自分でスタッフを外注して配置するよりもステージは最初から存在しているから"普段のライブ配信をわざわざする場合よりも"コストはかからなさそうに思う。実際は知らんが。

ただまあ、今回の発言に真っ向から反対。萎え萎えしおしお丸、ってわけでもない。
フェスっていう、ある種"浮ついた空気感"はいつものライブより高揚したものになるだろうと思う。
それはもしかしたら部屋では味わえないため、現地とのギャップが「(もしもいつものライブを配信していたなら)いつものライブよりも大きく差が開いてしまう」ことになり、アーティスト側の意図しない受け取り方をされるかもしれない。
例えば、フェスでしかしないパフォーマンスを配信して「いつもはこんなんじゃないのに…」ってなりかねない。
っていうか僕がもし大型フェスなんて出たら気分あがりすぎて骨の一本や二本折ってしまうくらいのパフォーマンスをしてしまいそうだし、それがいつもだと思われたらちょっと違うなとも思う。
それを防ぐ意味では断る理由の一つとして成立し得ると考える。
あくまで、一つとして、だけど。

もしフジロック側から「配信していいですか?ギャラはこんだけ減りますが。あとカメラ意識して動いてください」って言われてるなら、さらに断る理由は増える。アーティストだってお金もらってご飯を食べていかないといけないし、カメラを意識してライブすることは思ったよりも難しい。

そうそう、僕も自分のバンドでライブを配信したことがある。ステージの引きを一台のカメラで撮ってるだけで、さらにそれは無料配信、という簡素なものだったが美味いことに、それを見てくれた人が次はお客さんになってくれたのでマイナスなことはあんまり感じられなかったな。
というか今のバンドでも一回配信ライブしてたわ。遠方のフォロワーが見てくれていてとても嬉しかった。
俺のために新幹線乗れとは言いづらいし。

今回の件に限っての個人的意見としては
「んなこと言ってやるなよ小袋くんよお」というスタンスが正直なところ。
そもそもあんたのレコーディングスタジオには空調はあるだろうし、あんたが家でCD聞くときはエアコン消してから聞くのかい?ていうかあんたの音楽はそこまで"熱"があるのか?別にサークルモッシュするとかでもないし現地での体験ってなんなんだ?と突き詰めて考えてしまう。てか「クソ田舎」って苗場の現地の人聞いたら嫌な気持ちになる人いるでしょ。
正直「言い方が悪いよなあ」と思う。
現地でしか味わえないと思う、ならまあそうかもしれんが、エアコンのたとえを変に出したおかげで「ん?」ってなる。あとクソ田舎はマジで余計。
言い方って難しいね。

配信擁護派側の自分の意見

小袋くんは置いておいて

かつて「ライブっていうのはお茶の間でせんべいかじりながら見るもんじゃねえんだよ」と発言していたBUMP OF CHICKENも今では紅白歌合戦に出る世の中。(正直この発言は好きだった)

そもそもライブを部屋で見ることは"悪"なのだろうか"善"なのか。
ツイートに沿って意見を出していきたいと思う。

「行きたいのに行けない人のためにも〜」
僕は、ここを切り捨ててきたから音楽業界は衰退したと言われてきていると感じる。
なにを聞く人を選んでいるのか。
たとえば超硬派のハードコアバンドがいて、イベントは身内のイカついイベントしか出ないみたいな人がいたとして、選択として間違っているとは言えないが、もったいないとは言えるかもしれない。いろんなライブ出たほうが認知広がるし可能性広がるじゃん。かっこいいのにさお前ら。もっと聞かれたほうがいいよ。え?でもモットーとして出ない?もったいないじゃん…
それと同じように、聞く人を選ばないように、選択肢を増やしていくことで潤っていくことがあると思う。
物理的に精神的に体調的に経済的にも、ライブに行けない人にも届けようとすることで開ける道は確実にある。
意固地ロックンロールジジイが滅ぼしていった音楽界もどこかにあると僕は感じる。

