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経済学に数学は必要なのか

○はじめに

今年もノーベル賞が発表され、経済学賞として今年は3名の方が選ばれました。

(参考:https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize/2022/economic_sciences/article_04.html)

そしてここに卒論の進捗が不味くなってきた私という存在があります。

卒論研究に対する意欲を維持することも兼ねて、自分の研究に関する話を発信することをとりあえず何らかの形でやってみるのもいいのではないか。
研究というものを、専門外の人に説明する場として記事にするのも良いのではないか?

そんな邪推を以てして、この記事を書いてみている次第でございます。

私は農業経済学という、経済学の一分野を専門としている人間なので、主にそうした話をできればなと思う次第です。
興味あればぜひお暇なときに読んでみてください。

○経済学に数学は必要なのか

結論から申し上げますと

研究によるけど、微積分・行列あたりまでは概念を理解するくらいまでにはしとけないと大変だろうな

となります。

理由から言いますと、経済の理論は微積分・ベクトルくらいは平気で出してくるからです。

例えばミクロ経済学の中で、限界生産費という概念が出てくるのですが、これは、

「ほんのちょっとだけ生産量を増やすとどれくらい費用が掛かりますか?」

という正に微積の概念をあてはめて考えるような問いになっており、こういったことを軸に研究を行う人が大半になるからです。

研究による、といった部分に関してましては、経済理論を研究する人だったら自分で理論を立てられないといけないのでもっと十分理解しないといけないでしょうし、事例研究をする人だったらそこまで考えずとも事例分析は行えるでしょうという私の甘い見通しがあります。(この研究のタイプに関しましてはまた後日書きましょうかねえ…)

また、経済学部に限らずですが、統計学に基づいて分析とかを行う場合もあるので、そういった面でも数学は得意でもなくてもいいので「数学アレルギー」を持たないくらいにはしておいた方が良いと思います。

○なぜこんな問いが生まれたのか

「経済学」に数学は必要なのか?

経済学を巡る話として、とりわけ日本では特に大学受験を巡ってこういった話を聞きます。大学受験時の設定に起因すると個人的には思っています。

日本の大学の多くでは、経済学部というものは「文系」に分類されます。

そして、そうした文系学部の入学試験というものは、数学を試験科目にしないか、試験科目にしたとしても、基礎的な部分のみで、ちょっと難しい範囲に関しては選択科目にするか或いはそもそも試験で問わない、といったこともあります。

例として早稲田大学政治経済学部の入学試験を見てみます。

ここでは、共通テストで、外国語・国語・数学1Aは必修、これに加えて地歴公民・数学2B・理科から一科目選択したうえで、学部独自試験を行い、その総点で合否判定を行っていることが伺えます。(参考:https://www.waseda.jp/fpse/pse/applicants/admissions/)

共通テストにおける数学1Aは

・数と式
・集合と論証
・2次関数
・図形と線量
・データの分析
・場合の数・確率
・整数の性質
・図形の性質

となっており、経済学で嫌というほど触れられる微分積分ベクトルの概念を学ばずとも政治経済学部に入学できる、という状況が見られます。

早稲田大学を例に挙げましたが、このように経済学部の入試の多くは、(高校の範囲内で高度とされる)数学の知識は必要ない形式を取っているものが多いです。

しかし、蓋を開けて経済学部に入って経済の勉強を始めようとすると、こうした、ゴリゴリの数学的概念を用いた理論を勉強しないといけない、という状況に多くの文系経済学部生は直面してしまうのです。
先行研究の論文読むにしたって、手法のところで平然と数学的な考えを用いたゴリゴリの理論ぶち込んでくるの珍しくないですし。
言ってしまえば、一種の「ギャップ」みたいなものが見られているのかなと思います。

僕自身としてはそもそも文理で分けることにあんまり賛同してないのでこういった面でもどうにかならないかなと思います。(正直経済学部は理系で良いと思うんよな)

○要はこういうこと

経済学に数学はそこそこ必要なので、少なくとも数学嫌いにはならないことを勧めます。

○終わりに

とは言っても受験生諸君からすれば、今は数学なんか勉強する時間無いよと言われればそらそうだな、という返ししか出来ません。

ただ、いざ入学して勉強を始めるにあたって「なんか思ってたんと違う」ということになることが嫌だということもそれなりにあるでしょうから、警告と老婆心を兼ねて結びと変えさせていただきます。

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