威厳
そのシャクナゲは、普通なら見られることのない場所に、咲いていました。
というのも、たまたま、古い空き家を訪れる機会があり、その家の裏にまわった時、裏の家との間に、このシャクナゲを見つけたからです。
その家の裏にある2軒のお家も、人が住まなくなってから、かなりの年月が経っているようでした。
シャクナゲは、家と家の間にぽっかり空いた、畳2枚程の空に向かって精一杯枝を伸ばし、ピンクや白の艶やかな花を、零れんばかりに咲かせていました。
打ち捨てられた家の裏の、湿っぽく、薄暗い空間に、誰に見られることもなく咲くシャクナゲの姿に、私は、気高さを感じました。
シャクナゲは、もともと高山植物で、厳しい環境に咲く花だそうです。
シャクナゲの花言葉は
「威厳」
この、シャクナゲの美しさを表すピッタリの花言葉だと思いました。