フジロックも僕超行きたいけどまとまった休み取れること稀だし財布もペラペラなのでな〜

さらにここから確実に世の中の技術は上がっていく。
もっともっと"音楽の素晴らしさ"を伝える技術は発達していくだろうし(という祈りも込めて)そこに乗っかっていかない理由はない。
僕がだ〜いすきなMaison book girlが配信ライブで映像技術を駆使してトリックアートめいたことをしていた過去がある。
それはカメラで撮って、画面で見たからこその感動がたしかにあった。現地で見るのが上とか下とかそういうことではなく確実に"別"だった。
そのような手段が増えるようなこともあるだろう。
その体験はライブとは別のかけがえのないものだ。

LGBT当事者である僕は「多様性」という言葉を軽々しく言うのは好きじゃない。な〜にが多様性じゃ。俺は一人で、その上俺の世界では大多数じゃい。
ただ、多様性を意識してどんな人でも見れる世の中は素敵なことだと思う。
昔は音楽に関係ある人しかフォローしてなかったツイッターも今では関係なくフォローしている。
その人たちがライブハウスに気軽に来てくれるとはあまり思えない。でも知ってもらいたい。そんな人たちにも伝わる可能性があるなら絶対得。

過去に僕は一年に100回ほどライブハウスに行っていたことがある。
ライブハウスに着いてから「え?今日誰出てるんです?」つってフロアに昇っていっていた。
その上で言うけどライブハウスに行くというのはちょ〜〜〜しんどい。
お金の価値観はそれぞれだからもしかしたら見たあとに「でもこれに3000円かあ…」となるかもしれない。俺はつまんなかったら容赦なく帰る。
場所によっては3時間以上立ちっぱなしなこともある。プライベートなのに立ち仕事かよってくらい足が疲れる可能性がある。ライブハウスは椅子を置け。
トイレが粗末だったり飲食が不自由だったり(あと僕はタバコ吸いたいがこの世の中なので吸いづらいこともあり)体調が悪くてもなかなか楽な姿勢をとれなかったりすることもある。
そのすべてを解決できて、ちゃんとライブを見れるならまあそっちのがいいなってなる日は確実にある。たとえ五体満足でいても。
それでも見てもらえたらきっとプラスになると信じている。

いろんな人が見るという選択肢が増えることで潤うことは確実にある。
まあこんなとこが擁護派として考えた僕の意見。

否定派の自分の意見

ただここまで書いておきながら「すべてのライブは配信もするべきだ」という考えに両手を挙げて賛成するというわけではない。
ここからは否定派としての自分の意見を書きたいと思う。
めっちゃダブスタだろうけど意見の羅列ということで一つ容赦いただきたい。

配信には別にスタッフと機材が必要になる。
それらが揃えられなかったら?もしくは、揃える必要があったら?
粗末な映像で" 勘違い”されたらどうしよう?
音質が悪くて「このアーティストは音質が悪いのだな」と思われたらどうしよう?
ちゃんと届けようと努力した結果、自分の楽器やパフォーマンスに影響するような経済的損失を持ったらどうしよう?
そんなリスクが存在する。
ジレンマである。
僕は一番にそれが頭によぎる。
それこそ自分の所属するバンドの配信ライブのアーカイブを見てくれたフォロワーが「声量少なめ?」と言ってくれたことがあった。(素直な感想はどんなものでもありがたいのでその発言自体が迷惑ということではない。見てくれてありがとう)
実際は全然そんなことはない。配信上で声が通らないシーンはあったし、うちのボーカルはウィスパーも使うタイプのボーカルなので配信のペラペラ音響では良さが伝わらなかったのかもしれない。
そんな影響はきっとビッグになろうともあることだろう。

ライブと違って、聞く人の環境を選べない状況になればなるほど、プロデュースはしづらくなる。
極端な話をすれば、シリアスなバンドでもめっっっちゃポップな部屋で聞かれたら雰囲気削がれるなんてこともあるだろうし。
機材の話だけではなくそういう環境も関係していく。
小袋くんの音楽の"熱"でもあったが、ダンスチューンなのに狭い木造アパートで聞かれていたら踊れていなくてつまらない、だとか。
激アツハードコアなのに、つまんねー事務室みたいなとこで流れたら魅力100%伝わらなかったり。
するかもしれない。そんなコントロールもできない。

