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八戸 ――東北新幹線のCMの記憶から、出張者のまなざしへ

2017年3月、私は北海道&東日本パスを片手に東北の街と函館を巡る道中で、青森県八戸市へ訪れた。


特にコレといった観光名所に行ったわけではないが、その街は3年以上たった今でも印象深い。それは「ーー果てなき風の道 心の旅は今」という歌詞からはじまる東北新幹線のCMと紐づけられながら。

八戸駅から気動車に乗って2駅、本八戸駅に着く。今は引退してしまった車両を見送り、街へと繰り出す。

本八戸駅前はさっと通り過ぎて。

緩やかな坂を登ると、市役所が右手に見える。知らなかったけれど、八戸には市営バスが走っているのか。

市役所の北側には八戸城址がある。現在は三八城公園として開放されている。

その公園から本八戸駅の方向(北側)を眺める。駅の向こうには煙突が見えるが、沿岸部の工業地帯の火力発電所のものだろう。駅近のビジネスホテルもいいアクセントになっている。

今度は反対(南)側を見てみよう。高層建築物が立ち並んでいるあたりが、八戸の中心市街地だ。

少し南西に目を向けると、小高い丘の上に住宅地が広がっているのが分かる。市街地の面的な広がりを感じられる。

外側から市街地を眺めてきたが、いよいよ中心市街地へと入っていく。

本八戸駅から続く道をずんずんと進み、国道との交差点へ出ると青森市に本社を置くさくら野百貨店がある。

ところでこの国道340号、北と南に分かれており、北が東行きの一方通行、南が西行きの一方通行となっている。文字で説明すると東西南北がややこしい。

それでは北側の国道を、車の流れに逆らって西へと進んでいこう。

少し進むと、今度は八戸地場の百貨店、三春屋がある。


2つの百貨店を擁し、八戸という都市が周辺の街から集客する拠点性を持っていたことが分かる。百貨店隆盛の頃は去ったが、それでもしっかりした街だと感じる。
今回の訪問では巡れなかったが、いわゆるロードサイドの店舗も見てみたい。

引き続き西へ。

進んでいくと、チーノはちのへというビルが建っている。もともとイトーヨーカドーだったようだが、郊外のイトーヨーカドー(三八城公園から本八戸駅方面を眺めた写真に写っている)との競争に敗れ、撤退したとのことだ。

この辺りで中心市街地が途切れる感じだったので、道を引き返していこう。

しかし、かなりの頻度で路線バスを見かけるのも驚き。

3月はまだ日が短い。歩く中で夜の帳が降りる頃合いに。

地方都市でそこそこよく見る屋台村。赤提灯に心惹かれる。

この流れで、東京から八戸の工場へ出張に来た会社員になったつもりで、市街地の南側にある繁華街へ行ってみよう。

鷹匠小路へ。

電柱も地中化されており、すっきりした景観になっている。代わりといっては何だが、電線のように吊るされている提灯たちが繁華街の景色を引き立たせてくれる。

こんな路地裏も魅力的だ。一杯ひっかけたい(でもやっぱり怖い)。

路地を通り過ぎてみると。

こちらはちょっと大人な雰囲気の街路に。きっと接待に使われるんだろうなあ。

しかし私は色気より食気、お腹がすいてきたので夕食を食べる。
八戸ではイカ、鯖、鰯が獲れるとのことだが、今夜は鯖に決めた。

鯖の丼に、鯖のつみれ汁。このおいしい鯖たちはなんだ。

ちゃっかりつくねも頼んでしまう。次に八戸へ行ったらもっと美味しそうに撮るぞ。

さて、実際に訪れる前に抱いていた八戸の印象は、最初に記したように幼い頃に見た東北新幹線の八戸延伸の終着地くらいのものでしかなかった。

しかも、八戸を訪れる前の私は「なぜ八戸が延伸開業の終着地となったのか」と若干腑に落ちないでいたのだった(ルート選定の政治的判断、建設費などの財政的問題、県内でのイベント開催など、調べてみればいくつか理由は見当たる)。

ただ、この街を歩く中でその理由を自分なりに見つけて、納得することができた。それは資料に載せられている「正しい」理由ではないのだろうけれど、ある個人がその街を把握し、印象付けるのには十分なのかもしれない。

ガイドブックや書籍、ネットにある情報を、出かけた先でなぞるのも楽しい。けれど私が八戸で感じたように、出かける前には考えもしなかった感覚に浸れるのも、またお出かけの楽しさの一つ。

ーー果てなき風の道 心の旅は今
自分が今抱いている心象風景、それをひっくり返す旅に出かけたいものです。

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