太刀花 秒

書作のこと 短歌のこと その他、覚え書きをします。

太刀花 秒

書作のこと 短歌のこと その他、覚え書きをします。

最近の記事

「未來」7月号自歌

入社から5か月、欄頭の3人のなかに入れていただいたのを見た。 沼田市の池田とふ地に落とされし我が属性は水か大地か 田に並みて鯉など泳ぐ池のあり池田と申す由か知らねど りんごりんご看板を読む子らを乗せスクールバスの往く峠道 いのち湧くとて上下する春の土おつかなくつてとんで帰りぬ をみなごのスケッチブックしどけなう沼田城址を囲みては散り 浪立ちて晴れの少なき新潟に学ぶ書と画と酒とじよんのび 越後路に雨を聞きつつふるさとの蝗の跳ねる音をし思ふ 沼、池、潟――水の縁に

    • 部活A。部長が決まらない

      3年生が引退して、新部長を決める時期になった。 が、夏休みに入っても部長が決まらない。 わたしは顧問ではなく、外部講師として勤務している。書道部だ。 書道部といっても、半紙練習をやるだけではなく、パフォーマンスで遠征したり、大作の依頼をこなしたりと、イベントの話が次々に来る。 それを週2回の、……いや、わたしが実技指導できるのは週1なので、実質週1回の活動で回していかなければならない、かなりブラックな部活なのだ。 顧問も、書道のことはまったく触れたこともないと公言してい

      • 「未來」6月号自歌

        短歌結社「未來」、この号では歌が9首載ったのを見た。 在りし日のままに眠れる従兄(ひと)の顔撫でよと言はれ指はたゆたふ おとなしう焼かれて壺に納まりてあんなにうまく死ねるだらうか 胴枯れの桃にみの虫のみ生りて振り子の影をなせども揺れず 分身をかしづき誰かの分身を殺す世界に三年遊べり 丑の刻近くなりせばお先にと仮想の世からうつつへと落つ 同郷の風のたよりや春の来て鬱にならぬはわれのみと聞く 自まつげを聞き違へにき血まつりが際だちてゐるわがまみのほど 9の上にはたはた踠く秒針を

        • 「未來」5月号自歌

          短歌結社「未來」に入って3ヶ月経ち、初投稿の歌がようやく8首載ったのを見た。 ますらをの正しう箸を持ちたまひ骨を拾へる姿うつくし いぬに草踏ませ灼けつく道をゆくここに倒るる日など思ひて わかることとわからぬことと順番に点滴の粒這ひ来る聖夜 吾子を詠むことの永劫なくなりてなほ望月は欠けじと夫は 家中の暦かけかへ待つてゐるリセットボタンを押す神の指 一年の後もこころや変はらぬとHonda Dreamに試されてゐる ワクチンを何とはせしか夜もすがらよろづの筋肉在り処を吟ず 「南南

        「未來」7月号自歌