あとツイートであった、「エッセンシャルワーカーのためにアーカイブを残してほしい」にはあまり賛同できない。
ライブというのは、文字通りその瞬間生きている証拠みたいな感覚もあるので、ある職業、性質の人のために自分の人生を切り売りすると思うと献身的すぎる気がする。
タイミングが合わずライブに行けなかったのなら「行けなかった」と諦めてほしい、と僕は考えてしまう。
言葉にしづらいな…その瞬間でしかできないことをしているのにな…っていう、感じ…人生は巡り合わせというか。
いろんな職業もそうじゃろ?飲食店もそう。
「私は朝しかプライベートの時間がない。せっかくあなたの店のファンなのだから開けてほしい」と居酒屋の扉を叩いても「それは違うよ!」となるだろう。巡り合わせな気がする。
もちろん「記録のために」ライブDVDが残るということはあるから反論されちゃうし、単純に気持ちの問題なのだけれど。

身体的不自由によるライブ鑑賞の難しさに関しては、限度はあるが軽度なら実はできないことはない、というのはある。
ライブハウスの人も、アーティストも、足を運んでくれた人を蹴落とすようなことはしない。
もし足が不自由なら椅子を用意してもらえるだろうし、なんなら別部屋モニター室みたいなのを用意してもらえるかもしれない。
車椅子での入場が難しいと感じることはあるかもしれない。でもそれは問い合わせた結果だろうか?
エレベーターがないライブハウスで車椅子で来てくれた人を笑顔でおんぶしたライブハウスの受付の人を僕は見たことがある。
ライブ映像で手を挙げて全力で踊ってる人々を見ていると自分と住む世界は違うと感じるかもしれないが、混ざれる可能性はあるというのが僕の意見だ。
(まあライブハウスはだいぶバリアフリーが進んでいないのでそこは問題ではあるが。階段急すぎるし。椅子置けし)
話はずれるかもしれないが、これは性格の話でも一緒。
「自分陰キャですし…」でライブハウス行かない話を聞いたことがあるがまったくもって論外。てか陰キャ多いしな。いやそういうことではなく。
芸術を自分で享受する可能性を自分で潰すのはよくないよってこと。
(でも自分はパニック障害なので発作出たら退場しちゃいます。どうしたらいいんでしょうね)

悪意の心配もある。
自分は命を削って歌っているのに、顔も知らない人のために配慮した動きをしないといけないと考えるのは億劫だしパフォーマンスにも影響が出る。
画面の向こうではハチャメチャに叩いている人もいるかもしれない、それは気軽に見れるからこそ生まれる意見の齟齬だろう。
ハチャメチャに叩く人は、休みをとってチケット代払って体力使って自分のライブを目の前で見に来てくれることはほぼないのだから、ライブに来てくれる人は安心だけど、画面の向こうで見る人はそうではないから、めっちゃ悪意を持ってみている人もいるかもしれないし。
それこそSNSの発達した今、失敗や勘違いを拡散されたのなら溜まったもmのではない。
配信することで細かく、重箱の隅をつつくように「失敗を見つけられてしまう」かもしれない。
現地のライブでも見つけられないことはないが、ライブを見ながら動画を撮って実況してSNSに書き込んで…というのはハードル高いし。

総合すると、環境を選べないことによる心配、が大きい。
自分のパフォーマンスが100%で伝わらない、伝えられないのは芸術家として悲しいところ。
しかも努力では及ばない部分が100で存在するし。

でもさ

でも、僕はコロナ禍を経て「配信文化」が根付いたことはだいぶ大きいと思う。
もしかしたら現地主義のまま行っていたら確実に衰退していっただろうと思う。
そもそも全国に情報を伝えるテレビがオワコンと言われているのに、ある一点の地点でしか受け取れない情報というのが発展していく未来が見えない。
人間は色んな所に、色んな時間で存在しているんだから。
ロックンロールは現地でこそ、と言われても多分お前はビートルズもジミヘンも現地では観ていないだろう。
Blankey jet cityはテレビでウケてった。
技術が進化していけば様々なアーティストが満足する形で"お茶の間"に届くことだろう。(エアコンは消してほしくないが)

これから「配信」という文化はさらに進化して、根付いていって、きっと良い未来に繋がっていくと僕は信じている。


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